しろくま

軟い雑感、とりとめなく。

よう、これからどうする?

2014-06-13 | 本棚
時計じかけのオレンジ
ハラショーな物語とは言い難いが
スラングも面白いじゃないか、と思った(ただし、とてつもなく読みづらい)。
スキャット好きの音的な興味。

♪Ella Fitzgerald One Note Samba - YouTube
♪___ Stop That! - YouTube

ふと見つけたもの。
ずっと昔読んだことがあったが、気色悪さだけしか感じられず、中身はすっかり忘れていた。

ビブリア古書堂にもあったっけ。というわけで完全版。
時計じかけのオレンジ 完全版 (ハヤカワepi文庫 ハ 1-1)
クリエーター情報なし
早川書房

早川の最初のやつ
強奪、暴行思いのまま、街のはみだし者アレックスが、
更生施設に収容され、拷問に近い矯正を受け、
暴力を振るうことができない”真人間”として社会に戻される。
政府は矯正教育プログラムの成功第一号という触れ込みだが、すでに帰る家はなく、
かつての仲間は警察となり彼をボコボコにし、
かつて暴行した作家*の家に転がり込み、罪を告懐するが
作家は反政府側で、本人の意思とは全く逆”自由意志”が持てなくなったということを、もう一つの看板として祀り上げる。
板挟みになった彼は、飛び降り自殺を図るが、
幸か不幸か、それによって矯正の条件付けが解け、まるっきり前の(やりたい放題の)精神状態に戻ったんだというところで終る。
完全版は
いわば後日談が付記されたもの。街中で、昔の仲間と再会するが、仲間は家族を持ち社会の歯車の中にいた。
些細な違いだ。
『素晴らしき新世界』『われら』『1984年』**の系譜ともとれる

アメリカで出版されたのは早川の最初のやつ(もちろん英語・US原版で)でKubricの映画もそれに依った。
全体主義体制が大嫌いな国らしい編集だともいえるが、
Burgessは映画版が嫌いだったという。
ずっと前、カメラマンに「トリミングすれば…」などと不躾な事を言ってしまったことがあるのを思い出した。
この後日談の部分こそアレックスと家庭・社会・歯車をくっきり浮き彫りにしてるのだ。体制よりも自由意志(「よう、これからどうする」)ってところじゃないのかな、時計じかけのオレンジ、
おれっちはそう思う。

*作家の名もアレックス(F.アレキサンダー)、
強引ないもづるながら、『収容所群島』(’73-75)もアレックス(アレクサンドル・ソルジェニーツィン)。
**ついでながら、Burgessは1985年に『1985年』を書いている。

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