うつろな 瞳に
灰色の 砂を塗って
あなたは 微笑むのだね
悲しみを 閉じ込めて
何もない寂しさに 砂で重さを作り
きれいに磨いて 花で飾って
少女のような夢に描いて
心をもてあそびながら
唇に 微笑みを命じて
瞳だけは凍ったまま
あなたは 懐かしい故郷の地図に
墨を塗り続ける
それで よかったのか
あのとき 本当に愛していた人を
捨てて あなたは
いかにも美しく見えて
魅力的に見えた
きれいだけれど冷酷な
風の少年についていった
観客席に まばらな人影がある
小さな劇場で あなたは
彼と一緒に踊って
幸せを みなに見せる
だれかに見せつけなければ
あなたは幸せじゃないのだね
うつろな瞳に
灰色の砂を塗って
あなたは 微笑む
わたしはあなたを抱きしめてあげたい
蝋人形の心臓のような
しびれて動かないその心のうつろに
小さな光を生んであげたい
だけどあなたは 風一枚の帳の向こうにいて
わたしを決して 中に入れてくれないのだ
忘れたいことは 忘れていい
今は
いつかわたしは
初めてであった人のように
あなたの前に現れて
あなたの瞳の奥にできた
ふしぎな湖のわけを 教えてあげよう
いつか会おう あなたと
愛している