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nachtmusik

♪andante...im tempo...rondo...adagio♫

Richard Strauss

2008-03-06 | Classical♪
クラシック音楽家シリーズの第9弾です。

《Richard Strauss=リヒャルト・シュトラウス》(ドイツ 1864-1949)作曲家・指揮者

〈交響詩〉=〈各楽章に標題を付けた描写音楽〉を確立した作曲家として最も有名です。

〈交響詩〉というジャンルが無かった時代にベートーヴェンが交響曲第6番〈田園〉の
 各楽章に標題を付けたのが後の〈交響詩〉へ発展したとも言われています。

*ベートーヴェン:交響曲第6番〈田園〉(1807~1808年作曲)
 第1楽章:田舎に到着したときの晴れやかな気分
 第2楽章:小川のほとりの情景
 第3楽章:農民達の楽しい集い
 第4楽章:雷雨、嵐
 第5楽章:牧人の歌-嵐の後の喜ばしく感謝に満ちた気分


リヒャルト・シュトラウスが確立した〈交響詩〉の特徴は各楽章の区切りがなく、続けて
演奏されるので、まるで〔一大絵巻〕を聴いて(観て)いるような印象を受けます。


リヒャルト・シュトラウス〈交響詩〉の代表作

『ドン・ファン』(1888年作曲)
『死と変容』(1889年作曲)
『ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら』(1895年作曲)
『ツァラトゥストラはこう語った』(1896年作曲)*映画「2001年宇宙の旅」で有名
『ドン・キホーテ』(1897年作曲)

自作自演盤

『英雄の生涯』(1898年作曲)

自作自演盤


それと〈交響詩〉ではありませんが、私が好きな『アルプス交響曲』も各楽章の区切りが
なく、続けて演奏されます。

目を閉じて聴くとあたかも自分自身が登山し、目の前にアルプス山脈が聳えるようです。

リヒャルト・シュトラウス:『アルプス交響曲』(1915年作曲)
「夜~日の出~登山~森への立ち入り~小川のほとりの旅~ 滝で~幻影~花盛りの風景~
 アルプスの牧草地で~藪と繁みに迷って~氷河の上~危ない瞬間~頂上~光景~霧が
 立つ~日は次第に翳る~悲歌~嵐の前の静けさ~ 雷雨と嵐、下山~日没~終結~夜」
 全22章


自作自演盤


*推薦盤 カラヤン&ベルリン・フィル(1980年録音)


*推薦盤 カラヤン&ベルリン・フィル(1983年ベルリンでのライヴ映像)


また指揮者としても有名だったリヒャルト・シュトラウスが振ったベートーヴェン:
交響曲第5&7番の録音も残されています。

リヒャルト・シュトラウス&ベルリン国立歌劇場管弦楽団(1926年,1928年録音)


栄光に満ちたリヒャルト・シュトラウスの生涯ではありますが、晩年には暗雲が立ちこめ
てきます。それはナチスが台頭した1930年代以降からで、ナチスが創設した第三帝国・
帝国音楽院総裁の任に就きます。リヒャルト・シュトラウス本人の真意がどのようなもの
であったかは後年様々な事が言われてきましたが、戦後この件によって非ナチ化裁判にか
けられることになります(結果は無罪)

政治的事実はその時代に生きた人々の価値観などによって大きく左右されるでしょうが、
こと芸術によって生み出された作品は時代には左右されない普遍性が備わっているのでは
ないでしょうか。

リヒャルト・シュトラウスが遺した音楽作品を聴くとそのように感じます。


Walter CONDUCTS Mahler

2008-03-01 | Classical♪
マーラー:交響曲第9番
 指揮:ブルーノ・ワルター/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
   (1938年1月16日 ウィーン楽友協会ホールでのライヴ録音)

マーラー第9番を語るうえで一度は聴かなければいけないと言われる大名盤。

この演奏会が行われた1938年のオーストリアはナチス・ドイツによる併合が目前に迫る緊迫の
年であり、ユダヤ人への迫害も日々増していました。
こうした状況下のオーストリア・ウィーンで行われた演奏会...
ユダヤ人のワルターがユダヤ人の師マーラーに捧げた演奏会であるのは無論のことですが、
多くの同胞へ語りかけているようでもあります。
そしてこの演奏会の後、ワルターは亡命します。
こうした時代背景が、この世紀の名演を生んだのではないでしょうか。

クラシック音楽における名演・名盤が戦中・戦後の間もない時代に多いのも決して偶然ではない
ように思えます。戦後の平和な時代に演奏されるクラシック音楽の中にも名演・名盤は数多く生
まれてはいますが、戦中・戦後の間もない時代の演奏と決定的に違うのは、演奏する側も聴く側
も切実な思いと真摯な姿勢でクラシック音楽と向き合っていたことではないでしょうか。

もちろん現在新しく録音されるすべてのクラシック音楽がそうであるわけではありません。
現に新録音の中にも素晴らしいものもたくさんあるからです。
しかし現在、一般的にクラシック音楽を聴くという事に関してだけ言わせてもらいますと
〈クラシック=癒し~ヒーリング・ミュージック、くつろぎ~リラクゼーション・ミュージック〉
と捉えられがちなのではないでしょうか...もちろんそれは今の時代に合った形なのですが...
それに対してあの時代クラシック音楽を聴くという事は〈クラシック=自由・希望・勇気〉と
人々に捉えられていたように思えます。ちょっと極端な言い方ではありますが...
また大指揮者と呼ばれた人たちが何故大指揮者と呼ばれ、何故この時代にだけ存在したのかも、
このあたりに所以があるように思います。

それぞれの時代によってクラシック音楽(だけでなくすべての芸術作品)に対する人々の意識・
価値観は常に変化するということなのでしょう。
それはある意味、自然なことでもあります。

だからこそクラシック音楽は時代が変化しても、その時代の解釈・価値観で演奏されるが故に
いつまでも〈クラシック=古典〉であるにも関わらず、絶えず聴く者の心に新鮮に響くのでは
ないでしょうか~

話を元に戻します~
今からもう70年前の1938年の録音にも関わらず良好な録音状態で残されていたことは奇跡と
しか言いようがありません。

そして”この日”この”演奏会”に訪れた人々のその後の運命をも考えずにはいられません。

ここでの演奏会の記録は作曲者マーラーが真に望んだ演奏会の記録であると同時に、この時代に
生まれ合わせた人々のドキュメントでもあるのではないでしょうか...

*《Bruno Walter=ブルーノ・ワルター》(ユダヤ系ドイツ人 1876-1962)指揮者


大名盤ということもあり数多くのレコード・レーベルから発売されており、どの盤にするか迷い
ました(レコード・レーベルによってマスタリングの仕方が異なり音質も違うからです)
まず最初の1枚は〈Dutton盤〉に決めました。


Dutton=イギリス



EMI=ヨーロッパ(*EMI盤がオリジナル)



Naxos=香港



Classica D'oro=アメリカ



Opus蔵=日本(*SP,LP盤からの復刻音源として定評のあるレーベル)

Johannes Brahms

2008-02-23 | Classical♪
久々のクラシック音楽家シリーズです~
今回で第8弾となります。

19世紀のウィーンで活躍した《ヨハネス・ブラームス》(ドイツ 1833-1897)

ドイツ三大B《Bach,Beethoven,Brahms》の1人として讃えられるブラームスの作品は一聴
するだけですと、どことなく哀愁が漂っていて、ともすると陰鬱な印象が先行しがちですが、
しかし聴き込んでいくと、この哀愁の彼方に見え隠れする強靭な精神の強さに気付きます。
そしてひとたびそれに気付くと絶えず聴く者の心を揺さぶらずにはいられません。

20年もの歳月を費やし完成させた『交響曲第1番』...

指揮者ハンス・フォン・ビューロー曰く
「この交響曲はベートーヴェンが遺した9つの交響曲に次ぐ10番目の交響曲と言っても
 過言ではないだろう」

この言葉はブラームスにとって最大級の賛辞だったことは言うまでもありません。

ブラームスがその生涯に遺した交響曲は全部で4作品あり、そのどれもがベートーヴェンの
真の後継者たる堂々とした作品です。

ちなみに私が一番好きなブラームスの交響曲は第4番で次に第2番、第1番、第3番と続きます。
管弦楽作品では『悲劇的序曲』が一番好きで、私が思うにベートーヴェンの『エグモント序曲』
に並ぶ傑作ではないでしょうか。

室内楽でも多くの傑作があり、『クラリネット五重奏』はモーツァルトの作品と並び讃え
られ、『チェロ・ソナタ』はベートーヴェンと、そして『弦楽六重奏』第1番の第2楽章で
奏でられる旋律は哀愁の極致を表現していて胸を締めつけられるほど切ないです。

また宗教曲『ドイツ・レクイエム』では〈ラテン語〉を用いず、大胆にも〈ドイツ語〉を
用いています。

ブラームスの音楽に目覚めるとバッハの崇高さ、モーツァルトの美しさ、ベートーヴェンの
峻厳さが一段と深まってクラシック音楽を聴く歓びに溢れてきます~

Mahler:Symphony No. 9

2008-02-21 | Classical♪
古今東西...

数多くある交響曲の中で私が最も好きな交響曲をひとつだけ挙げるとすれば迷わず
『マーラー:交響曲第9番』です。

交響曲の歴史は〈交響曲の父〉と呼ばれるハイドンから確立し、モーツァルトを経て、
ベートーヴェンで完成します。

ベートーヴェン以降、ドイツ系の作曲家シューマン、ブルックナー、ブラームスらが
占めた交響曲の歴史の中で新星の如く現れたのがマーラーでした。

ユダヤ系のマーラーは生涯に9つの交響曲を遺します(第10番は未完)
第9番は死の前年(1910年)に完成しましたが、生前演奏を聴くことは叶いません
でした。

マーラーの死後、初演を果たしたのが弟子のブルーノ・ワルターです。
(1912年6月26日 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団)

マーラーの第9は名盤の数も多いので、今回は私が今まで聴いたベルリン・フィル盤に
絞り込んでみることにします。


指揮:レナード・バーンスタイン(1979年ベルリン・ライヴ)



指揮:ヘルベルト・フォン・カラヤン(1982年ベルリン・ライヴ)



指揮:クラウディオ・アバド(1999年ベルリン・ライヴ)

上記の3アルバムは、すべて魂のこもった熱演であり、文字通り指揮者と演奏者が一体
となった記録でもあります。

そして今回取りあげるアルバムは指揮者ジョン・バルビローリ(イギリス 1899-1970)
が1964年にベルリン・フィルと録音したものです。


今でこそマーラーを演奏するベルリン・フィルは珍しくはありませんが、バルビローリ
が1963年にベルリン・フィルに客演してマーラーの第9を演奏するまでは、ほとんど
取りあげられなかったのではないでしょうか。
そしてその演奏会が大成功し、ベルリン・フィル全団員がバルビローリとの録音を希望
して生まれたのが、本アルバムです(*ベルリン・フィル団員から録音を希望するとい
うのは稀なことです)

ベルリン・フィルがマーラー第9と本当の意味で向き合った最初の記念碑的アルバムでも
あります。

イギリス人指揮者バルビローリから43年後の2007年に同じくイギリス人指揮者ラトルが
録音したマーラー第9が来月発売なので注目です。


CDライナーにもあるようにマーラーの第9交響曲は全4楽章を通して四幅対の〈死の踊り〉
と解釈できます。それは作曲者自身が迫り来る〈死の予感〉の中で作曲したからとも推測
できます。

《交響曲第9番 ニ長調》
1楽章:解放者としての死
2楽章:踊りのフィドラー(ヴァイオリン奏き)としての死
3楽章:戦いにおける敵対者としての死
4楽章:慰めてくれる友としての死

*初演した指揮者ブルーノ・ワルター曰く:第4楽章について~
「マーラーは心静かに世界に別れを告げている...紺碧の大空に溶けこんでゆく雲のように...」

Berliner Philharmoniker

2008-02-17 | Classical♪
世界に数多くあるオーケストラの中でも悠久の歴史と実力が備わり、万人が認める二大
オーケストラと言えば、1842年創設の《ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団》
(オーストリア)と1882年設立の《ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団》(ドイツ)
ではないでしょうか。

今回は《ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団》を取りあげてみたいと思います。

ベルリン・フィル初代首席(常任)指揮者《ハンス・フォン・ビューロー》(ドイツ
1830-1894/在任期間 1887-1892)が指揮した録音は残っていませんが、その後の
ベルリン・フィル栄光の歴史を見ればビューローの指導が如何に卓越したものであった
かは明確です。

余談ですがビューローの最初の奥さま《コジマ》は後に《ワーグナー》と再婚して
います。そのコジマはあの作曲家兼ピアニストの《フランツ・リスト》の娘です。


第2代首席(常任)指揮者《アルトゥール・ニキシュ》(ハンガリー 1855-1922/在任
期間 1895-1922)は今日のベルリン・フィルにみられる厳格さを兼ね備えたオーケス
トラへと育てあげます。

幸いなことにニキシュが指揮した録音(ベートーヴェン:交響曲第5番『運命』/
ベルリン・フィル/1913年11月10日)が残されています。
また断片ではありますがニキシュが指揮する映像も残されています。
当時の姿をうかがう事ができる貴重な資料と言えます。


そして第3代首席(終身)指揮者に就任するのが20世紀最大の大指揮者と呼ばれた
《ヴィルヘルム・フルトヴェングラー》(ドイツ 1886-1954/在任期間 1922-1945、
1952-1954)第二次世界大戦当時、ナチスの迫害から逃れるためドイツから亡命者が続出
する中、祖国ドイツに留まり音楽芸術で敢然とナチスと立ち向かうフルトヴェングラー...

その戦時下におけるドイツ・ベルリンでの演奏会は録音され残されており、現在でも聴く
ことができるのは奇跡と言えます。


フルトヴェングラーが戦中戦後ベルリン・フィルから離れた期間最初にベルリン・フィルを
担った第4代首席指揮者《レオ・ボルヒャルト》(ドイツ 1899-1945/在任期間 1945)

しかし不運にも就任僅か3ケ月後の1945年8月23日にベルリン駐屯のアメリカ軍兵士の
誤射に遭って亡くなります。


レオ・ボルヒャルトの突然の不慮の死によって、
第5代首席指揮者となった《セルジュ・チェリビダッケ》(ルーマニア 1912-1996/
在任期間1945-1952)

彼は戦後の最も大変な時期にベルリン・フィルを担うことになります。
誰もがフルトヴェングラーの次代はカラヤンと思いがちですが、フルトヴェングラーが
非ナチ化裁判で身動きがとれなかった時期にベルリン・フィルを守ったのはチェリビダ
ッケなのです。チェリビダッケの存在を決して忘れてはなりません。
ルーマニア出身の無名の指揮者が弱冠33才の若さでフルトヴェングラーに替わってベル
リン・フィルを担うことになります。ベルリン市民にも大絶賛され誰もが次代のベルリ
ン・フィル常任指揮者だと思っていましたが1954年の演奏会を最後にベルリン・フィル
と決別します。原因はチェリビダッケの厳しいリハーサルにあったとされています。
その後1992年までベルリン・フィルと演奏することはありませんでした。
ベルリン・フィルと決別後もチェリビダッケは活躍し、晩年にはミュンヘン・フィルと
の来日公演があったりと日本のファンにも馴染み深いです。


戦後の困難な時代を乗り切り、そして大指揮者フルトヴェングラーの死後、新たな飛躍
の担い手に白羽の矢が立ったのが20世紀クラシック音楽界において人々から”帝王”と
呼ばれた《ヘルべルト・フォン・カラヤン》(オーストリア 1908-1989/在任期間
1955-1989)が、満を持して第6代首席(終身)指揮者(芸術監督)に就任します。

ここからの30年間はベルリン・フィルの黄金時代であり、多くの録音が残されました。
カラヤンについては今さら説明するまでもなく、亡き後の現在にあってもフルトヴェン
グラーと共に新しい世代のファンが生まれ続けています。
ある意味、カラヤンを最後に”大指揮者”=”マエストロ”と呼ばれた人が存在する時代が
終わったとも言えるのではないでしょうか...


カラヤン亡き後、世界中が注目する中、第7代首席指揮者(芸術監督)へ就任したのは、
《クラウディオ・アバド》(イタリア 1933-/在任期間 1990-2002)でした。

それは大変な時期での就任だったと言えます。
ベルリン・フィル代々の常任指揮者があまりにも偉大で指揮だけに留まらない絶大な
影響力とカリスマ性を持ち合わせていたからです。
それに比べアバドはどちらかというと温厚な人柄で強い個性をあまり表に出さない
人物でした。しかし考え方次第では絶えず強いカリスマ性の強い指揮者が君臨した
ベルリン・フィルの歴史の中にあってはアバドのような温厚な人物が入る期間が必要
だったのではないでしょうか。
アバド時代の定期演奏会では今までの重厚なドイツ的作品以外のレパートリーも多く
取り入れられています。演奏会映像も残されており、この頃のベルリン・フィルの団員
1人1人が伸び伸びと演奏する姿を観ることができます。将来、アバド時代も高い評価
を得られることだと思います。


そして現在、第8代首席指揮者(芸術監督)として活躍が期待されているのが、
《サイモン・ラトル》(イギリス 1955-/在任期間 2002-)です。

伝統を継承しつつも、新しいベルリン・フィルの方向を模索している姿が随所に感じ
とれます。そんな中、来月発売されるマーラー:交響曲第9番(2007年10月のライヴ)
が楽しみです。ベルリン・フィルにおけるマーラー第9番は過去において数々の名演が
あります。

録音順に挙げますとバルビローリ、カラヤン、バーンスタイン、アバド...
ラトルが如何にして、この巨匠達の演奏を凌ぐかが注目です。

21世紀に羽ばたく新時代のベルリン・フィルに期待します~


備考:書籍『ベルリン・フィル物語』はベルリン・フィル名盤検索のガイド本として
最適です。

The Last Message

2008-02-07 | Classical♪
アメリカ人では最初の世界的指揮者:レナード・バーンスタインが逝って今年で18年と
なりますが、亡くなる3ケ月前に日本では最後となるコンサートが行われました。

その模様はDVD『バーンスタイン~最後のメッセージ』で観ることができます。
《シューマン:交響曲第2番》(1990年7月3日札幌厚生年金会館)
  演奏:PMFオーケストラ

バーンスタインが生涯の最後の時間に費やしたのは後継者の育成でした。

元来、教育者としても著名でかつてニューヨーク・フィルと行った「ヤング・ピープ
ルズ・コンサート」は、子供たちへのクラシック音楽教育の先駆けでもありました。

PMFオーケストラも若い音楽家たちで構成された楽団で、このDVDにも収録されてい
ますリハーサルではバーンスタインがこの若い音楽家の卵たちに慈愛のこもった熱血
指導を行っています。

第1回PMF(パシフィック・ミュージック・フェスティバル)が開催された1990年
以降、現在も毎年夏に札幌で開催されており、バーンスタインが遺した意志は引き
継がれています。

ベルリン・フィルと第三帝国

2008-02-04 | Classical♪
今月発売されるドキュメントDVD『ベルリン・フィルと第三帝国~ドイツ帝国オーケストラ』

HMVレビューより:
ナチス政権下時代のベルリン・フィルを団員の証言と当時の演奏を中心とした映像により
活写したドキュメンタリー『ベルリン・フィルと第三帝国』(原題:The Reichsorchester)
楽団創設125年を迎えた昨年、同フィルの125周年フェスティバルに前後して上映され、
非常に高評価を得た同作品。
映画『ベルリン・フィルと子どもたち』の監督、エンリケ・サンチェス・ランチが手がけ
たドキュメンタリー。
125年という楽団の長い歴史の中でタブー視されてきた1933年~45年までのナチス政権
下にスポットを当てた作品です。
1936年ベルリン五輪で指揮するリヒャルト・シュトラウスの初出映像をはじめ、ヒトラー
生誕記念前夜祭でのフルトヴェングラーの第九、楽団をバックに演説するゲッベルスの映
像などを収録。当時を振り返りながら語る楽員へのインタビューを元に第三帝国下の楽団
を検証していきます

収録時間:本編90分、特典映像10分
字幕:英語、ドイツ語、フランス語、スペイン語、日本語



HMVのレビューにも紹介されている通り、
今まで断片では観ることが可能だった主な映像がほぼ収録されています。
それはナチスのプロパガンダのひとつの手段としてベルリン・フィルも影響を免れなかっ
た時代の記憶です。ベルリン・フィル栄光の歴史の中で最も暗い時代だったと言えます。

また今回の作品には収録されていませんが1936年に行われたベルリン・オリンピックも
有名です。記録映画『オリンピア』(第1部:民族の祭典/第2部:美の祭典)として作品
化されました。皮肉なことに当時のドイツがナチス政権下だったが故に貴重な映像が残さ
れたわけです。

話を戻しますがドイツの大指揮者フルトヴェングラーがヒトラー生誕記念前夜祭でベート
ーヴェンの第9を指揮し、演奏終了直後にフルトヴェングラーに歩み寄ったゲッベルスと
握手する映像が残されています。これはゲッベルスが政治的意図を狙った行為だと言われ
ています。当時既に世界的に有名だったフルトヴェングラーをナチスの宣伝に利用するた
め。後にこの映像が連合国側にフルトヴェングラーがナチスに協力的であったとの見解を
与えることになります。後年フルトヴェングラー本人が述懐していますが、この公の場で
の握手は不覚だったと悔いています。しかしこの事によって戦後2年間フルトヴェングラー
は連合国側より演奏活動禁止に処されます。



こういった事情もあり、戦後2年後にあたる1947年5月25日(戦後初の復帰演奏会)
ドイツ・ベルリンで振った ”ベートーヴェン:第5番『運命』”はあまりにも有名です。
ベルリン・フィルとの再会の演奏
数多くある『運命』の中で最も劇的な演奏としてクラシック音楽史に刻まれています。
*ベートーヴェン:第5番『運命』は1947年5月27日の演奏も有名です。

今だからこそ語れるナチス政権下における極限下での当時...
当時を知らない後世の我々が追体験することが出来る大変貴重な作品と言えます。

The Complete EMI Recordings

2008-02-02 | Classical♪
今年は20世紀のクラシック音楽界に君臨し《帝王》と称され、そして亡き後も影響を
与え続ける大指揮者:ヘルベルト・フォン・カラヤン(オーストリア 1908-1989)
の生誕100年にあたります。

それを記念したCDが間もなく発売されます。
クラシック三大レーベルのひとつ「EMI」より、カラヤンが生前「EMI」へレコーディ
ングした全集です。第1集がCD87枚組、第2集がCD71枚組、併せて158枚の膨大な
数です。

私がカラヤンを聴き始めた時は既に他界した後でしたが、音楽(芸術)に携わる人の
魂というものはたとえ今世での命が尽きても、未来をも凌駕する普遍的なエネルギー
が備わっていると思います。

カラヤンを聴くと特にそれを感じます。


La Traviata

2007-12-07 | Classical♪
ヴェルディの作品の中で、華麗でありながらも薄幸の女性を描いた代表的な作品と言えば
まず真っ先に歌劇『椿姫』を思い起こします。

この作品を録音した盤は数多く存在しますが、今でも世紀の名盤と言われるものでは、
カルロ・マリア・ジュリーニ指揮/ミラノ・スカラ座管弦楽団&合唱団、
そして《マリア・カラス》が歌った1955年のライヴ録音盤と言われています。

音質は決して良くなく、しかもモノラルなので現在の録音水準からすると厳しいものが
ありますが、そんな事よりも一聴して気付くのは現在では決してありえない当時の観衆
の熱狂振りです。

それはこの『椿姫』という作品の素晴らしさに依ることは言うまでもありませんが、
なによりも20世紀最高のディーヴァと謳われた《マリア・カラス》の存在にあったの
だと思います。

第1幕『美に飾られた楽しい杯で』のマリア・カラスの歌声にいきなり圧倒させられます!
歌が終わらないうちに万来の拍手喝采が巻き起こります。

このCDに収められた音源でさえマリア・カラスの歌声の迫力が伝わってきます。
ましてやこの実演を目撃した当時の観衆の感動感激が如何ばかりであったかを想像します。

生涯に一度は、このマリア・カラスの『椿姫』を聴くことをお薦めします。

Symphony No. 9 "Choral"

2007-11-11 | Classical♪
またまた出ます~
『バイロイト音楽祭1951』のCDが~

言うまでもなく大指揮者ウィルヘルム・フルトヴェングラーが戦後再開されたバイロイト音楽祭で
《ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱」》(1951年7月29日 ドイツ・バイロイトにて)を指揮
したものです。

半世紀以上に渡って【音の世界遺産】とまで称されるこの演奏は新しいCDが発売される度に音が
鮮明になっていきます。

今年の夏に購入した〈オタケンレコード〉による音のクオリティーには驚かされました。
フルトヴェングラーがステージに登場して指揮台に登るまでの足音が鮮明に聴こえるのです。
目を閉じてヘッドフォンで聴けば、自分もあの日の会場に居る気さえするほどです。




今回の〈MYTHOS〉に
よる音も良いとの事です。それよりも今回の目玉はなんと言っても[完全復刻パンフレット&
サイン入り写真の複製]です。




追伸:もう何枚も買っている『バイロイト音楽祭1951』のCDなのですが...
   一体これから何枚買い続けるのでしょうか~(苦笑)

伝説の東京公演

2007-11-01 | Classical♪
遂に聴きました~

指揮:朝比奈 隆と大阪フィルハーモニー交響楽団が1973年7月24日東京文化会館で行った演奏会
曲目はブルックナー:交響曲第5番 変ロ長調(原典版)

CDライナーによりますと朝比奈氏と大阪フィルが「討死に覚悟」で東京に乗り込んだ伝説の
名演との事です。

当時、日本を代表するオーケストラといえばNHK交響楽団を筆頭に東京交響楽団、新日本フィル
ハーモニー交響楽団など東京のオーケストラが主導であり、東京以外のオーケストラはまだまだ
実力不足といった評価が一般的でした。

大阪からやって来たオーケストラとなると一体どんな音を出すの?
あるいはちゃんと演奏が出来るの?
といった感覚が当時の人たちにはあったようです。

そこで朝比奈氏が手塩をかけて育て上げた大阪フィルを引き連れての第12回目の東京公演...
演奏時間およそ79分が本CDです。

最初の一音からしてとても大阪のオーケストラが出しているとは思えないほど緊迫感があって
迫力のある重厚な音です。それは最後楽章の壮絶なフィナーレに到るまで持続します。

ある意味、この日の演奏をもって大阪(日本)のオーケストラであっても、あのブルックナーの
大曲を演奏することができるんだと証明した瞬間でもありました。

私も今年に入ってから日本が誇る大指揮者:朝比奈 隆氏の演奏を聴き始めてからは、今までの
海外オーケストラ一辺倒であった聴き方をあらためました。

音楽(演奏)には、まだまだ出会っていない数多くの名曲(名演)があることを再認識しました。

il pianoforte di Chopin

2007-10-19 | Classical♪
《Arturo Benedetti Michelangeli=アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリ》
(イタリア 1920-1995)クラシック・ピアニスト

イタリアが誇る20世紀を代表するピアニストです。

今まで何度か聴こうかと思いながら不思議と今日まで聴かずに来てしまいました。
それで今日初めて聴いたミケランジェリのCDは生前発売されることなく今夏発売
されたものです。

『ミケランジェリ/オール・ショパン・リサイタル』

・幻想曲 へ短調 op.49
・前奏曲 嬰ハ短調 op.45
・ピアノ・ソナタ第2番 変ロ短調
・マズルカ ヘ短調 op.68-4
・マズルカ 嬰ト短調 op.33-1
・マズルカ 変ニ長調 op.30-3
・マズルカ 嬰へ短調 op.59-3
・バラード第1番 ト短調 op.23-1
・アンダンテ・スピアナートと華麗な大ポロネーズ op.22

(イタリア・プラト~メタスタシオ劇場 1967年6月28日)

本CDはライヴならではの臨場感と緊張感を追体験できる大変素晴らしい内容です。
もっともっとミケランジェリを聴いてみたくなりました。


こちらは明日発売されるCDです。


『ライヴ・イン・東京1973』

・シューマン:ウィーンの謝肉祭の道化
・ショパン:ピアノ・ソナタ第2番
・ラヴェル:高雅で感傷的なワルツ
・ラヴェル:夜のガスパール

(東京文化会館 1973年10月29日)

cocerto no. 5 "emperor"

2007-10-12 | Classical♪
《Helene Grimaud=エレーヌ・グリモー》(フランス 1969-)クラシック・ピアニスト

ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番『皇帝』を女流ピアニストが演奏したCDはそうあり
ません。しかも名門『ドイツ・グラモフォン』からのリリースとなると注目が集まります。
私にとって女流ピアニストが弾く『皇帝』は初試聴です。

今日、早速聴いてみました。

最初のオーケストラの第一音...録音が素晴らしいせいか瑞々しく躍動感があります...
そしてあの有名なピアノの旋律へ...
とても美しいベートーヴェンです。
こんなに瑞々しく美しいベートーヴェンは初めて聴きました。

つい先日のブログで「ベートーヴェンには重厚かつ鉄壁な要素=演奏を私は好みます。
微塵たりともお洒落であってはならないのです」と言い切ったのを撤回致します~苦笑
こんなに美しいベートーヴェンもありなんだということを知りました。

エレーヌ・グリモーはピアノだけでなく、動物とのふれあいを記した著書『野生のしら
べ』も執筆しています。私は未読ですが今度読んでみようかと思います。


来年6月には来日公演もあるとのことです。
今後の更なる活躍が期待されます。

Wilhelm Backhaus

2007-10-11 | Classical♪
《Wilhelm Backhaus=ヴィルヘルム・バックハウス》(ドイツ 1884-1969)
 クラシック・ピアニスト

言うまでもなく20世紀ドイツ・クラシック界における指揮者フルトヴェングラーと並び称される
偉大な人物です。戦後、フルトヴェングラーと同じく連合国側から戦時中ナチスに協力したとの
嫌疑で一時演奏活動の中断を余儀なくされますが、無罪が証明された後は逝去する直前まで
勢力的な演奏活動を行いました。

バックハウスと言えばドイツ音楽の伝統を重んじる演奏がとりわけ有名で特にベートーヴェン、
ブラームスは21世紀の現在においてもまったく色褪せることはありません。

今年の夏に発売(発掘音源)されたベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番変ホ長調『皇帝』は
(指揮:ゲオルク・ショルティ/演奏:ケルン放送交響楽団)
(1956年6月25日/ドイツ・ケルン~WDRフンクハウスでのライヴ)
バックハウスの真価をあらためて証明する1枚となりました。


そして来月末に発売予定(発掘音源)の『アメリカ・ニューヨーク~カーネギー・ホールでの
1956年ライヴ』も大変待ち遠しいです。



収録曲:
・ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第14番嬰ハ短調 op.27-2『月光』
・ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第29番変ロ長調 op.106『ハンマークラヴィーア』

(アンコール)
・シューベルト:即興曲 変ロ長調 op.142-2
・ショパン:練習曲第14番 へ短調 op.25-2
・シューマン:予言の鳥 op.82-7
・モーツァルト:ピアノ・ソナタ第11番 K.331 トルコ行進曲付き

この録音テープはバックハウス未亡人の自宅地下室に保管されていたとのことです。
特にピアノ・ソナタ第29番『ハンマークラヴィーア』は1952年のスタジオ録音しか存在
しないと思われていたので大変な発見です。しかもライヴとなると尚更です...

Andras Schiff

2007-10-04 | Classical♪
《Andras Schiff=アンドラーシュ・シフ》(ハンガリー 1953-)クラシック・ピアニスト

私が初めて聴いたバッハの鍵盤作品集はグレン・グールドでした。
その後しばらくの間グールド以外は聴きませんでしたが、昨年アンドラーシュ・シフのバッハ
鍵盤作品集を聴きました。


グールドとは違った解釈でのシフのバッハ...
グールドのスタインウェイに対してシフはベーゼンドルファーのピアノ...
シフもグールドと同じくとても好きになりました。

次はバッハ:ピアノ協奏曲全集を聴いてみることにします。



追伸:トップ写真は先年、私が初めて購入したモーツァルト:ピアノ協奏曲全集です。
   ここでのシフのピアノも大変素晴らしいです。