nachtmusik

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Berliner Philharmoniker

2008-02-17 | Classical♪
世界に数多くあるオーケストラの中でも悠久の歴史と実力が備わり、万人が認める二大
オーケストラと言えば、1842年創設の《ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団》
(オーストリア)と1882年設立の《ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団》(ドイツ)
ではないでしょうか。

今回は《ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団》を取りあげてみたいと思います。

ベルリン・フィル初代首席(常任)指揮者《ハンス・フォン・ビューロー》(ドイツ
1830-1894/在任期間 1887-1892)が指揮した録音は残っていませんが、その後の
ベルリン・フィル栄光の歴史を見ればビューローの指導が如何に卓越したものであった
かは明確です。

余談ですがビューローの最初の奥さま《コジマ》は後に《ワーグナー》と再婚して
います。そのコジマはあの作曲家兼ピアニストの《フランツ・リスト》の娘です。


第2代首席(常任)指揮者《アルトゥール・ニキシュ》(ハンガリー 1855-1922/在任
期間 1895-1922)は今日のベルリン・フィルにみられる厳格さを兼ね備えたオーケス
トラへと育てあげます。

幸いなことにニキシュが指揮した録音(ベートーヴェン:交響曲第5番『運命』/
ベルリン・フィル/1913年11月10日)が残されています。
また断片ではありますがニキシュが指揮する映像も残されています。
当時の姿をうかがう事ができる貴重な資料と言えます。


そして第3代首席(終身)指揮者に就任するのが20世紀最大の大指揮者と呼ばれた
《ヴィルヘルム・フルトヴェングラー》(ドイツ 1886-1954/在任期間 1922-1945、
1952-1954)第二次世界大戦当時、ナチスの迫害から逃れるためドイツから亡命者が続出
する中、祖国ドイツに留まり音楽芸術で敢然とナチスと立ち向かうフルトヴェングラー...

その戦時下におけるドイツ・ベルリンでの演奏会は録音され残されており、現在でも聴く
ことができるのは奇跡と言えます。


フルトヴェングラーが戦中戦後ベルリン・フィルから離れた期間最初にベルリン・フィルを
担った第4代首席指揮者《レオ・ボルヒャルト》(ドイツ 1899-1945/在任期間 1945)

しかし不運にも就任僅か3ケ月後の1945年8月23日にベルリン駐屯のアメリカ軍兵士の
誤射に遭って亡くなります。


レオ・ボルヒャルトの突然の不慮の死によって、
第5代首席指揮者となった《セルジュ・チェリビダッケ》(ルーマニア 1912-1996/
在任期間1945-1952)

彼は戦後の最も大変な時期にベルリン・フィルを担うことになります。
誰もがフルトヴェングラーの次代はカラヤンと思いがちですが、フルトヴェングラーが
非ナチ化裁判で身動きがとれなかった時期にベルリン・フィルを守ったのはチェリビダ
ッケなのです。チェリビダッケの存在を決して忘れてはなりません。
ルーマニア出身の無名の指揮者が弱冠33才の若さでフルトヴェングラーに替わってベル
リン・フィルを担うことになります。ベルリン市民にも大絶賛され誰もが次代のベルリ
ン・フィル常任指揮者だと思っていましたが1954年の演奏会を最後にベルリン・フィル
と決別します。原因はチェリビダッケの厳しいリハーサルにあったとされています。
その後1992年までベルリン・フィルと演奏することはありませんでした。
ベルリン・フィルと決別後もチェリビダッケは活躍し、晩年にはミュンヘン・フィルと
の来日公演があったりと日本のファンにも馴染み深いです。


戦後の困難な時代を乗り切り、そして大指揮者フルトヴェングラーの死後、新たな飛躍
の担い手に白羽の矢が立ったのが20世紀クラシック音楽界において人々から”帝王”と
呼ばれた《ヘルべルト・フォン・カラヤン》(オーストリア 1908-1989/在任期間
1955-1989)が、満を持して第6代首席(終身)指揮者(芸術監督)に就任します。

ここからの30年間はベルリン・フィルの黄金時代であり、多くの録音が残されました。
カラヤンについては今さら説明するまでもなく、亡き後の現在にあってもフルトヴェン
グラーと共に新しい世代のファンが生まれ続けています。
ある意味、カラヤンを最後に”大指揮者”=”マエストロ”と呼ばれた人が存在する時代が
終わったとも言えるのではないでしょうか...


カラヤン亡き後、世界中が注目する中、第7代首席指揮者(芸術監督)へ就任したのは、
《クラウディオ・アバド》(イタリア 1933-/在任期間 1990-2002)でした。

それは大変な時期での就任だったと言えます。
ベルリン・フィル代々の常任指揮者があまりにも偉大で指揮だけに留まらない絶大な
影響力とカリスマ性を持ち合わせていたからです。
それに比べアバドはどちらかというと温厚な人柄で強い個性をあまり表に出さない
人物でした。しかし考え方次第では絶えず強いカリスマ性の強い指揮者が君臨した
ベルリン・フィルの歴史の中にあってはアバドのような温厚な人物が入る期間が必要
だったのではないでしょうか。
アバド時代の定期演奏会では今までの重厚なドイツ的作品以外のレパートリーも多く
取り入れられています。演奏会映像も残されており、この頃のベルリン・フィルの団員
1人1人が伸び伸びと演奏する姿を観ることができます。将来、アバド時代も高い評価
を得られることだと思います。


そして現在、第8代首席指揮者(芸術監督)として活躍が期待されているのが、
《サイモン・ラトル》(イギリス 1955-/在任期間 2002-)です。

伝統を継承しつつも、新しいベルリン・フィルの方向を模索している姿が随所に感じ
とれます。そんな中、来月発売されるマーラー:交響曲第9番(2007年10月のライヴ)
が楽しみです。ベルリン・フィルにおけるマーラー第9番は過去において数々の名演が
あります。

録音順に挙げますとバルビローリ、カラヤン、バーンスタイン、アバド...
ラトルが如何にして、この巨匠達の演奏を凌ぐかが注目です。

21世紀に羽ばたく新時代のベルリン・フィルに期待します~


備考:書籍『ベルリン・フィル物語』はベルリン・フィル名盤検索のガイド本として
最適です。


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