しろくま

軟い雑感、とりとめなく。

都市と都市

2012-07-29 | 本棚
物語は現代。
バルカン半島あたり、架空の都市国家ベジェルとウル・コーマ*
都市と都市 (ハヤカワ文庫SF)
クリエーター情報なし
早川書房


ベジェルで女性の他殺体が発見される。ボルル警部補は、被害者が隣接する都市国家ウル・コーマで殺害されてベジェルで遺棄されたと突き止める。ベジェルとウル・コーマの関係は複雑で、互いの国民は相手を見てはならないという掟があり、許可なく相手の領土に踏み込もうものなら<ブリーチ>という畏怖すべき第3の権力が取り締まりに現れる。ボルルはウル・コーマの上級刑事クシム・ダットと捜査を行うが、被害女性の考古学研究と足取りから伝承の第3の国家オルツィニーの影を見ることになる…。(Amazonレビューより)

さらに
愛国統一地下組織
政府と癒着の海外企業

キーマン:ボウデン教授と
システム:ブリーチ アシル

ついには、都市国家、ブリーチそのものの存続にかかわる問題になっていく。

*ベジェルとウル・コーマは一つの囲いの中に 2つの異なった社会・国家体制がモザイク状に配された都市国家で
国民は互いの国を“見ない”ように教育されていて、違反すると、超越的組織〈ブリーチ〉に拘束される♣。
教育・当り前が前提なら意識しないものだ。
(眉村卓の『幻影の構成』思い出した。あれほど突飛でも、後半駆け足でもないが。)

政治体制、経済圏、宗教、貧富の階層格差
(今は亡き)東西ベルリンだの、見渡せばいくらでもあるだろうが、
とっかかりにとても時間がかかった。
見ないように視線を外すというがピンとこなかった
もともと民族、国/越境意識がないからだろう。

蛇足ながら
『都市と星』/Arthur C. Clarke
何十億年も遠未来の二都ダイアスパーとリスから
アルヴィンというユニーク・人を描いているのに対し、
『都市と都市』/China Mievilleのこの作品は
人・事件から枠組みを描いていると言える。


♣さらに蛇足 

みょうなたとえかもしれないが、よその国の人にはそもそも「(余計なものが)目に入らない」という理屈^^

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