なえた偽りの花を持ち
あなたはわたしのもとを訪れてきた
こしかたのすべてが
そのくろい池のみなものような
ひとみのなかでもえている
まるでかろやかな紙をもやす火のようだ
それはそれはあかるく はかない
くるしい日々であったろう
偽りをなして生きることが
それほどに くるしいことだったとは
思わなかったであろう
なにもかもがわかるのは
すべてが終わったあとだ
かなしくもわかきひとよ
わたしはあなたをだくことはできない
なぜならあなたがそれを否んだからだ
それは遠い昔
あなたは わたしのさしだした
きよらかな水の古い木の椀よりも
ぶどう酒の満ちた黄金の杯を選んだ
何がほしかったのか
あなたはわかっているようで
わかってはいなかった
道化の狂った衣装を身にまとい
いかにもうれしそうに
みせびらかして舞台を歩いた
その日々の痛ましき恥の限りを知るとき
あなたはどのように慟哭するであろう
それは
終わったあとでわかる
すべては 夢だった
けっしてみてはならぬ夢だった
だが夢ではない
かなしくもわかきひとよ
なえはてた夢の花を捨て
どこへいこうとする
もうどこにも
ゆくところはないというのに
かみのもとへゆけ
せめてもと あなたにいう
神の元へゆけ