しろくま

軟い雑感、とりとめなく。

楢山節考

2013-05-28 | 本棚
melodious Libraryいもづる*。

楢山節考 (新潮文庫)
深沢 七郎
新潮社


信濃の寒村、年寄りは70歳で楢山に行く。
貧しい村の掟。おりんは69歳。
息子の辰平、気持ちを知っているが黙っている。

生々しい感情もなく、淡々とした文章。
小川洋子さんが読み解く
時に“コミカルなエッセンス”もあるが、言葉で繕わない過酷。
アシスタント藤丸姉さんと静かに聞いた**。

ぎりぎり・根源・おきて
条理であれ不条理であれ
超えられないものってある。

白戸三平とか
人間界の葛藤や惨劇を静かな水の中から眺めている山椒魚***(つげ義春)の視点みたい。

楢山節考 [DVD]
クリエーター情報なし
東映ビデオ

深沢七郎のペンが描いた終点を
始点に、生・情念を込め、
今村昌平は人で描いた。

深沢七郎、今村昌平 
ともに いろいろと考えさせられる作品だ。


*レビューというより、いもづる雑感だが
『楢山節考』考という題ではおさまりが悪い。


**番組聞きながら、永井豪の短編が思い浮かんだ。
近未来 ごくありふれた一家の話。
「赤いちゃんちゃんこ」
検索入れてみたら、わりと印象深く綴っている人があった。
(たまたま眺めた短編だったし、誰も知らないのではと思っていた)

60歳 還暦の朝
赤紙ならぬ
黒いちゃんちゃんこ
老人は逃げ惑う
炎で赤く…

永井豪はシリアス/劇画とギャグ、どっちのタッチもいけるが
“コミカルな どうしようもない泣き笑い”
ブラック極まりない。

人口増加と老人政策のリミット、60歳停命
プチ近未来sf・エンタメ。たしか少年誌だった。凄い作家だと思った。

***山椒魚、そういえば、『黒い雨』の井伏鱒二にもあったな。こっちはヘンクツ同士、漫画風。

ヘミングウェイごっこ

2013-05-25 | 本棚
タイトルと(カバー裏)紹介文に惹かれて買った。
内容(「BOOK」データベースより)
ジョン・ベアドはヘミングウェイが専門の大学教員。とあるバーで論文を執筆中、ある男からヘミングウェイの原稿の贋作づくりを持ちかけられる。これまでも成功した贋作事件の例はある。一攫千金も夢ではない!いつしか贋作づくりに熱中しタイプライターを打つベアドの前に、なんとヘミングウェイその人が現われたことから*、事態は思いもかけぬ方向へと…ヒューゴー&ネビュラ両賞受賞の中篇を長篇化した異色時間SF。

ヘミングウェイごっこ (ハヤカワ文庫SF)
クリエーター情報なし
早川書房


だけど
ヒューゴー&ネビュラ両賞受賞/ひらたくいえば人気と“通”の評価と
私の好みの違いを感じた。

作家の作風/読者層に、私が合わなかっただけなのだが
猥雑、バイオレンスの“無造作感”が気にかかった。
洋画・洋楽好きにもかかわらず、
どこかに残っている日本(人)的な根っこかもしれない(私感)**

感覚的にいえば
(映画)音楽から入ったTaxi Driverの感じと似ている。
途中からゲッとなったが、だからこそ
最初のとラストのスコセッシの映像とバーナード・ハーマン/Tom Scottが映えた。
そんなかんじ。
♪Taxi Driver - Main Theme (Vinyl) - YouTube


*そっくりさん大会で敗退したチャップリンみたい(ミケ妹)
クラーク贔屓でアシモフ好きだと「ハーバート・ジョージ・モーリー・ロバーツ・ウェルズ殿」とか
現代に連れてこられ偽名でシェークスピアの講義を受け、そして落としたシェークスピアの話*「不滅の詩人」 とか浮かぶが
この手の話、sfにかぎらず(とくにミステリなどで)けっこうあるだろう。


**フォローになるかどうだか…
私の好みはともかくも、作品の出来はいい。
レビューみたいなもの。興味のある方はどうぞ。

キーウェストでは石を投げれば作家にあたる。
「小説を書いてるのかい?」ころつきシルヴェスター・キャッスルが声をかける。
「小説についてのエッセイだけど。大学で教えている」ヘミングウェイ研究家・マニアのジョン・ベアド。
つかみはOK

「スミス・コロナ21年型だ」ジョン・ベアド
「ははん、ヘミングウェイだな。27年型ならフォークナーだ」タイプライター博物館卸
章の題も「われらの時代」とか、「清潔でとても明るいところ」とか、「海流の中の島々」とか作品にちなんだもの。
マニア心 わしづかみ
(マニアではないが、ひととおり読んどけばよかった)

sfで見れば、時間・多元宇宙もの
物語の行間に
いつの時代とも、どことも知れない世界
時間管理で言えばニュートラル・ゾーン
場所管理で言えば『都市と都市』のブリーチみたいなもの
さまざまな時間・場所で、その管理人たるヘミングウェイとジョンとの交差。

時間・多元宇宙ものの醍醐味というか
話の整合性tsujitsumaは抜かりはない。
最後のシーンのふっと力抜けた感じもナカナカ

なお
ヘミングウェイはジャーナリストで戦争取材しているし
ジョー・ホールドマン(作者)もベトナム帰り
戦争経験者のアメリカ読者層も多いだろう。

ベトナム帰り
オリバー・ストーンやらGood night Saigon/Billy Joelやら
アメリカ文学・音楽・映画、社会・文化に根深い。
いいわるい/好き嫌いでない(戦争は厭だが、O.ストーン追っかけでもない)

風薫る

2013-05-19 | 日記雑記
いちばんいい季節だが、
今年の五月は元気がない。

八重桜のまちぶせはあったが
草花がおそい。少し入ると特に。

里は綿帽子だが


ヤマブキの黄色とともに下ったら
始まったばかり田んぼ というのは
ほっとするものだけど。
蛙ばっかりじゃ…

閑古鳥ログではあるが
郭公の季節のひと声あってもいい。

(いきなり暑いのは要らないが)
がんばれ“五月”。

p.s.お供に内田恭子のウチ・ココ。ウッチーは楽しかったが、リップスライムの音は景色に合わなかった(私感)

♪Don't Cha Wanna Ride

2013-05-16 | 音の棚
通勤FMだったし、タイトルなんか聞いてなかった。
すぐに(歌の向こうに)耳ダンボ。
BJと達郎さんばっかりの私は、ちまたのチャートに疎いが、
SSBつながりで、Joss Stoneとsoulful strutでたどりついた。

♪Joss Stone - Don't Cha Wanna Ride - YouTube

橋下まつり いちぬけた。
むかむかする人より
わくわくする音 追っかけた方がイイ。

私的にSwing Out Sister逆引きだが
SSB的には、Young-Holt UnlimitedとかBarbara Acklinてところがルーツ*。
お気に入りの音。
(達郎さん、思い入れ・グルーヴ♪Daydreamに入れたな)。

♪Soulful Strut - Groove Dynasty 2001 - YouTube
錚々たるメンバー ファンキーなナンバー

♪Barbara Acklin - Am I the Same Girl 1968_ - YouTube
50年同じステージで Am I The Same …


*ルーツといえば、Quincy Jones来るらしい。

何言おうと勝手なんだが

2013-05-14 | 日記雑記
言葉商売、
芸人、kotoba-asobiならいざ知らず、
切り返し/振れ幅ばかりの政治家、私は遠慮したい*。
頭の切れはあるのだろうが、橋下さん、私はパスだ。
(飲み屋で馬鹿話するのとわけが違う)

私としては、
普通の事を普通の言葉で言える人で充分だ。
飛び道具みたいな言葉って、重ねるのむずかしいし。

付箋 (5/15)
橋下発言、ツイッター上で批判殺到 石原氏「軍と売春はつきもの」と擁護
The Huffington Postの宋文洲氏のことを書いてるログがあった。私は宋氏と加納典明氏の意見に共感する。
橋下さんにかぎらず、事実に対して謙虚であるべきだ。歴史の検証は、言葉で“仕掛ける”/言ったもん勝ちな事ではない。

*普通に書いても、変なログになってしまう反動かもしれない。


付箋 なんちゃって (6/17)
水道橋博士「降板」はパロディーだった - 芸能社会 - SANSPO_COM(サンスポ)
日テレ・“読売”系は“エンタメ”は評価しているが、
他のは、どこか(政治絡みの)蒔き菱、“目くらまし”じみていて、信用おけない。
騒ぐほどに、「もっと別の話題・ニュースの方がもっと大事だろうが」というのの置き換えみたいな気がして。
統一球の問題だってそうだ。なんで、選挙近くの今頃になって出てきたのだ。
いずれにしても、ナベツネが見え隠れするようなものは、興醒めun-zariする。


もひとつ (6/18)
高市氏の発言に与野党から批判 細野氏「政調会長失格」  :日本経済新聞
「福島第1原発も含めて死亡者が出ていない」
原発推進党だとしても、あまりに配慮に欠けている言葉。
言った後に、ぶりっ子で繕ってもねぇ…
昨日今日エラくなった一年生議員なのか?
先の復興参事官の「ク○左翼」もだが、下も下なら、上も上だ。
(蛇足ながら
他紙、MSN産経ですら、“与野党から”批判となっているが、
読売On Line/6月18日22時21分は“野党反発”の見出しになっていた)

贋作 吾輩は猫である

2013-05-11 | 本棚
苦沙弥先生の名無し猫が
南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏と水瓶に沈んで行き
気づいたら五沙弥先生のところ
ところ、時代変われども 周りやっぱり変な人たち

贋作吾輩は猫である―内田百けん集成〈8〉 ちくま文庫
クリエーター情報なし
筑摩書房

話的に“続”になるが、贋作としたところが百らしい。
漱石の弟子だから、押しも押されもせぬ由緒正しき贋作^^

もちろん『猫』あってのものだねの二番煎じには違いないが
リメイク、パロディというより、「これもありだな」が楽しい。
38歳の頃のお師匠さんの作品を弟子が60歳になって模写したって感じかな
同じ話でありながら漱石との(ユーモアの)感性の違いみたいなものも感じる。

でも、『ノラや』の後だったら、ぜったい書けなかっただろう。
アントニオ亡き後の堅気屋のオヤジ(じゃりン子チエ)みたいなもの

♪Norah Jones, Come away with me YouTube
♪Michael Franks - Antonio's Song - YouTube

リベラル?

2013-05-07 | つたえる
中庸なのだろうか?

日本版「ハフィントン・ポスト」オープン 松浦編集長「前向きなコメント」集約目指す J-CASTニュース

ハフィントン・ポストは言論空間 - 創設者 アリアナ氏が語る日本展開 エンタープライズ マイナビニュース

「流行りに乗らない」流行/スタイルみたいなもの…かな

それぞれの国の色はあるだろうけど
妙な和魂洋才勘違いも、ありそうだなぁ^^

“つぶやき拾い”としては
名も知れぬおっさん、おばちゃんの“ひとりごと・つぶやき”の方が
よっぽどペンの向くまま、肩ひじ張らず、おもしろかったりする。

太鼓持ちとどっこいどっこいの大メディアとか
名前負けのブロガーだの見るにつけ、
メジャーかどうかよりも、無印良品への渇望があるのかもしれない(・o・)。

ドヤ顔で言うな (トラ姐)
猫の手借りてるくせに (ミケ妹)


goo辞書より
リベラル【liberal】 [形動]
1 政治的に穏健な革新をめざす立場をとるさま。本来は個人の自由を重んじる思想全般の意だが、主に1980年代のアメリカ、レーガン政権以降は、保守主義の立場から、逆に個人の財産権などを軽視して福祉を過度に重視する考えとして、革新派を批判的にいう場合が多い。自由主義的。「―な思想」
2 因習などにとらわれないさま。「―な校風」

ちゅう‐よう【中庸】[名・形動]
1 かたよることなく、常に変わらないこと。過不足がなく調和がとれていること。また、そのさま。「―を得た意見」「―な(の)精神」
2 アリストテレスの倫理学で、徳の中心になる概念。過大と過小の両極端を悪徳とし、徳は正しい中間(中庸)を発見して
…て、私には難しいので2はパス。

キングダム

2013-05-07 | TV, 映画, DVD
ウィキしたら、伝奇、武侠とあった。
逆引き(コミックス)も面白そうだが、GyaO!ネタ
でない。

そういえば、最近、手塚治虫マンガ大賞受賞*という記事があった。

時代は春秋戦国時代
“私”的に『三国志』(と、いもづる『十二国記』)の線で。
三国志同様、武侠/ゲームの魅力もある。
キャラ・演出、(私的に)ちょっと濃い気がするが
ストーリーおもしろそう。(逆引きNHK)


*個人的には賞で読む・冠して書くのは苦手。
(映画にしても、出版、音楽にしても)賞の権威を否定しているわけではないが、
必ずしも“自分の”好みに合っているとは限らない。(だから付記的な記述になる)
「だからどうした・売りshoubai文句」ってつっかかってしまうし。
ひねくれモノのせいかもしれない。

海を見ていた午後

2013-05-04 | 日記雑記
ワシら 復活祭まだ。

後任くるらしい。

山手にドルフィンないし
Yumin' 似合わないな

p.s. 早い所で海開きだと


新入り(6/2)

そう遠からぬところの商店街
個人的には上の“ワシら”の方がいい(早く修復してほしい)。

シンクロ

2013-05-04 | 日記雑記
GW こいのぼり 桜 (水張った)田んぼ 蛙声のシンクロから
桜→若葉、薄いピンクから緑にシフト


道草
よく食ったものだ

シイタケ、山菜貰った。
何日かして
近くで200ベクレルのニュースがあった*。

季節と地域の恵み、身近な人の有難味なのに 
ざんねんに思う。

情報流・更新の速さというか大きさというか
(反比例して一つの事にかける時間も中身も減っているというか)
いままで当たり前だったことの良さ 考えもしないで
次から次へ新しいこと並べているような、上書き更新みたいな風潮が気にかかる。

歳時記的なニュース 
人出や数字が目安だけど、
メディア的にはどうでもいいのかもしれない。


日本人ってせっかちだ。“今”よりも、次の季節次の季節っていうか。
もともと流行に疎い方だし、煽り立てるマスメディアに乗ろうとも思わないが
季節ばかりでなく風情とかじっくり考えるべきことにもシンクロしてないのではと、このごろ思う。
もったいない気がする。


*無神経過ぎやしないか! (5/8)
地下水 来週にも海放出 福島第1、建屋流入対策 - MSN産経ニュース
茨城北部 シラス漁を本格再開の記事読んだばかりのところだった。
策の無さと無神経に怒りを覚える。

ついでながら (5/11)
その前に、なによりも汚染水処理の方が急務でしょう!
原発テロ阻止“見せる警備” 福島第2で警察・海保合同訓練 - MSN産経ニュース
文章の勢いで論点を外さないでください。