かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男の一首鑑賞 138  

2020-12-27 19:36:54 | 短歌の鑑賞
   ブログ版 渡辺松男研究 16   二〇一四年六月
     【Ⅱ 宙宇のきのこ】『寒気氾濫』(1997年)60頁~
      参加者:曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放、鈴木良明(紙上参加)
      レポーター:曽我 亮子   司会と記録:鹿取 未放


138 うむっうむっと孟宗竹の子が伸びる鬱から皮のむけてゆくなり

       (紙上意見)
 筍が伸びてゆく様は「うむっうむっ」という感じだ。鱗片状の皮は筍の本体を守るためのものだろうが、元気盛んな孟宗竹からすれば、うっとうしい鬱的なもの。ここを脱皮して、伸びてゆくのだ。(鈴木)
 
       (発言)
★漫画チックでこの歌は好きです。腕白坊主が伸びていくようで可愛くて、小学生でもよく分かる
 歌だと思う。ただ、「鬱から皮のむけてゆくなり」は面白い発想ですね。
 公表されている年譜にも出ているので言ってもいいと思うけど、渡辺さんは25歳の時から精神
 科に通院されています。だから鬱状態から快復していく時の感覚というのが体感としてあるんじ
 ゃないかなと。この歌ではおとなしく地中に埋まっていた竹の子が地面の上に顔を出して、陽光
 めがけて次々と皮を剥ぎながら伸びてゆく元気いっぱいのイメージがあります。(鹿取)
               
コメント
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