先週の今頃、「週末の誕生日をホテルで過ごしたい」と突発的に思い立って、大騒ぎで社長やら同僚やら友人やらにアドバイスを求めながら、2日後の木曜日にはホテルの予約を済ませた。
「旅行」をしたいわけではなく、「温泉」に入りたいわけでもなく、「美味しい御飯」が欲しいわけでもなく、ただ贅沢な「滞在」がしたくなると、旅館ではなくついついホテルを選びたくなる。
目的のひとつとしてどこかを訪れたり見たりすることもないし、多くの旅館がそうであるように温泉や夕食がついているわけでもないし、ただ部屋を借りるだけだとしたらホテルの利用とは非常に贅沢なもので、決してコストパフォーマンスがよいとは云えない。
通常、私用で宿泊する温泉旅館は1名あたり\25,000~\30,000を基準で検討する。
ホテルの場合は、1名あたり\16,000~\30,000(※連泊の有無も料金に影響するので幅がある)。
旅館には夕食の料金が含まれており、温泉というオプションまであることを考えると、ホテルの割高感は否めない。恐らく、私が選ぶホテルと同等のサービスを旅館に期待しようとすると、上記に挙げた価格で収まるものではないが、同等のものを選ぶとなると一人あたり\50,000を超過してくること必定なので、なかなか現実的ではないというだけのことだ。
ホテル西洋銀座は、日常的なお散歩コースの脇にあって、真っ白で、ひっそりと静かで、柔らかくてアットホームなホテルだった。決して「豪華」とか「ゴージャス」なんて言葉は当てはまらないが、どんなホテルでもそうあってほしいような、「正統にゆったりした時間」が流れていた。
部屋は誕生日だからとアップグレードしてくれたジュニアスイート。部屋に戻ったそばから、ついさっき買って貰ったばかりのネックレスを身に付けて、薄っぺらいワンピースに着替えて、ベッドにばふりと横になる。
サイドテーブルに飾られたフルーツとマカロンの盛り合わせに手を伸ばしながら、珈琲がないことに気付いてバトラーに連絡を入れる。5分後には、珈琲と煙草片手にいつも通りのF1観戦。
いつもの暮らしと凄く似たところにあるパラレルな別世界が、良いホテルの部屋のなかには必ずある。いつもの暮らしではあり得ないくらい快適で、すべてがいつもよりもゆっくりで、階段をひとつ踏み損ねたたような微々たる違和感が後頭部あたりにぺったりと張り付いている。
優れたホテルという建物の隅々に満ち満ちている、不自然だけどとてつもなく柔らかいふわふわした時間が好きだ。
朝、いつも通りに目覚めるのを忘れたくなるのと同じように、そんなホテルの部屋から眺められる桜の枝は、たぶん少しだけ散ることを忘れる。
「旅行」をしたいわけではなく、「温泉」に入りたいわけでもなく、「美味しい御飯」が欲しいわけでもなく、ただ贅沢な「滞在」がしたくなると、旅館ではなくついついホテルを選びたくなる。
目的のひとつとしてどこかを訪れたり見たりすることもないし、多くの旅館がそうであるように温泉や夕食がついているわけでもないし、ただ部屋を借りるだけだとしたらホテルの利用とは非常に贅沢なもので、決してコストパフォーマンスがよいとは云えない。
通常、私用で宿泊する温泉旅館は1名あたり\25,000~\30,000を基準で検討する。
ホテルの場合は、1名あたり\16,000~\30,000(※連泊の有無も料金に影響するので幅がある)。
旅館には夕食の料金が含まれており、温泉というオプションまであることを考えると、ホテルの割高感は否めない。恐らく、私が選ぶホテルと同等のサービスを旅館に期待しようとすると、上記に挙げた価格で収まるものではないが、同等のものを選ぶとなると一人あたり\50,000を超過してくること必定なので、なかなか現実的ではないというだけのことだ。
ホテル西洋銀座は、日常的なお散歩コースの脇にあって、真っ白で、ひっそりと静かで、柔らかくてアットホームなホテルだった。決して「豪華」とか「ゴージャス」なんて言葉は当てはまらないが、どんなホテルでもそうあってほしいような、「正統にゆったりした時間」が流れていた。
部屋は誕生日だからとアップグレードしてくれたジュニアスイート。部屋に戻ったそばから、ついさっき買って貰ったばかりのネックレスを身に付けて、薄っぺらいワンピースに着替えて、ベッドにばふりと横になる。
サイドテーブルに飾られたフルーツとマカロンの盛り合わせに手を伸ばしながら、珈琲がないことに気付いてバトラーに連絡を入れる。5分後には、珈琲と煙草片手にいつも通りのF1観戦。
いつもの暮らしと凄く似たところにあるパラレルな別世界が、良いホテルの部屋のなかには必ずある。いつもの暮らしではあり得ないくらい快適で、すべてがいつもよりもゆっくりで、階段をひとつ踏み損ねたたような微々たる違和感が後頭部あたりにぺったりと張り付いている。
優れたホテルという建物の隅々に満ち満ちている、不自然だけどとてつもなく柔らかいふわふわした時間が好きだ。
朝、いつも通りに目覚めるのを忘れたくなるのと同じように、そんなホテルの部屋から眺められる桜の枝は、たぶん少しだけ散ることを忘れる。
これからも、いっぱい魔法でしあわせになりましょう。
うわーん、わたしもそういう魔法つかいになりたい!
いま気づいてしまいましたが、けっこう長い間、
正しいホテルに、宿泊、をしておりません。
泊まらなくても、いいこともいっぱいあるけど、
やっぱり、一晩すごすよさには、かえ難いものがあるよね。
楽しまれているようでなによりです。
激しく同意!
いつも祖父母宅で滞在する札幌で、初めてホテルへ泊まりました。
しかも、自腹で「英国風」というものに。
お洒落して、高めのジュエリーを身に着けて、ゆったりソファに寝そべったりしてみた。
贅沢な無駄な時間?
でも時には日常から切り離されたところでゆったりしたいものなのでした。
>ヨーコちゃん
「魔法」というニュアンスにおいては、旅館とホテルでは全く性格が異なるような気がする。
ホテルこそ、「魔法」という言葉に相応しいのは、旅館は「イエ」のニオイを捨てきれないからだろうか?
ホテルだけが持っている魔法は、ほかのどんなゴージャスな施設や飛行機のファーストクラスにもなくて、なぜだかとても特別なもの。
この「特別」の意味が言葉に落ちてくればいいのになあ。
>saorr
魔法にかかるために我々はホテルにお金を支払っているのだとおもうのです。
贅沢の範囲や性格は人それぞれかなーり異なるので、高価な鞄だったり高級なゴハンだったりに代表されるようなタイプの贅沢に支払うのと、ホテルとはなんか違う。鞄やゴハンは、たしかな満足感とシアワセをきっちりくれるけれど、ふわりと足が浮きあがるような魔法だけは決してくれない。