SENTIMENTAL JAZZ DIARY

感傷的ジャズ日記 ~私のアルバムコレクションから~

GEORGES PACZYNSKI TRIO 「GENERATIONS」

2009年04月04日 | Drums/Percussion

音が良すぎるというのも考え物だ。
これはかなり贅沢すぎる話だが本当だ。
このジョルジュ・パッツィンスキーのアルバムはその最たるものだと思う。
とにかく最初から最後まで文句のつけようがない録音だ。
ジャズ批評の2007年オーディオディスク大賞も獲得しているから、どうやらみんなもそう感じているらしい。
重心の低いベースは、スピーカーを破って飛び出してきそうだし、パッツィンスキーの叩き出すシンバルは脳天にカキーンと響き渡る。とにかくクリアなサウンドで、全体にスカッとした印象がある。
しかしこれくらい音がいいアルバムだと、肝心の演奏の善し悪しを忘れて、ついつい一つ一つの音を追うことに専念してしまう。
だから聴き終えた後の印象はというと「音がいい」ことしか残らないのである。
決して内容が悪いというようなことはないのに、これは実にもったいない話だ。

私は決してオーディオ人間ではない。
もちろんジャズをいい音で聴きたいという願望は常に持っている。
でも高価な装置を買う余裕などない。だからせいぜいケーブルを替えてみたり、針を替えてみたりする程度のことしかできないという寂しい人間だ。
しかし音にばかり神経を使うのもどうかと思うのだ。まぁ、多少のひがみ根性もあっての話だが、音の善し悪しばかりにとらわれず、もっと演奏そのものを楽しみたいという気持ちが湧いてくるのも事実なのだ。

そう考えてこのアルバムを聴き直してみた。
ドラマーのリーダーアルバムだけに、全編に渡ってドラムが大活躍しているトラックが多いのだが、そういったナンバー、私的にはちょっとうるさい。
それよりも7曲目の「Patchwork」のウォーキングベースである。まるで「Forty-Seventy Blues」におけるニールス・ペデルセンのようだ。
また8曲目の「L'etang Des Perches」や、ラストの「Part Three For Isa」におけるピアノソロもたいへん美しい。
このアルバムはこういう演奏をもっと評価しよう。
でないと、このアルバム、ただのオーディオチェック用になってしまいそうだ。



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