<中国ブログ>中国サイコウ 元/上海駐在日本人が綴る日中経済の状況など

中国駐在時代の経験・知識をもとに、
最高(サイコウ)の日中関係の再構築を目指し、
日本と中国を再考(サイコウ)する

中国市場での初めの一歩

2011-04-18 | 中国ビジネス
日本企業が本格的な中国進出を決めた際に、会社設立などに先立って決める必要があるのは、中国での会社名の決定である。

ご承知のとおり、中国は漢字の国。
日本では英語名やカタカナ表記の会社名でも通用するが、中国において、これは全く通用しない。
要は、漢字での名称がその企業のイメージを決定付けると言っても過言ではないのだ。

日本企業の中国名で、個人的にいいネーミングだなぁと思う例を紹介したい。
まず1社目は、キャノン。
これは中国名で「佳能(発音:ジャノン)」。文字通り、良い性能という意味だ。
次に、ユニクロ。
これは中国名で「優衣庫(発音:ヨウイーク)」。優れた衣料品がたくさん置いてある倉庫のような店という意味になり、まさに同社のイメージとピッタリ合致する。

上記を見て分かるように、基本的な原則は2つ。
①日本名の発音に近い漢字の組合せを考える。
②個々の漢字がもつイメージを重視して、中国名が企業イメージを醸成できるよう工夫する。
これは、簡単なようで結構難しい。
会社名は基本的には一度つけたら変えないものだし、漢字は少ない文字数で意味がストレートに伝わる特性をもっているだけに、決定には熟慮が必要だ。

勿論、トヨタやホンダ、松下電器などのように、日本名と同様の漢字を当てるケースも珍しくない。企業イメージのグローバル化という意味では大きな意味をもつが、中小企業の場合はブランドイメージが確立されていないため、中国名のもつ影響は必然的に大きくなる。

ここで、中国でのネーミングで発生した或る事案を紹介したい。
日本でもお馴染みのロッテは、古くから「楽天(発音:ラーティエン)」という名前で中国ビジネスを展開している。
そこへ、急成長している楽天が中国進出を決めたわけだが、上記のようにロッテが先に名称を使用しているため、日本語と同様の表記を行うことができなかった。
結局、「楽酷天(発音:ラークティエン)」という「酷」という1文字を加える名称に落ち着いた。
この「酷」という文字、日本人にとってはあまり良いイメージの漢字ではないが、英語のCoolの発音に近いという理由から、特に中国人の若者には良いイメージが共有されている。
日政府が進める「Cool Japan!!」も、これと同様の表記となる。

中国進出にあたって、ネーミングも含めてコンサル企業に委託するケースも多いようだ。
ただ、会社名は企業の顔のようなもの。
いくつかの候補は挙げてもらったとしても、最終的にはその会社の経営者・社員が愛着をもてる名前にすることが一番大切だということを忘れてはならない。


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