かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

写真入り 渡辺松男の一首鑑賞  236

2021-06-07 17:04:20 | 短歌の鑑賞

               我が家の近所の白雲木



 渡辺松男研究29まとめ(2015年7月実施)
   【陰陽石】『寒気氾濫』(1997年)100頁~
    参加者:石井彩子、M・S、渡部慧子、鹿取未放
    レポーター:渡部 慧子  司会と記録:鹿取 未放


236 白雲木の花咲く下のベンチにて君はこころを濃くして待てよ  

       (レポート)
 白雲木はエゴより大振りな葉と花を持ち比較的似ている。その名に雲があるように、とらえどころがないイメージを広げる上句に対し、下句は「こころを濃くして待てよ」と、それとなく対比が隠れ、そこにさわやかな愛の命令形がある。(慧子)


       (当日意見)
★それとなく対比とは、具体的に何と何の対比ですか?(鹿取)
★白雲木という言葉には雲の字があってもやもやした感じ、それと心を濃く、つまり情熱
 的にというのが対比。漠然とした景の中であってもあなたは僕を思って待っていてねと
 いう。(慧子)
★作者の何を待っているのでしょう?作者の告白とかかしら?(石井)
★いや、僕のことをただ思っていてというのでしょう。来るのを待っててって。(M・S)
★それをいう為にこの1首があるのですか?何かを期待して待ってて?(石井)
★今日は告白するから待ってて、かな?(慧子)
★白雲木の下のベンチで待っている女性って、絵画的でいいですね。(石井)
★白雲木って雲の字はあるけど、エゴなんかと違って房になって咲いて藤なんかよりどっ
 しりして重量感があります。葉っぱも大きくて丸いです。だから。ただ清楚だけではな
 い、存在感があるしっかりし た女性を勝手にイメージしてしまいます。上の句のイメ
 ージも魅力的ですが、下の句の カ行音の君、こころ、濃くしての連なりも心地よいで
 すね。(鹿取)
★でも、どうして白雲木なんでしょう?どこで待ってもいいような感じだけど。(M・S)
★作者も白雲木が好きなのでしょう。白雲木はどっしりしていると言ったけど、ある種、
 天上的なイメージもあると思います。最近、自宅敷地にも白雲木があり、近くには白雲 
 僕木の並木があるのを発見しました。以前は鎌倉の浄智寺まで白雲木の花を観に出かけ
 ていました。真っ白で、見事に垂れ下がって咲く大木がありました。(鹿取)
       
コメント
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