SENTIMENTAL JAZZ DIARY

感傷的ジャズ日記 ~私のアルバムコレクションから~

ALEX RIEL,LUTZ BUCHNER QUARTET 「live at jive」

2007年07月17日 | Drums/Percussion

ドラマーというのは損な役回りだ。
この作品でもアレックス・リールが主役だというのに、メロディを奏でることができない楽器の宿命で、ただひたむきにリズムを刻むしかないからだ。
しかし彼はそれでもなお絶対的な存在感を示す。
ドラマーは個性的でありすぎてもいけないと思っている。自己主張する以前に全体をいかにコントロールするかが自分に科せられた仕事なのだ。つまり各プレイヤーの名演を引き出せるかどうか、これがいいドラマーかどうかの試金石になる。

彼はヨーロッパを代表する現在最高のドラマーの一人である。その証拠に彼が参加した作品はどれもこれも高い評価を得ているし、人気盤になっているものが多い。彼と組みたいジャズプレイヤーは数え切れないのではないだろうか。
このアルバムは、ヨーロッパの人気者を集めたとびきり元気溢れる内容になっている。
ここでのもう一人の主役はドイツ人のルーツ・ブッフナー(ts)だ。
以前ジョン・ハモンドのアルバムで彼を聴いた覚えがある。
彼のテナーはコルトレーンばりの勢いを持っていて、ノリのいい骨太の音が全編に渡って鳴り響いていく。
それに釣られるように全員が一丸となって熱いソロを演じているが、ピアノのカーステン・ダール、ベースのイェスパー・ルンゴーはいつ聴いてもシャープである。特に4曲目の「SECRET LOVE」における両人のモーダルなソロは一聴に値する。
こうした演奏を引き出しているのもアレックス・リールという男が演奏の要にいるからなのだ。

この作品はタイトル通りライヴであり、スタジオ録音よりも遙かに熱気を帯びている。従って個々の演奏時間も長くなっているし、時折会場から入るかけ声や拍手を聞くだけで、いかに彼らの演奏が観客を魅了しているかがわかる。
要するにライヴにはライヴなりの音があるということだ。ここはボリュームを目一杯上げて聴くのが正解。


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