歴史模擬授業第22回明治時代①の続きです。(詳細は、①の記事をご覧ください)
※2014年9月に、一部の単語(「士農工商」)の削除、文章の改訂を行いました。
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「では、先ほどを続きをば。」
「明治時代の改革だね。」
「そうそう。新政府(明治政府)は、
民主主義の政治×強い軍隊×工業の発展×財政の安定、
というビジョンを持って行動したと言ったね。」
「はい。それで最初に行ったことが、五箇条の御誓文を発表したことだってね。」
「そうそう♪
では、今日は、民主主義の政治×強い軍隊×工業の発展×財政の安定、にすべく行う
具体的な改革を見ていきます。」
「はい。」
「まずは、長く続いた幕府(将軍)と藩(大名)の関係を崩し、
天皇中心にしていく必要があります。
天皇を中心とした国民、という形にして民主化を行うので。
だから、それまで力を持っていた人々から力を奪わなければならない・・。」
「たしかに・・・。」
「江戸時代までは、将軍は大名をまとめ、大名がそれぞれの領地を持ち、
その領地にすむ住民を支配していたの。今でいう地方自治の完全バージョンなのよね。」
「そうすると、ほとんどの土地と国民(住民)をそれぞれの大名が支配していたんだね。」
「そういうこと。だから、土地と国民(住民)をすべて天皇に集中させたいと考えたの。
それで、もともと奈良時代の墾田永年私財法が出される前までは、
土地と人民はぜんぶ天皇のもの(公地公民)だったでしょ、だから幕府が政権を返したように、
大名も長年借りていた土地と人民を天皇に返しましょう!と言いだすの。」
「すっごい長い借りだったなぁ。」
「そのように、大名にその土地(版)と人民(籍)を天皇に返すようにさせたことを、
版籍奉還(はんせきほうかん)と言います。
版(土地)と籍(人民)を返したから、版籍奉還といいます。
奉還とは、天皇に借りていたものをお返ししするときに使われる言葉です。」
「あ、だから大政奉還も奉還を使うのね。大政(政権)を天皇に返したから。」
「戸籍って、一人一人の国民の情報のことを言うから、籍というのが人民を指すんだね。」
「そうそう。
このように言葉そのものを丸暗記するのではなく、言葉の意味を理解すると忘れないから、
意味も考えて覚えましょう。」
「はーい。天皇に返す系の話なら奉還という文字を使うんだ、と予想して解くこともできるもんね。」
「そうそう。では、版籍奉還を行ったあとに、今度は廃藩置県というのを行います。」
「藩を廃して、県を置く?」
「そうそう。漢字の意味を考えるのは良い傾向だね。」
「えへへ。」
「まさにぴよちゃんが言うとおり、その通りなんです。
藩をすべて廃止して(なくして)、新たに全国を府県に分けます。
これは藩から府県に、いう名前がかわっただけでなく、地方の支配の仕方が変わったのです。
今までは、大名がそれぞれの藩を支配していたでしょ、それを、府県では、政府の任命した長官を
全国に置いてそれぞれの府民(県民)を支配するようにさせたの。」
「あ、そっか、それで、天皇を中心とする政府が、間接的に地方(府県)も支配できるんだね。」
「そういうこと!廃藩置県によって、政府の方針に基づく政治ができるようになったのよ。」
「ほえー。」
「1869年の版籍奉還と、1871年の廃藩置県の2つの政策をもって、
日本は、中央集権国家になります。」
「中央集権国家って何か聞いたことがある・・。」
「実は飛鳥時代にも習っているんだよね。たしか大化の改新あたり。」
「あ、思い出した!中央集権国家って天皇を中心とした国家だ。」
「そうそう。」
「つまり、この明治時代の改革って、飛鳥時代の大化の改新に似てるんだね。
どっちも、公地公民の考えを持った中央集権国家にした、という点で。」
「そうなんだよね。つまり、この2つの時代って、
どっちも、外国から馬鹿にされていた時代で
「下手すれば外国の支配にさらされるかも・・。」と思う危険性が高かった時代なんだよね。」
「たしかに!飛鳥時代以前ってさ、中国から日本は1つ下に見られてたんだよね。
聖徳太子が、隋の皇帝に「日出づるところの天子・・」という国書を書いたことから、
隋に、「我が国(隋)と同等のつもりでどういうつもりだ!」と怒られたんだもんね。」
「大化の改新をおこして後に天皇になった天智天皇のころ、
白村江(はくすきのえ)の戦いで日本が負けたから、
日本は唐に攻められるかも・・という恐怖におののいてもいたんだしね。」
「そうそう。よく細かいことまで覚えているね!えらいぞ!
つまり、それって、同じような状況下に置かれたら、歴史は繰り返すってことなのよ。」
「ほえー。だから先生がいつも言っているように、歴史を学ぶことで未来に役立つんだよね♪」
「そうそう。今の日本は、平安中期や江戸中期に似ているな~と思うので、
またいつか、源平合戦や幕末などの動乱がおこる可能性もあると思うと、少々怖いわ。
だから、それがいつおこるかわからないから、私たちは歴史を学んで、少しでも明るい未来を
つくっていかなければいけないと思うのね。」
「そうだよね!歴史は未来をつくる究極のマニュアルだね!」
「そうそう。では、話を本題に戻すね。
版籍奉還と廃藩置県により中央集権化に成功した日本。
そのあとは、江戸時代のころの厳しい身分制度を廃して、すべての人間が苗字を名乗ったり、
職業も自由に選べることができるようになった。
そのことを四民平等と言います。」
「自由になったんだね!民主主義の第一歩だ!」
「そういうこと。でも、結局、新しい身分が置かれただけとも言われているの。
公家(貴族)や大名だった人たちは華族、武士を士族、百姓や町人などの人々を平民としたの。」
「四民平等によって身分差は残ったものの、一応職業や行動は誰でも自由に選べることになったのよね。
そうすれば、戦争をするという職業を独占していた武士から戦争する権利を奪い、
だれでも戦争する権利を得たとも取れるでしょ。」
「うん。ただ、戦争する権利って良いものかどうか・・。」
「戦争はいけません。
ただ、当時の状況下では、戦争をすること・兵士を常に持っていることが、
強い国になることに必須ものものだったからね。」
「そうだよね。」
「そこで、四民平等によって、武士に軍隊を占領されず、国民全員で軍隊をつくれ!ということになり、
国民全員が軍隊になるという、徴兵令(ちょうへいれい)を政府は出します。
ただし、国民全員が軍隊に、と言っても、一生すべての人が軍人に、というわけではなく、
一定の条件の人々が3年間兵役(兵隊・軍人になる役目)を負うということになります。
兵役の義務の条件は、満20歳以上の男子、です。この条件は良く出るから覚えておきましょう。」
「はーい。」
「ちなみに、あまり出ないんですが、この徴兵令を中心に推し進めていたのは、
長州藩出身の山県有朋(やまがたありとも)です。
また、徴兵令の兵役の義務から逃れてられる人もいた。
たとえば、戸主やあととり(おもに長男)、
一定のお金を納めた者など。
これも、選択問題ででることがあるので、覚えておくと良いんだけど、
一個一個覚えるというよりは、
お金のあるものや当時の家族の中心人物だと思っておけば問題は解けるよ。」
「予想して解くんだね。」
「そういうこと!では次にいくね。
今度はお金のこと。
どんなに人が優秀でも、道具・武器などのアイテムや、そのアイテムをつくるのにお金がいる。
そこで、今までは年貢という年によって量がかわる税システムをから、
お金を税として取るというシステムに変えます。それを地租改正と言います。」
「年貢(米)だと、不作・豊作によって変わっちゃうんもんね。」
「そうそう。それで政府の収入を安定させるために出した地租改正では、
地価(土地の値段)を決め、その地価の3%を現金で納めるようにさせたの。
この地租改正での税の条件はよく入試で記述問題で出るから覚えておきましょう。」
「はーい。」
「租って米の税のことだったよね。(飛鳥時代)
だから、その地の租を改正したから地租改正というのかな(予想)。」
「ではでは、次。モノをつくることも必要だと話したね。
そこで工場で機械を使って物をつくることになりました。」
「うん。そうじゃないと、強い国日本になれないもんね。」
「そうそうそれで、政府は産業を発展させるために、外国から機械を買い、外国人技師を招き、
政府主導の工場をつくります。紡績(ぼうせき:糸をつむぐ)や造船・兵器などの工場を。
政府主導の工場とは簡単にいえば国立の工場ね。そのような工場のことを、官営工場と言います。
官営工場の代表例が群馬県にある富岡製糸場(とみおかせいしじょう)があります。」
「製糸ということは、糸を紡ぐ、つまり紡績の工場ね。」
「そういうこと。富岡製糸場はよく入試に出るので覚えておきましょう。」
「はーい。」
「このように、徴兵令・地租改正・官営工場をつくるなどの政策は、
ある一定のスローガン(目標)によって
行われているので、そのスローガンも覚えましょう。
それが、富国強兵(ふこくひょうへい)と殖産興業(しょくさんこうぎょう)。」
「漢字で見る限り、富国とは国が富むことからお金を得るということで地租改正のことを
主に指しているのかな?強兵は強い兵隊ってことだから、徴兵令?」
「殖産興業は難しいけど・・。」
「殖産とは、生産物を増やし産業をさかんしすること、興業とは、新たに事業をおこすことです。」
「あ、つまり官営工場をつくった方ね。」
「そういうこと。よく、殖産工業と、興を工と書き間違えることがあるから気をつけてね!
あと、言葉だけ覚えて、政策は?と聞かれているのに、
スローガンの殖産興業や富国強兵をこたえる子も
いるので気をつけてね!」
「はーい。」
「これで、民主主義の政治×強い軍隊×工業の発展×財政の安定 はほぼ成し遂げたのよ。
ただ、まだヨーロッパの見よう見まねで行っただけなので、まだまだ定着はしていないので、
このあと、何段階かかけて、日本の民主主義や工業の発展をしていきます。
それは明治時代の後半から大正時代にかけて習うのでお楽しみにね!」
「政策を始めたからすぐにモノになるわけではないんだね。」
「これは勉強も一緒ね。テスト前に一生懸命勉強したのに結果が良くなかった。
もう勉強なんてやるだけ馬鹿だし、という人がいるけど、
結果が出るには三か月ごろから、成功するには3年以上、
新たなものを作るには5年以上かかると言われているので、
すぐの成功を求めないようにしましょう。」
「だから、受験までに3年間は勉強しないといけなくて、
受験生のときだけ一生懸命勉強してもなかなか成績があがらないのね。」
「もちろん、受験生のときだけでも勉強すればある程度は伸びるから
あきらめずに頑張ってほしいけど、理想的なのは3年間ずっと頑張ることかな?」
「はーい。今回は色々と人生について学んだ気がする。」
「そう思ってもらえうと先生もうれしいよ。
テストに出ることだけ教えてほしいと言われるとかんさいいもので・・。」
「横道ばかりにそれている授業なら、教科書(テキスト)に書いてあることを教えてほしい、
とも思うけど、教科書の内容に即したことだったら、私はうれしいな。」
「ありがとうね!先生もがんばるね!では、今日はここまで。起立・礼。」
「ありがとうございました!」
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わかりやすく解説していので、「こういう説もある!」という専門的なことを
引き合いに出されてもお答えできないことがあるかもしれません。申し訳ありません。
不快な気持ちになった方には申し訳ありません。