2025年度版 渡辺松男研究2の7(2017年12月実施)
『泡宇宙の蛙』(1999年)【山鳥薇】P36~
参加者:泉真帆、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
レポーター:渡部慧子 司会と記録:鹿取未放
47 全世界音うばわれて完成す化石のわれのあおげる瀑布
(まとめ)
46番歌(風景を山鳥薇(やまどりぜんまい)が殺し秋はゆくなり茫々の雲)は〈われ〉は人間で風景を見ているんだけれど、ここで〈われ〉は化石になっている。石に閉じ込められているので、全世界の音が〈われ〉には聞こえない。しかし瀑布が見えている。滝は轟音を発しているかもしれないけど自分には何も聞こえない、しかもそれが完成なのだという。なんとも不思議な世界が提示されている。
ところで、先月考察した 42番歌(透りたる尾鰭をみれば永遠はすずしそうなり化石の石斑魚(うぐい))は、人間の〈われ〉が化石を見て、永遠という時間に思いをはせていた。47番歌は次元の違う世界に飛んでいる。(鹿取)
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