みなさま、本日もありがとうございます。
やっと「れくす先生の歴史授業」が再開できました。
可能な限り、定期的に更新できるようにしたいです。
これ以上、プライベートで何もおこらないと良いのですが・・・。
れくす先生の歴史模擬授業シリーズです。
今回は、第4回 新石器時代 の話です。
※この授業のコンセプトは第1回の内容をご覧ください。
「新石器時代そのもの」は、私立中学入試ではあまり出ない分野で、中学になってから初めて習う内容のことが多いです。
(私立中学入試で絶対に出ない、とは言えないので、受験予定の学校の過去問の確認をオススメします。)
テスト勉強のために用語を覚える、という意味では
最初から用語をしっかりバシバシ入れた方がわかりやすいと思います。
ただ、今回のシリーズは、
「はやく覚えないと誰かに人格否定される、という不安感でパニックになることを
防いで、落ち着いて、学校とは関係なく、受験勉強し続ける」というのが目的の1つなので
「用語を受け入れる前に下地を作る→その後でテストで用語をバシバシ出す」
・・・という形にしています。
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第5回 「新石器時代」
今回は新石器時代です。
「新石器時代」という名称は世界史では使いますが、日本史では「新石器時代」は表記しません。
日本史では「新石器時代」に当たる時代は「縄文時代」に当たります。
まずは、新石器時代全体(世界史全般)を見ていきましょう。
1:旧石器時代から新石器時代に
(1)時代が変化したきっかけ
旧石器時代から新石器時代と時代区分を分けて、現代の私たちが見ている理由は、
「生活形態が大きく変化」したので、そこに名称をつけて分けた、ということです。
では、どうして「生活形態が大きく変化」したのでしょうか?
それは、氷期が終了したことが大きいのです。
氷河時代は、定期的に氷期・間氷期が交互におとづれる時代であることを以前お話しました。
今から約1万年前に、氷期から間氷期に移り変わりました。現在では、この間氷期の期間に当たります。
この内容は、よく「最後の氷期が終わり、地球は温暖な気候になった」と書かれるものです。
「今のところ、最後である氷期から、氷期より温暖である気候である間氷期になった」という意味です。
氷期では、地球上のいたるところに氷河がありました。
氷河というのは氷が浮いている、というイメージをしている人もいますが、
そうではなくて、陸地が氷で覆われていたり、山間に氷の川がある、というものです。
その氷期が終了し、暖かくなるとどうなるか?想像できますか?
暖かいと、氷は水になります。山間にあった氷の塊は溶けて水になった・・と考えると、
洪水が当時起きたのだろう、と思います。当時の人々も、この災害の被害にあったのかもしれません。とても怖かったでしょう。
溶けた氷は水になり川となって、海に注がれていきます。
陸地を覆っていた氷河も多くは溶けていきます。
そうなると、海の水が多くなります。この状態を「海面上昇」と言います。
それまでの海面だった高さより高くなったのです。
そうなると、氷期のときは歩いて移動できた場所の一部は海となります。
(下図も参照してみてください。)
結果、海や川に行く手を阻まれ、行き来が難しくなるところも増えました。
日本列島もこのときに、ユーラシア大陸から切り離される形になりました。
日本はここから縄文時代が始まります。
(2)新石器時代の生活
氷期が終わり、比較的暖かくなったことから、その気候変動と、それに伴う生活変化に対応できず、絶滅する動物もいました。
環境に適応するために動物は身体的変化を遂げて生き残ってきました。
(今回の氷期の終わりの時期ではありませんが、地球上では何度も環境変化がおきていて、
我々、人類の先祖も、環境に適応して生き残るために、直立二足歩行ができるようになったり、
道具を作れるような手の形に身体的変化を遂げました。)
環境変化に適応できた動物は生き残ります。
新しい環境にうまく適応できるか?によって、
生き残り&変化、絶滅、の結果の境界線ができたのでしょう。
新石器時代になり、減った動物は大型動物が多かったです。
絶滅した大型動物の例だと、マンモスやナウマンゾウ、オオツノジカなど。
大型動物が減ったけれど、小型動物や、木の実などの植物は増えました。
このことが、生活形態が変わる要因の1つになります。
それまでは(旧石器時代には)、大型動物の狩りで、食料や衣類を調達していました。
大型動物の狩りの場合、集団で動物を追い込んで、穴や沼地で動けなくなったところを、石や石槍などで狩りました。
新石器時代になると、大型動物が減ったので、狩りの対象は、小型動物、中型動物などになります。
小型&中型動物は、大型動物よりも動きがすばやく、人間が近くに行くと、すばやく逃げます。
なので、狩りを成功させるには、遠くからでも狩ることができる、弓矢は狩りの主役となります。
また、狩りをするために犬を家畜にしました。
犬が小型動物を、人間が待ち構えているところや、捕らえるワナに追い込んで・・という、
人間の狩りの相棒となりました。
また、川が多くなる、ということは、水分を多く必要とする植物も多くなったということです。
つまり、農作物を育てる環境にもなったということです。
農作物を育てるには、そこに田畑をつくり、1年中同じ場所で、
種をまき、水をまき、育て、刈って・・というのをしていく必要があります。
つまり、一定期間、同じ場所に住む(定住)をする必要があります。
このように、食べ物を追い求めて移動をしていく形から、定住生活をして農耕を行うような生活形態に変化しました。
また、農作物が豊富に育たない地は、野生の動物たちを家畜化して、
その動物たちの毛や乳や肉を使って、生活(衣食住)をしていく形、つまり、牧畜をする形で人々は生活するようになりました。
このように、新石器時代になり、定住生活を行うようになり、そこで農耕・牧畜が行われました。
その結果、食料を計画的に生産できるようなりました。
さらに、食料を蓄えること(保存すること)もできるようになりました。
そのときに使った物が土器です。土器を作るようになり、その土器で、食料を保存したり、調理をしました。
土器を作るようになったことで、食べ方のレパートリーが増え、
それまでは食べられなかったものも食べられるようになりました。
「土器をつくる」というのは、現代の視点から考えると「当たり前」「簡単なこと」のように思えるかもしれません。
でも、当時の意識を降りたって、土器をつくることを考えて見てください。
そうなると、「土器の作成」って「初の化学」とも言えるんです。
「化学」とは
「物質aと物質bは、どちらも自然界に存在しているもので、2つは全く別のもの。
しかし、その物質aと物質bを、何か別のエネルギーを加えると、別の物質cとして生まれる」というものです。
つまり、土器で言うと、自然界に存在している物質aが土(粘土)、物質bが水、で、
それを混ぜ合わせて焼くこと(熱エネルギーを加えること)で、物質cの土器がうまれた、ということ。
物質aの土だと、水が加わると泥になってしまうけど、物質cの土器になると、そこに水を加えても、
形状は変わらないので、鍋として使うことが可能になります。
土器の誕生以前でも、肉は焼いたり、蒸して食べることは可能でした。
しかし、木の実などは生で食べられないものもあり、また焼いても食べられないことが多いです。(人間の消化器官の関係で。)
しかし、そのような木の実でも、煮てしまうと、食べられるのです。
例えば、ドングリは渋みがあるので、水にさらして、土器でも煮ることで、初めて食べられるようなりました、
土器は世界中のあらゆる場所で作られ、使われました。
新石器時代には、石器も、打ち砕いたり磨いて、
必要な鋭さや滑らかさをもつ石器も使うようになりました。
このような石器を磨製石器と言います。
「磨製石器を使い始めた時代を新石器時代と言う」と
習うことも多いです。
テストそのものでは、「磨製石器」「新石器時代」という用語を
書かせる程度で、「テストで点数をとる」、「入試で合格する」、という目標の上では
新石器時代はあまり重要な分野ではありません。
しかし、
「私たち人類はいったい何者だろう?」とか
「私は、誰からも愛されない、誰からも蔑まれているのに、なぜ、この世に生まれてきたんだろう。」という
答えのない疑問の答えを探し出すには、この新石器時代はそのヒントになるかもしれない、と私は思います。
また学問的な意味で言えば、テスト用語そのものは出なくても、新石器時代を勉強することで
「歴史を学ぶ思考」がついていく第一歩のもの、だとも思います。
今回は以上です。
ご覧頂き、ありがとうございました。
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次回は古代の文明を見ていきます。