韓国焼酎は、ドラマのシーンでもよく目にする通り、小さなグラスできゅっとストレートで飲まれている。
日本人が飲んでいる麦焼酎や芋焼酎などと比べると、何とも人工的な味の焼酎だ。
しかし、韓国料理の辛さにマッチする独特の甘みがある。
ネット友から、韓国焼酎は「サッカリン焼酎」のイメージがあるとの話を聞き、ちょいと調べてみた。
韓国焼酎のあの甘みは、本当に「サッカリン」と言う添加物から生まれていたのだろうか?
代表的な韓国焼酎「眞露」で辿ってみる・・・
1924年10月、今の北朝鮮領となっている平安南道(ピョンアンナムド)龍岡(ヨンガン)郡眞池(チンジ)洞(ドン)に、「眞露」の前身である「眞泉(チンチョン)醸造商会」が、創業開始した。
社名にも使われている「眞露」の「眞」は、当時の生産地にあった名水で有名な池の名前で、地名にもなっている「眞池(チンジ)」から、そして「露」は、酒造りの過程で焼酎を蒸留する時にできる「雫」を意味していると言う。
その後、1950年に勃発した朝鮮戦争をきっかけに、「眞露」はソウルに拠点を移す。
戦火を避け南下した釜山(プサン)で、1952年から1953年まで、眞露焼酎は「洛東江(ナクトンガン)」と言う焼酎名で発売されていたそうだ。
「洛東江」は、慶尚道(キョンサンド)を南北に流れる大きな川の名前。
朝鮮戦争が終結し、1953年10月にソウルに工場を構えた際、「眞露」はシンボルマークを変更した。
↓ それまではお猿さんだったのね~w
新しいシンボル・マークこそ例の「ヒキガエル」w
なんでも、「ヒキガエル」は家の守り神であり、財の象徴とされているそうだ。
韓国酒造メーカーが遭遇した次なる試練は、1965年の「糧穀管理法」の改正。
当時、食料を輸入に頼っていた韓国では、外貨流出を抑える為、米や麦などの穀物を原材料にする酒の生産を禁止した。
その為、さつまいもなどのでんぷん類を原料とする廉価な酒精(アルコール)を原料とした希釈式の焼酎しか生産する事ができなくなったと言う訳だ。
この試練に併せて、シンボル・マークの「ヒキガエル」の向きを現在の左向きに変えたそうだ。
↓1965年4月に登場した「左向きヒキガエル」のマーク。
1973年には、市場のニーズに応え、それまで40度前後だった焼酎のアルコール度数を25度に引き下げ、翌年には発売される焼酎の度数を25度に統一した。
これが成功し、韓国内で最大の焼酎メーカーとなったそうだ。
飲み易さが、シェアを拡大したのだろう。
その後、1996年に、プレミア焼酎「チャンナムトン マルグン ソジュ(楢樽の澄んだ焼酎の意)」を開発、1998年には、天然竹炭による精製技術を採用した「チャム眞イスル露」が発売された。
そして2005年、現在、主力銘柄となっている「チャミスル・フレッシュ」が開発された。
「チャミスル・フレッシュ」は、既存の天然竹炭精製方式をさらに進化させ、必須ミネラルをより効率的に抽出できるBCA(Bamboo Charcoal Agitation)方式でミネラルが豊富で不純物のない焼酎が精製されるそうだ。
また「チャミスル・フレッシュ」は、競合する他酒造メーカーとの低アルコール競争の中、アルコール度数を通常の22度→20.1度→19.8度と下げた。
どっちが真似たんだか? 妙にそっくりなこの二つw
向かって右が「眞露」社の『チャミスル フレッシュ』、左が斗山(ドーサン)社の『チョウム チョロム(初めてのようにの意)』。
2007年9月には、こんな問題も起きていた。
事の発端は「チャミスル・フレッシュ」の広告ポスター ↓
8月にアルコール度数19.8度の「チャミスル・フレッシュ」を発売し、そのキャッチ・コピーが「シュガーレスガム、シュガーレスヨーグルト、シュガーレスジュース、シュガーレス焼酎」と言う広告を発表。
「砂糖を抜いた」とも解釈できるこの広告に、ライバル会社「斗山」は「砂糖も塩も入れていない」と言うコピーでポスターを制作w ↓
「鮮洋(ソニャン)」の広告では、チャミスルを名指しし「砂糖を使わなくなったチャミスル! 入れたことのないマルグルリン(麟)!」と謳い、「砂糖を入れた事はない」と宣言。
焼酎業界同士の添加物論争にエスカレートしていると言う。
「斗山」は、この年9月に、「鮮洋」「漢拏山(ハルラサン)」などの酒造会社と共同で、「眞露」を公正取引委員会に提訴している。
「斗山」サイドの主張は「『眞露』の広告及び広報資料は、消費者に誤った認識を植え付ける恐れがあり、公正取引法と広告法に違反している。」と言うもの。
つまり、この広告は「焼酎会社の多くが砂糖を使用してないにもかかわらず、他社がまるで砂糖を添加しているように消費者が受け取る可能性がある。」と訴えている。
おまけに「チャミスルは、製造過程で塩を入れていると聞いている」と出所不詳の噂も添付w
この判決は、どうなったのだろうか?
まだ、係争中なのか・・・知りえなかった。
この騒動を見る限り、現在の韓国焼酎には、砂糖も塩も添加されていないようだが・・・韓国の酒税法では、『甘味料』や『アミノ酸類』の添加がエキス分2度まで認められている。
近年では『ステビア』『アステルパーム』と言った0カロリー飲料などに使用されている人工甘味料や『水飴』などが使用されているそうだ。
だから、日本で売られている韓国焼酎は、日本の酒税法に対応した「日本仕様」と言う別物・・・味も違う訳だ。
かつて40度越えのアルコール度数の上、人工甘味料サッカリンを添加した焼酎(ソジュ)を懐かしむつわものもいるそうだ。
お酒も国も歴史の中で変遷していくんだなぁ~
日本の発泡酒や第三のビールの誕生過程も、のちのち語り継がれていくのだろう。
今、時折CMで見かけるんだけど・・・「眞露」のレトロなアニメ(ポパイのパクリのような絵が痛いw)を使ったもの。
これって、1959年に放映された韓国初のテレビCM復刻版のようだ。
見つけた!! → こちら
この時流れるCMソング♪ヤンヤヤ~ヤンヤ、チャッチャ~♪が「眞露パラダイス」w
何でも当時、大ヒットし、「眞露」を一躍有名にしたんだとか・・・
「ヒキガエル」も出ているw
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わざわざ、辿って下さって重ねてありがとうございます。
このリサーチで、韓国で飲むジンロと日本で飲むジンロ、味が違う理由が判った次第w
辛い料理に、ほんのり甘い焼酎をストレートが、合うんでしょうね・・・
だから、飲みすぎるんじゃ?
随分前の記事なので、本人が懐かしがってます(笑)
「眞露」のレトロCM動画が削除されていたので、ただ今さがして、新しいURL貼っておきましたので、よかったらご覧下さい。
この記事の2日前記事<693>も「眞露」ネタなので、こちらも楽しんでもらえれば、うれしいです。