CHIKU-CHANの神戸・岩国情報(散策とグルメ)

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遊女塚 in 神戸市垂水区

2016年01月10日 15時38分10秒 | 神戸情報

昨年の12月1日(2015-12-1)尼崎市の寺町の如来院を訪問した時に神崎遊女の
伝説があり如来院には遺髪また尼崎市神崎町34の梅ヶ枝公園内に遊女塚がある
ことを知りました。これを契機として神戸市垂水区にある遊女塚について記事
を書くことを思い立ちました。

写真は特記しない限り2014年9月19日に撮影したものです。

JR垂水駅の西側の商大筋を北へ100mほどのところの西垂水墓地に宝篋印塔が
あります。この宝篋印塔が垂水の沖で舟から落ち溺死した遊女の供養塔である
などの伝説により遊女塚と呼ばれている。
西垂水墓地の場所は下記Goo地図を参照してください。
 
  住所:神戸市垂水区仲田町1丁目1 管理は(有)松下石材

まず、宝篋印塔(ほうきょういんとう)について簡単に述べておきます。宝篋印塔は
もともとは内部に安穏長寿のため呪文である『宝篋印陀羅尼』を納めたことに
由来するが時代を経て、先祖を供養する塔へと変化してきた。


上の写真は西垂水墓地内の宝篋印塔(遊女塚)の遠景です。


現地には平成18年(2006)1月に松下石材から贈呈された説明版があります(上の写真)

石造宝篋印塔(遊女塚)
県指定重要文化財(指定 昭和四十六年)

このような形の塔を宝篋印塔といいます。日本にだけ見られる形の塔で、峠や
村境などに建てられ人々の安全を守ってくれると信じられていました。
 この塔は、総高四メートルにおよぶ大きなもので、他にあまり例のないものです。
塔自体が大日如来で中央部四方にある梵字は、それぞれ如来仏をあらわしています。
笠石の四隅にある三角形の突起の梵字は如来を守る四天王と如来に奉仕する四菩薩
を示しています。台石に掛け振られた十三行の文字には塔創立の功徳と、
この塔が建武4年(1337)三月に士忠禅師によって建てられたことが書かれています。
 塔はもと、山陽道に沿った丘の上に建てられていましたが、鉄道開通
(明治二十一年)によって現在地にうつされました。



上の写真は宝篋印塔の各部の名称です。
  出典:神戸の石造遺品 川辺賢武 著 (1971)神戸市史資料室 Page4


上の写真は文化元年(1804)に発行の播州名所巡覧絵図(神戸市立中央図書館蔵)
で描かれた遊女塚です。

当時、西国街道沿いで海神社の西側に遊女塚があったことが判ります。
この塚或いは石塔(宝篋印塔)について、上記絵図の中に「俗伝に云、
建武(1334-1337)の頃、筑前博多の商人竹村という者、江口(神崎)の遊女
のために建てしとぞ、真実しらず、又一説に大坂の遊女下ノ関へ行に此海に
溺死す、故に此塔を築云々」



上の写真は西面(右手)と北面(左手)の全体(拡大版)です。


上の写真は北面(右手)と東面(左手)の全体(拡大版)です。

ここで宝篋印塔全体の構成をみる。最下に切石3段積みの基壇の上に基礎部が据えて
ある。基礎部4面に3行ずつ計12行の銘が書かれています。
基礎部上部に2段の段型を置く。その上に塔の主要部である塔身を置く。
塔身には金剛界四仏の種子が薬研彫りで刻まれている。
笠石は下部2段、上部6段の夫々別の段型の石を載せてある。
笠の四隅には飾り突起が別石で載せてある。
相輪は九輪の上部から請花、宝珠にかけて欠損しており現在のものは修理した
ものであり請花が無い状態の姿である。
基壇部 66cm 基礎より上の高さは338cm 総高さ 404cmある。



上の写真は基礎部(南面)の銘文で右側:法界含蔵 中:寂篋中 左側:塔基嶢立 
中を寂篋中としたが神戸の石造遺品 川辺賢武 著 (1971)神戸市史資料室で
川辺賢武先生は宝篋印と判読されています。
  根拠:平安時代から鎌倉にかけて宝は寂と書かれていた


上の写真は基礎部(東面)の銘文で右側:勧進士忠禅師 中:大工沙弥願一
 左側:納咒千経七と書かれています。

(参考)
明王寺の観音堂の裏の山に赤松円心の供養塔 といわれている「宝篋印塔」が
あるが実のところは「士忠禅師百日」の銘があり遊女塚宝篋印塔を建立した
士忠禅師の百ヶ日の供養塔であるというのが現在の定説である。
明王寺宝篋印塔の建立年代は観応2年(1351)。

 この宝篋印塔の写真を掲載した小生のブログ 明王寺の追儺式 on 2013-1-4


上の写真は基礎部(北面)の銘文で右側:一切衆生 中:悟正宗
        左側:建武二二丁丑三 建武4年(1337)3月に建立の銘


上の写真は基礎部(西面)の銘文で右側:太虚空 中:百千諸仏 左側:発真智
中の「百千諸仏」は「百方諸仏」と判読する説もあるが意味は同じ


塔身は金剛界四仏の種子が薬研彫りで刻まれている。上の写真は北面の種子で
「アク」 で不空成就如来

その他3面は東面:ウーン、阿閦如来 
      南面:タラーク、宝生如来
      西面:キリーク、阿弥陀如来

コメント
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