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企画展 もっと知ろう!もっと考えよう難民のこと-同じ時代 同じ地球に生まれたんだから-
第一次大戦後、ロシア革命やトルコ帝国の崩壊などによる政治的・社会的な構造の変化に伴って、多くの人々が国外へ逃れ、いわゆる「難民」の問題が国際社会において注目を集めるようになりました。第二次世界大戦前後、戦争という大惨事の中で、より大量で広範囲な地域で難民が発生しました。特に顕著だったのはホロコーストから逃げる何百人ものユダヤ難民でした。
1948年、「世界人権宣言」が採択され、庇護を求める権利とすべての人間は差別されずに基本的人権を享受できる旨が確認されました。難民の基本的人権保障に対する意識の高まりと、急増する難民問題の解決のために国際的な協調と団結が大切であるという認識の下、1951年「難民の地位に関する条約」が採択されました。その後、この条約の地理的・時間的制約を撤廃する「難民の地位に関する議定書」が1967年に採択されました。この条約と議定書をあわせて、一般に「難民条約」と呼ばれています。また、1950年には、難民問題に普遍的に対処する初めての国際機関、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が設置されました。
日本は、1975年の南ベトナム政権の崩壊によるインドシナ難民の大量発生を受けて、1981年に難民の地位に関する条約、1982年に難民の地位に関する議定書に加盟しました。現在、難民条約の加盟国は日本を含め143カ国に及びます。
もっとも、現在においても、世界中で紛争や迫害はあとを絶たず、難民発生数は増加し続けています。2015年末時点で、世界の難民・国内避難民の数は6350万人となり、第二次世界大戦後最多となりました。実に113人に1人が強制移動させられていることになります。
このような世界的に深刻な難民の状況を受けて、日本においても難民保護の必要性がますます高まっています。ところが、日本の難民認定者数は極めて少なく、2015年は7000人以上が難民認定申請をした一方で、難民認定者数はわずか27人にとどまっています。また、難民審査手続きが7年を超える場合もあり、審査の長期化も問題となっています。日本の難民制度は、真の難民を保護しうる制度とは到底言えず、多くの難民が、不安定な生活を強いられています。さらに、在留資格を得られずに送還されてしまうケースや、入国管理局の収容所に収容されてしまうなど、日本が難民の基本的人権を侵害しているとも言える状況です。
私たちは同じ時代、同じ地球に生まれた世界の市民です。まずは難民や難民問題を知り、世界の市民の一人として、どのようにして共に生きていくべきか考えることが大切だと思います。本展では、難民問題と私たちのかかわりについて考えます。
【展示期間】2016年11月19日(土)~1017年3月18日(土)
【会 場】大阪人権博物館ギャラリー
【主 催】RAFIQ(在日難民との共生ネットワーク)/大阪人権博物館
【後 援】解放大阪府民共闘会議/ヒューライツ大阪/UNHCR駐日事務所/
認定NPO法人 難民支援協会/公益社団法人アムネスティ・インターナショナル日本/
アフガン孤児支援・ラーラ会/サダーカ/公益財団法人アジア福祉教育財団 難民事業本部/
日本ビルマ救援センター/RAWAと連帯する会