更新が大分遅くなりました、このブログの本命、造船記でございます。 今回は船体仕上げの山場、塗装まで紹介しますネ
塗装の前に、船外構造物の加工・取り付けを済ませます。
コレは、おそらくは飾り程度のものであろうと考えられますが…、接岸する際には何かの役目をするのでしょうか…? とにかく木造船でよく見かける縦木材です。 こちらも切削後、主にヤスリ掛けで寸法を合わせ、基本的に角を若干落とす加工もします。 過度の研磨をすると全体的に甘い印象になってしまうので程々に。
この横木は乗降時に足場となる部分です。 こちらも角落として"それっぽく"します。 下側を特に丸く仕上げるのを忘れずに。 チョット間隔が窮屈そう…かな?
いよいよ船体を塗装しますヨ。 当時、国際的な決まりがあったかどうかは判りませんが、アメリカ軍艦では白と黒のツートンのデザインが多く採用されていました。
* ここではエアブラシを使った塗装法を紹介します。
下地の黒塗装。 エアブラシは仕上がりがキレイで便利なのですが、狙った周辺へ無差別に塗料をバラ撒きます。 なので、質感を残したい銅板部分を保護するため、そこにマスキングテープを張ります。(写真は塗装後、テープを剥がした状態)
この時、使用するテープの粘着力には気をつけます。 強すぎるとどのような接着方法を取っていても剥がれの原因になります。
ちなみに、私はタミヤ模型のマスキングテープを使用しました。 文房具として売られているセロハンテープでは粘着力が強すぎるので、どんな塗装面、工作面に対しても厳しくなります。 マスキング専用品を推奨します。
上部一面塗り終えたら、次は白部分の塗装です。 任意の場所(多くの船では喫水線上の中間、または砲列部分)をマスキングテープで囲い、そこを慎重に狙って色付けしていきます。
マスキングテープを張る際、表面に凹凸があるとしっかりマスキングされているか心配です。 そんなときは塗料を普段使っている状態より粘度を高めにし、コンプレッサー側もエアを弱く調整します。 そうすると噴出された塗料が隙間に入り込んだり、染み込みにくくなります。 …とはいえ、後の微調整・細かい塗り直しは必須です。
今工程のお写真披露。
調整前ですが、雰囲気はしっかり出てますネ まさに黒船来航…。 今ドラマで活躍中(?)の坂本龍馬も、こういう感じの船を見たんでしょうか?
さて、次回は船内の装備品の配置と、出来れば上甲板張りまで紹介したいですね。 …次回はもっと早くアップできれば良いな~、と言うわけで今回はコレにて 次回をお楽しみに。
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● こぼれ話
江戸時代の日本人に強烈な印象を与えた、外輪付き戦闘帆船サスケハナ号、いわゆる黒船。
まさに当時の西洋技術の最先端であるかのような気がしますが、外洋を航行する船で外輪を持つものは極めて稀で、人類史上初の内燃動力船の動力装置は、もう既に船体後部に配置された海中スクリューでした。 (大型軍艦ではアガメムノン号という船が初といわれています)
外輪構造は、穏やかな大河の多い北米東岸で貨客船の動力として発達したもの。 波やうねりの激しい外洋では、外に突き出た外輪のせいで対波性能が著しく低下してしまいます。(最悪分解します) 太平洋東・中部海域は比較的穏やかな海のため、かろうじて航行が可能でした。
ペリー提督が乗艦した外輪船・サスケハナ号は、実験的に製作された船とも、そんな船を安く買い上げたとも伝えられる、ちょっと最先端とは程遠い船なのでした。