手に乗せたら確かな実感と重量があるのに
ちょっと力を入れたら、ぐしゃっと潰れてしまう。
一本の茎に仲良く並ぶ実は丹色。
風にからからと軽い音を立てて笑うように揺れるさまは
何十、何百と並ぶ蝋燭の炎がゆらゆらと揺れるよう。
触れれば体温よりも熱そうなたましいの色がいくつも。
いくつか千切って、床柱の脇に並べる。
茎から切り離されたそれは
もはや二度と笑いながら揺れてくれることはなく
それなのに、未だ変わらずに鮮やかなたましいの色が目に痛い。
もう一度、からからと笑って欲しかった。
たましいの実を覆う葉脈のように
幾重にも刻まれた皺をくしゃっと歪めて。
切り離された実は、もう揺れないから
指で少しだけ弾いてみる。
からから。
からから。
もういちどだけ。
(優しかった女性に。050810)