かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男の一首鑑賞 238

2021-06-09 19:46:14 | 短歌の鑑賞
 渡辺松男研究29まとめ(2015年7月実施)
   【陰陽石】『寒気氾濫』(1997年)100頁~
   参加者:石井彩子、M・S、渡部慧子、鹿取未放
     レポーター:渡部 慧子  司会と記録:鹿取 未放


238 赤城山の天辺に立ち呼吸深し関東平野を吸い込みては吐く  

          (レポート)
 赤城山と関東平野、二つの固有名詞がうるさく響かないのは、作者のものに望む時の原初的といえばよいのか、その生命が大きく働いているゆえだろう。(慧子)


        (当日意見)
★「関東平野を吸い込みては吐く」という非常に大きい世界を詠っていらっしゃる。
    (石井)
★天辺に立ってお山の大将というか、天下を取ったような気分で関東平野の空気を吸い込
 むような気がするという、おおらかな男性的な歌だと思います。(M・S)
★この作者、登山が大好きで週末には周辺の山々に登っていたそうなので、赤城山もよく登
 られた山なのでしょう。頂上に着いた達成感とか快い疲れとかで関東平野を見下ろしなが
 ら深呼吸しているんだけど、「関東平野を吸い込みては吐く」と大きく表現してユーモア
 もあるし気持ちの良い歌ですね。(鹿取)
コメント
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