かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男の一首鑑賞 130

2020-12-12 17:45:53 | 短歌の鑑賞
 渡辺松男研15(14年5月)まとめ
    【Ⅱ ろっ骨状雲】『寒気氾濫』(1997年)57頁~
     参加者:四宮康平、鈴木良明、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
     レポーター:渡部 慧子 司会と記録:鹿取 未放
             

130 夕焼けの赤を映せるプール出でなまもの父は濡れておるなり

         (発言)(2014年5月)      
★なまものって、生臭いという感じではないでしょうか。(曽我)
★夕焼けの赤との関係で、生命が海から生じたという背景があってもいいのかなあと。ただ生臭さ
 は確かにありますよね。(鈴木)
★出版記念会の折、岩田先生がこの歌を選んで評されましたね。どのように良いかは、すみません
 覚えてないけど、誉められましたね。(鹿取)
★129番歌(くれないのコレステロールも欲も濃き父の大声われをはじけり)に比べて大きいと
 ころから見ていますね。スケールが大きいから説得力がありますね。(鈴木)
★なまもの、という単語だけ見るとネガティブな印象があるんですけど、作者は父親という対象に
 対して肯定、否定両面を持っている。家族の誰に対しても両面あると思うけど。(四宮)


         (まとめ)(2014年5月)
129番歌(くれないのコレステロールも欲も濃き父の大声われをはじけり)同様赤が効果的に使われた歌。斎藤茂吉の『赤光』の赤は有名だが、坂井修一さんにも意識的な赤の使用が認められる。躍動感やなまなましさや毒々しさ、赤には様々なバリエーションがあるが、そんな赤に詩人は惹きつけられるようだ。(鹿取)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする