Sweet Dadaism

無意味で美しいものこそが、日々を彩る糧となる。

たましいの実。

2005-08-11 | 徒然雑記
 
 手に乗せたら確かな実感と重量があるのに
 ちょっと力を入れたら、ぐしゃっと潰れてしまう。

 一本の茎に仲良く並ぶ実は丹色。
 風にからからと軽い音を立てて笑うように揺れるさまは
 何十、何百と並ぶ蝋燭の炎がゆらゆらと揺れるよう。
 触れれば体温よりも熱そうなたましいの色がいくつも。

 いくつか千切って、床柱の脇に並べる。
 茎から切り離されたそれは
 もはや二度と笑いながら揺れてくれることはなく
 それなのに、未だ変わらずに鮮やかなたましいの色が目に痛い。

 もう一度、からからと笑って欲しかった。
 たましいの実を覆う葉脈のように
 幾重にも刻まれた皺をくしゃっと歪めて。

 切り離された実は、もう揺れないから
 指で少しだけ弾いてみる。
 
 からから。
 からから。
 
 もういちどだけ。

 
  

(優しかった女性に。050810)