業務的な諸事情あって、お茶まみれの台北滞在となった。
そういえば、11年前はろくにお茶すら飲んでいなくて、お茶の淹れ方というかルールすら全く知らないうちに(そんなものがあるということすら)帰国したような気がする。もしかしたら、忘れ去っているだけかもしれないが。
先刻まで腰掛けていたレストランの手洗い場に「嘔吐槽」なるものがあったことだって、もう10年もすれば忘れてしまうかもしれないのだ。記憶はどんな情報をどのように取捨選択して、遺していってくれるものなのだろう。
今回アテンドをしてくれたガイド王さんのお陰で、タイトなスケジュールを順調にこなすことができた。御礼という意味ではないが、王さんについて少し書き留めておく。
・王さんは若い頃に横浜の中華街で働いていたので、調理師免許を持っている。
・王さんの父親は、蒋介石よりも4年早く台湾にきた。
・鄭成功の話を嬉しそうにする。
・過去に日本が台湾にした悪いことは2つあると思っている。
ひとつは、女性に学問を解禁し、女性に知恵をつけてしまったこと。
もうひとつは、KUBOTAの農耕器具を導入し、水牛を余らせ農村から若者が離れたこと。
・王さんは55歳、嫁は32歳で私と同い年。
・過去に、島津家末裔のご令嬢のアテンドをしたことがあり、令嬢ぶりにびびった。
・与那国島近海の海底遺跡ポイントを潜ったことがある。
旅の途中に出逢える人間の数はとても少なくて、彼らの言葉はイコールその国の人の意見ではない。そのことはよく判っているつもりだけれど、旅の印象を最も大きく左右するのは、ほんの僅かな数の、僅かな時間だけ触れ合った人そのものだ。
私は決して王さんが台湾人代表だとは思わない。むしろ常に日本人と仕事をしている人だから、生粋の台湾人の気質とは異なるところが大きいかもしれない。
だけれど今後、台湾についての幾つかを思い出すときには、王さんの言葉や仕草がフィルターとなることが少なからずあるのだろう。
とても断片的で偏ったフィルターを通じて見たなまなましい世界が、いわゆる「旅の風景」とでも呼べるものなのだろう。
個人的な思い入れ、機嫌、体調、出逢った人。それらのフィルターの影響を受けない純粋な風景は存在しない。いや、それが「風景」である限り、背景には必ず微笑ましい偏りが存在するべきなのだ。
そういえば、11年前はろくにお茶すら飲んでいなくて、お茶の淹れ方というかルールすら全く知らないうちに(そんなものがあるということすら)帰国したような気がする。もしかしたら、忘れ去っているだけかもしれないが。
先刻まで腰掛けていたレストランの手洗い場に「嘔吐槽」なるものがあったことだって、もう10年もすれば忘れてしまうかもしれないのだ。記憶はどんな情報をどのように取捨選択して、遺していってくれるものなのだろう。
今回アテンドをしてくれたガイド王さんのお陰で、タイトなスケジュールを順調にこなすことができた。御礼という意味ではないが、王さんについて少し書き留めておく。
・王さんは若い頃に横浜の中華街で働いていたので、調理師免許を持っている。
・王さんの父親は、蒋介石よりも4年早く台湾にきた。
・鄭成功の話を嬉しそうにする。
・過去に日本が台湾にした悪いことは2つあると思っている。
ひとつは、女性に学問を解禁し、女性に知恵をつけてしまったこと。
もうひとつは、KUBOTAの農耕器具を導入し、水牛を余らせ農村から若者が離れたこと。
・王さんは55歳、嫁は32歳で私と同い年。
・過去に、島津家末裔のご令嬢のアテンドをしたことがあり、令嬢ぶりにびびった。
・与那国島近海の海底遺跡ポイントを潜ったことがある。
旅の途中に出逢える人間の数はとても少なくて、彼らの言葉はイコールその国の人の意見ではない。そのことはよく判っているつもりだけれど、旅の印象を最も大きく左右するのは、ほんの僅かな数の、僅かな時間だけ触れ合った人そのものだ。
私は決して王さんが台湾人代表だとは思わない。むしろ常に日本人と仕事をしている人だから、生粋の台湾人の気質とは異なるところが大きいかもしれない。
だけれど今後、台湾についての幾つかを思い出すときには、王さんの言葉や仕草がフィルターとなることが少なからずあるのだろう。
とても断片的で偏ったフィルターを通じて見たなまなましい世界が、いわゆる「旅の風景」とでも呼べるものなのだろう。
個人的な思い入れ、機嫌、体調、出逢った人。それらのフィルターの影響を受けない純粋な風景は存在しない。いや、それが「風景」である限り、背景には必ず微笑ましい偏りが存在するべきなのだ。