よったろーのせーさく日記3

よったろーのせーさく日記からの引き継ぎです。
ちょちょいのよったろーと申します。
改めましてよろしくお願いします。

ファーブラ・フィクタ ルーメン・テネブライ編4話21

2016-05-30 17:02:55 | 日記
 ドドドドドドドドドドガガガガガドドドドドドドドドドドドドガガガガガガドドドドドドドドドドドドドガガガガガガガガガガガドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドガガガガガガガガガガガガガドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド……
 ピキィ……
 という音が鳴り、ついに、怨嗟のエネルギーの勢いに負け、その中に居たキャリアに怨嗟のエネルギーが直撃した――
 かに見えた。
 が、その中に居たキャリアは緑の光体で作り出したキャリアのダミーだった。
 彼女は初めからその中には居なかった。
 彼女は別の場所に瞬間移動し、オレンジの光体で呪業のウィークポイントを調べていた。
 そして、囮に呪業が驚いた一瞬の隙をついて、残る赤の光体を巨大な斧に変化させ、それを背中に振り下ろした。
 赤も緑の光体と同じでクアンスティータで言えば、背花変に当たる万能細胞で出来ている。
 だが、どちらも、背花変と比べれば力に制限があり、赤の光体が出来ても緑の光体が出来ない事、逆に緑の光体が出来て赤の光体が出来ない事もある。
 また、どちらも出来る事とどちらも出来ないこともあり、背花変よりは数段劣る力と言える。
 だが、それでも相当な力であることは間違いなかった。

ファーブラ・フィクタ ルーメン・テネブライ編4話20

2016-05-30 17:01:01 | 日記
 さらに光体の形状を変えるキャリア。
 今度は巨大な鞭のようなものだ。
 先端には反物質を生成する玉のようなものが取り付けられている。
 しなる鞭。
 千変万化、変幻自在の攻撃に呪業は距離を取る。
 追いかけるキャリア。
 だが、ここで、呪業の反撃が始まる。
 殺気を込めたうなり声をあげる。
 その声の恐ろしさに周りの存在が恐怖を感じる。
 その恐怖をエネルギーに変換して、キャリアにしむける。
 ドドドドドガドガドガドドドドドドドドドドドドドドドドドガガガガガドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドガガガドドドドドドドドドドドドド……
 もの凄い勢いでキャリアに向かって行く凶悪な畏怖と怨念のエネルギー。
 キャリアは頭上の黄色の光体に手を伸ばし、球状の盾を作り出す。
 黄色の光体には様々な極端な浄化効果を持っている。
 今回ではこれが大きな効果を持つ。
 青色の光体には逆浄化の効果を持っているが、それは、闇属性ではなく、光属性の存在に対して効果を持つ。
 キャリアの黄色の光体の盾に次々と怨嗟のエネルギーが突っ込んでいく。
 突っ込んで行った怨嗟のエネルギーはすぐに浄化され、昇天していく。
 とりあえずは受けきっているが、なにしろ、勢いがもの凄い。
 このままでは力押しで負けてしまう。
 怨嗟のエネルギーは勢いを増す。

ファーブラ・フィクタ ルーメン・テネブライ編4話19

2016-05-30 17:00:36 | 日記
「ありがとう。でも、良いわ。どうしてもダメっぽかったら、その時は手伝ってもらうかも知れないけど、この相手には一人でやってみたいから」
 そういうとキャリアは頭上の光体の一つ、緑色に光る光体に手を伸ばす。
 この光体はクアンスティータで言えば背花変(はいかへん)に相当するものだ。
 背花変のように何にでも変わる万能物質では出来ていないが、それでもかなりの変化を可能としている。
 緑の光体は形を変えて銃のような形態となる。
 幽界の自然エネルギーを吸収し、それをエネルギーに変換して、弾として打ち出すタイプの武器となる。
 打ち出された弾は相手にダメージを与えた後、再び、自然に帰るという循環方式をとっている。
 ガオンッガオンッガオンッガオンッガオンッ……
 連続で弾を発射するキャリア。
 呪業は避けもしない。
 そのまま、弾を受けた。
 ダメージは無い。
 全くない。
 どうやら、呪業は幽界のエネルギーを取り込めるようだ。
 そこまで解れば、手段を変えるだけだった。
 緑の光体は銃から槍のように形状を変えた。
 先端には生体物質の反物質を作り出す塗料を塗っている。
 呪業に突っ込むキャリア。
 今度は避けた。
 どうやら、自分に対して影響のあるなしを判断出来ているようだ。
 自分に悪影響のある攻撃は受けないという事が解った。

ファーブラ・フィクタ ルーメン・テネブライ編4話18

2016-05-30 16:58:40 | 日記
 怪妖 呪業(かいよう じゅごう)――
 キャリア達に立ち塞がったその怪物は元は小さな小動物だった。
 何の小動物だったかは定かではないが、長生きをし、その力に呪いの力を得た。
 幽界の様々な精神エネルギーを取り込み、その身体は肥大していき、元の動物が何だったのかも解らなくなった。
 特に好むのが、人間タイプの業のエネルギーであるという事から【呪業】と呼ばれるようになった。
「ぐぎゃろごろぐろごろっ……」
 何の鳴き声だか解らないうなり声を上げる。
 力の弱い者が聞けば、このうなり声を聞いただけで、発狂死してしまう程の力を秘めている。
「下がってて、今回は私が行く」
 前に出るキャリア。
 いつもであれば、まず、真っ先に前に出るのはフォールだが、キャリアはこの呪業の力を確かめるため、自ら前に出た。
「行けるのか?」
 キャリアの行動にフォールが尋ねる。
「さあ?やって見ないと解らないわ」
 自分でもどうして、戦おうと思ったのか解らないので、返答に困った。
「手伝うかニャン?」
 キャトラが気遣う。

ファーブラ・フィクタ ルーメン・テネブライ編4話17

2016-05-30 16:58:07 | 日記
 それを証明するかのように、下部組織を攪乱して、ついには全滅まで追い込んだ。
 これによって、上位組織の反感は買うだろうが、それが何ほどのものだろうか。
 クアンスティータから見ればゴミ以下の敵だ。
 少なくともキャリアは偽者とは言え、クアンスティータを産み出した存在なのだ。
 この程度の相手にひるむいわれはない。
 キャリア達は強気になっていった。
 強気になるに従って、キャリア達の戦闘力もアップしていき、これまでの強敵も強敵では無くなっていった。
 また、更に成長していったという事になる。
 キャリア達の進軍は続く。
 そして、ついに怪妖の一匹が彼女達の前に顔を出した。
 惑星ルーメンと惑星テネブライの無限ループに捕まったばかりのキャリア達ならば震え上がっているような強大な力を感じる。
 だが、今の彼女達からしてみると、何だこんなものか――という考えがどこかにあった。
 クアンスティータの影響で感覚がかなり麻痺しているのだ。
 クアンスティータを感じた後で他の存在を見ても、大した事だとは思えなくなる。
 そんな症状だった。
 恐れは身体を萎縮させる。
 だから、恐れないという事は有利に働く事でもあるが、それでも力の差は向こうの方が相当上向きになっている。
 このままでは勝てないのだ。

ファーブラ・フィクタ ルーメン・テネブライ編4話16

2016-05-30 16:53:05 | 日記
 見たことある能力ばかりでも10万もの大群に来られたらたまらない。
 F(怪物ファーブラ・フィクタ)は関係者全てにいっぺんにダメージを与える力を持っているが、キャリア達にその力はない。
 大勢にどっと来られたら、その相手をするのはたまらない。
 下部組織でこれだけの戦力を持っているのだ。
 上位の組織の戦力を考えるとゾッとする。
 そして、その頂点にいる十二匹の怪妖の一匹はどれだけの力を持っているのだろう。
 今のキャリア達では敵わないだろう。
 第一階層の支配者のレベルでこれだ。
 第二階層から第十階層までの支配者はどれだけ凄まじい力を持っているのか皆目検討もつかない。
 だが、そんな先の話を考えていても仕方ない。
 今はこの目の前の敵をどうにかする事だけを考えるべきだ。
 それに、どんなに凄くても、クアンスティータよりは遙かにマシなのだ。
 クアンスティータを相手にする事を考えたら、この幽界の敵との戦いなど、茶番に過ぎない。
 いや、茶番にも満たないレベルだろう。
 ――そう、どんなに辛い戦いの連続だろうと、クアンスティータが誕生した現界で起きているだろう事よりは、ずっと遙かに好転しているのだ。
 今は、その幸運を喜び、この戦いを生き抜こう。
 キャリア達はそう思うのだった。
 これくらいの窮地であれば、クアースリータの誕生から始まって、クアンスティータの誕生を体感した彼女達にとっては絶望感を感じるほどでもない。
 いくらでもこの状況を打破する方法は考えつく。

ファーブラ・フィクタ ルーメン・テネブライ編4話15

2016-05-30 16:52:40 | 日記
 今まで第一階層で戦って来たのは、単独、もしくは、少数の集団だった。
 だが、今度は違う。
 大きな組織に所属する敵だった。
 十二匹の怪妖に属する下部組織だった。
 下部組織とは言え、これまで戦って来た相手よりも遙かに実力は上だった。
 フォールの斬撃で千切れた腕が別の個体になって更なる攻撃を仕掛けてくる敵。
 キャトラに心臓を貫かれて絶命しても尚、攻撃を仕掛けて来る敵。
 キャリアに首を跳ねられても絶命しない敵など、戦闘力、生命力が強い敵が多く出現した。
 一体一体であれば、それほど、苦戦はしないが、チームを組んで来られるとかなり厄介だった。
 また、それらの猛者達はただの兵隊にすぎない。
 それらをまとめる隊長クラスはその比ではなかった。
 特に際だった特殊能力はないのだが、それでも戦闘力が桁外れに高かった。
 そのまま戦っていては無事では済まないので、キャリア達は新しく覚えたエナジードレイン効果で敵の戦闘力や体力を奪ってから対応していた。
 合わせて、封印術も追加効果として使っていった。
 敵の力を落として戦うというスタイルはあまり好きではなかったが、連続戦闘の効率を考えるとこれが一番合っていた。
 強敵がうじゃうじゃいるとは言え、ここはまだ第一階層に過ぎない。
 幽界は第十階層まであるのだ。
 いつまでも第一階層をうろうろしては居られない。
 敵の戦闘力は極端に上がっているが、特別厄介な能力などは見受けられない。
 特殊な力はあるが、どの能力も現界で一度は見た事のある能力ばかりだった。
 厄介なのは数だ。
 ざっと見えるだけで10万は居る。

ファーブラ・フィクタ ルーメン・テネブライ編4話14

2016-05-30 16:50:26 | 日記
第三章 幽界の第一階層


 キャリア達は幽界の第一階層の宇宙空間に出てきた。
 表層階層との違いは全くわからない。
 パッと見、その差異は見受けられない。
 とは言え、宇宙空間でボケッと浮かんでいても仕方がない。
 とりあえず、足場となる惑星を探して降り立つ事にした。
 辺りを見回す。
 近くに星は見あたらない。
 現界で言う所の超空洞ヴォイドという所だろう。
 この宇宙の場が第一階層のどの部分に相当するのかは解らない。
 だが、迷って居ても仕方がない。
 星がある所まで再びワープを繰り返し、進んでみる事にした。
 途中、星間物質も確認出来た。
 現界と作りはそう変わらないかも知れないと思うのだった。
 調べた所によると、この第一階層は十二匹の怪妖が支配しているはず。
 まずは、それを理解する事から始める事にした。
 第一階層の中心に近づくに従って、敵の攻撃も激しくなっていった。
 キャリア達を完全に排除しようという動きが出てきた。
 慣れているとは言え、受け入れられないという事は悲しいことでもあった。
 今のところ使えそうなアイテムも落ちていない。
 新しい新技なども身につけては見たものの、これと言って際だつ技ではなかった。
 対して、敵はどんどん強い者が出てくる。
 このままでは勢いに負けてまた大ピンチになるのは時間の問題だった。
 何かを得なくては――
 この状況を変えるような大きな何かを。
 それは解っているのだが、焦れば焦るほど何も見つからない。
 あれこれ右往左往している間に強敵がまた現れた。

ファーブラ・フィクタ ルーメン・テネブライ編4話13

2016-05-30 16:50:05 | 日記
 キャリア達の現在のレベルでもまた、この幽界で生きていくには足りていない。
 この幽界でも何かしら力をつけていく必要があると思うのだった。
 結果から見ると、三日三晩の死闘の末、フォールはこの強敵を倒している。
 だが、この強敵は表層階層の敵に過ぎない。
 次の第一階層にはこれ以上の敵が居ることは推測がつくし、第二階層、第三階層と深い階層に進む程、より、強敵が待ち受ける事も推測出来た。
 幽界で生きていくという事を選択するのであれば、生きていくだけの強大な力が必要だ。
 キャリア達はそう思うのだった。
 キャリア達はこの幽界では異分子に過ぎないのだから。
 難敵を突破し、いよいよ、本当の幽界となる第一階層の宇宙に進むため、表層宇宙の中心部にあるブラックホールに入っていった。
 吸い込まれるキャリア達。
 あっという間に彼女達は幽界の第一階層の宇宙へと運ばれて行った。

ファーブラ・フィクタ ルーメン・テネブライ編4話12

2016-05-30 16:48:05 | 日記
 まるで、ヂグウ族のカヂとやりあった時の様に、攻撃によって、空間の方が歪んで行く。
 カヂよりは無いとは思うが、モンスター一匹一匹が相当な戦闘力を持っていると言えた。
 全ての髪の毛を使い切ったジュウダに対して、モンスターの連続攻撃を避けながら突っ込んできたフォールだったが、ジュウダは自らの三本のしっぽの一つをひきちぎった。
 すると、今度はまるで液体の様な髪の毛がぶわっと出てきた。
 その液体の様な髪の毛がフォールの一閃を防いだ。
 更に、彼の身体に絡みつく。
 恐らく、ジュウダはしっぽを引きちぎる事によって、複数の特性を持つ髪の毛を出せるタイプの戦士なのだ。
 フォールは完全に相手の力量を見誤っていた。
 正直、ただの門番、衛兵だと思っていた。
 思っていたよりもかなり戦闘力は高かったのだ。
 フォールは超高速で身体を動かし、絡みついた液体状の髪の毛を振り払う。
「……出来る」
 フォールは相手の実力を認めた。
 油断して勝てる相手では無いと自分の落ち度も認めた。
 土刀(どとう)を抜くフォール。
 土刀を使うという事は彼の必勝パターンでもある。
 土刀は元々、魔の属性を持つ武器でもある。
 なので、同じ属性とも言える幽界の敵には効果は薄いかも知れない。
 むしろ、キャトラが出た方が、相手に大ダメージを与えるかも知れない。
 とは言え、フォールもまた、キャリアの手により、光の属性を与えられても居る。
 闇の属性の土刀に光のエネルギーを送ったら、どうなるのかは解らないが、それでもやるしかない。
 危険を冒さずして、この目の前の相手には勝てない。

ファーブラ・フィクタ ルーメン・テネブライ編4話11

2016-05-30 16:47:40 | 日記
 旅を続けるキャリア達は 幽界に来て、あっという間に二月が経過しようとしていた。
 かなり、急いで、ワープしていたが、まだ、表層宇宙の中心部には距離があった。
 それだけ、この幽界の宇宙空間が広大だとも言える。
 それから更に三週間ほど移動に費やし、ようやく、表層宇宙の中心が見えて来た。
 だが、表層宇宙最大の障害がキャリア達の前に立ち塞がった。
 地球で言えばラプンツェルを思わせるようなかなり長い髪。
 ただ、ラプンツェルとの違いは髪の毛の持ち主が人間の女性ではなく、猫科の獣人型の男性だという事だった。
 しっぽも三本生えているので、これを素直に獣人と呼べるかどうかは疑問ではあるが。
 何かのキメラと表現した方が良いのかも知れない。
「我が名はジュウダ。幽界の番人なり。尋常に勝負されたし」
 幽界の番人であれば、幽界の入り口にいるべきであると思うが、恐らく、この表層宇宙は幽界にカウントされていないのであろう。
 なので、表層階層から第一階層への入り口となるブラックホールの近くにこの番人が陣取っていたのだろう。
「俺が出る。身体が鈍っていた所だ」
 とフォールが前に進み出る。
 彼は露払いくらいにしか思っていない。
 能力としては髪の毛がウネウネ動いて絡みつくような攻撃をするタイプだと踏んでいた。
 だが、それは違っていた。
 毛量の多い髪の毛は形状記憶合金の様に一本一本が何かの存在を一本の髪の毛に伸ばした状態だった。
 つまり、髪の毛の分だけ、たくさんの存在が寄り集まっていた。
 髪の毛が複雑に形を変えてモンスターの様になり、フォールに襲いかかる。
 このモンスターもただのモンスターではない。
 攻撃力をやたら強化している。

ファーブラ・フィクタ ルーメン・テネブライ編4話10

2016-05-30 16:45:38 | 日記
 幽界の表層宇宙の中心に行くと、巨大なブラックホールがあり、その中に入ると次の第一階層へと入る事が出来るらしい。
 だが、一口に表層宇宙の中心と言ってもすぐに行ける訳ではない。
 現界の宇宙空間と同じなのだ。
 むしろ、こちらの方が大きいと言える。
 なので、幽界の端から中心にまで行くにはかなりの距離を進まないと行けなかった。
 光の速さで進んでも気が遠くなる程かかるのだ。
 ワームホールを何度も利用して飛び飛びで進んでいるとは言っても相当日数がかかる旅だった。
 さすがにそこまでかかると途中トラブルに見舞われる事も多々あった。
 幽界に来て最初に感じた三つのでかい気配クラス、もしくは、それを遙かに上回る気配に遭遇する危機もあった。
 が、寸前にオレンジの光体でキャッチし、争いを極力回避する方向に動いて、難を逃れていった。
 殆どオマケ扱いとも言える表層階層であっても、戦えばタダでは済まない強者はゴロゴロ出てきていた。
 キャリア達は宇宙世界規模から見れば、自分達はなんと小さい存在なんだろう――そう思ったのだった。
 惑星を起点にワープして行ったので、惑星内にまる一日滞在する事もあった。
 その惑星内でのトラブルに巻き込まれる事もあった。
 だが、これまでキャリア達が惑星ルーメンと惑星テネブライでの連戦につぐ連戦の日々に比べれば、トラブルと言っても単発、もしくは少数のトラブルなので不思議と冷静に対処出来た。
 それだけ、スキルアップしていたという事でもある。

ファーブラ・フィクタ ルーメン・テネブライ編4話09

2016-05-30 16:45:14 | 日記
 強いパワーの相手に手当たり次第戦っていたのでは命がいくつあっても足りない。
 避けられる戦闘は避けた方が良いという方針に決まった。
 戦闘は避けるという事にしたが、それだと、今後の行動が見えてこない。
 幽界の入り口近くという事もあって、ここは本当の幽界と呼ぶには端過ぎるのだろう。
 もう少し、幽界の中心に近づいて見た方が、これからの事も見えてくるだろうという事になり、強い三つの反応を避けるようなルートで、幽界の中心に向けて進路を取った。
 途中、軽い戦闘は何度かあった。
 が、どれも戦闘と呼ぶには物足りないものだった。
 急成長したキャリア達の実力であれば、束になって向かって来ても全く相手にならない程度のレベルの相手しかかかって来なかった。
 それだけ実力差があるにもかかわらず、向かって来るという事は頭の悪い敵と言わざるを得ない。
 身の程知らずと言った所だ。
 どこの世界にもバカは居る。
 そんな風に受け止めていた。
 だが、そんなバカでも何かしら役には立つ。
 キャリアはオレンジの光体を使って、その愚か者達の精神にアクセスし、この幽界の理を探索していた。
 それで解った事が一つ。
 この幽界は階層構造になっているという事が解った。
 キャリア達が居るこの宇宙は表層階層と呼ばれ、幽界から漏れた部分で出来ている宇宙階層だという事が解った。
 表層階層を別とすれば、幽界には第一階層から第十階層まであり、第十階層に近づく程、大物が多く存在しているとの事だった。
 第一階層は12匹の怪妖(かいよう)が支配する宇宙世界だという事だ。
 怪妖とは地球で言うところの妖怪のようなものだろう。
 文字を逆さに読んだだけでもあるので、地球出身のキャリアは理解しやすかった。
 表層階層で解る事はそれくらいだった。

ファーブラ・フィクタ ルーメン・テネブライ編4話08

2016-05-30 16:43:10 | 日記
「これからどうするんだ?」
 フォールがキャリアに聞いてくる。
 このメンバーのリーダーはキャリアなので、彼女に方針を聞くのが筋だと判断したのだ。
「そうね。まずはこの宇宙世界の強弱を計ってみるわ」
 と答えた。
 キャリアは頭上の五つの光体の内、一つ、オレンジ色の光体を光らせた。
 五つの光体は赤、青、黄、緑、オレンジの五色となっていて、それぞれの光体に別々の異能が隠されている。
 オレンジの光体は探知能力に優れた光体だった。
 敵を知り、己を知れば百戦危うからずの例に従って、まずは、この宇宙世界の敵となる可能性の高い、強者達を調べる事にした。
「何か解ったかニャン?」
 キャトラが質問する。
「待って、今、調べてる。……そうね、幽界のこの辺りの宇宙で恐ろしく強大なエネルギーを三つ感じるわ。でも、恐らくは幽界一番の強者ではないわね」
 キャリアが返答した。
「近づいて反応でも見てみるか?」
「いえ、やめて置きましょう。パワーはやたらと大きいけど、技能がついて来ていないそんな感じの反応だから。力押しタイプだと思うし、無理して戦いを挑むような相手でもないと思うわ」
「そこまで解るのかニャン?」
「あくまでも予想だけど、パワーを垂れ流ししている感じだから、力の制御が出来ているタイプとは言いがたいわね。だとしたら、話して解るタイプとも思えないし、向こうが近づいて来ないならこちらからも行かないというのが正解だと思うわ」
「なるほどニャン」
「俺としてもパワーだけのでくの坊と戦っても仕方ないと思うぞ」
 三名の意見は関わらないという事で一致した。

ファーブラ・フィクタ ルーメン・テネブライ編4話07

2016-05-30 16:42:47 | 日記
 幽界は現界とは違い、多種多様な存在がいるという訳ではない。
 現界は神と悪魔の両方からの影響を受け、実に様々な種族や存在がいる。
 だが、幽界は悪魔が所有している宇宙世界でもある。
 必然的に悪魔よりの存在が多くを占めている。
「ここが幽界ニャン」
 キャトラがつぶやく。
 キャリアによって、神と悪魔の両方の性質を持つ身となったキャトラだが、元々は猫の女神である彼女にとっては本来であれば行くことのなかった宇宙世界だ。
 物珍しさも手伝って、あちこちを見回した。
 幽界と言ってもここは幽界の宇宙空間なので、どこかの星に降りてみることにした。
 現界では神と悪魔の猛攻から解放されて落ち着けたのは1日に満たなかった。
 名も知らぬ星へとたどり着いたが、すぐにクアンスティータが誕生したので、またすぐにその星も出て、この幽界へと向かう事になったのだ。
 安住の地とは言わないまでも、どこか落ち着ける星を探したいところだった。
 だが、ここは幽界。
 何が起きるかは解らない。
 全く知らない宇宙世界よりはいくらかマシだが、悪魔の要素を持つ宇宙世界だ。
 いつ、恐ろしい目に合うことがあるかも知れない。
 とりあえず、この宇宙世界の勢力図を少しでも早く知ることが先決だった。
 この宇宙世界の強者が解らないとこれからの行動が見えてこないからだ。
 強者と戦う事が目的ではないが、とにかく、その強者を何とかすれば、この宇宙世界での脅威はその強者よりはないという事になるからだ。
 安心したいという気持ちが一番だった。
 キャリア達は小惑星を見つけてそこに降り立った。
 小惑星は大きさも小さいため、球体ではない歪な形をしている。
 酸素は無いので、異能力を使って自分達で酸素を作り出さないと呼吸もままならない。
 でも、規模が小さすぎて、脅威となる存在は確認出来ない。
 ひとまず落ち着くには良い星と言えた。