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このアルバムはハードバップが誕生する瞬間を記録した重要な作品である。
この日バードランドのステージに立ったのは、リーダーのアート・ブレイキー(ds)、若き天才クリフォード・ブラウン(tp)、パーカー直系のルー・ドナルドソン(as)、優れたコンポーザー&バンドリーダーで知られるホレス・シルヴァー(p)、名手カーリー・ラッセル(b)だった。
ピー・ウィー・マーケットの甲高い声による挨拶とメンバー紹介の後、いよいよ歴史的な演奏が始まる。まるでボクシングの世界ヘビー級タイトルマッチが行われるような興奮と臨場感でいっぱいだ。このMCの紹介をしっかりレコードに刻みつけたセンスに敬意を表したいと思う。
曲は「Split Kick」。ソロはドナルドソン~ブラウン~シルヴァー~ブレイキーの順でとられるが、最後のブレイキーのドラムソロはやはりすごい。人によっては好き嫌いが分かれるとは思うが、「ナイアガラ」と称された豪快なロール演法などは彼ならではのものであり、決して他のドラマーが真似できる芸当ではなかった。
続く「Once in a While」はブラウンの魅力がたっぷり味わえるスローナンバーだ。
私はクリフォード・ブラウンといえばこの演奏が一番最初に思い浮かぶのだが、ラストの見事なカデンツァを含め、これはファンならずとも痺れる演奏である。
またブレイキーはこうしたバラードにおいてもすばらしいサポートをするドラマーである。私たちはそのへんのプレイも聞き逃してはいけない。
このアルバムのハイライトは何といっても「A Night In Tunisia」である。10分近いこの熱演が私たちに新しい時代の到来を感じさせたのだ。デイジー・ガレスピーが作曲したこのエキゾチックな曲は、アート・ブレイキーとその仲間たちにとって最も自己表現しやすいメロディだったに違いない。事実、全員が火の玉のように燃え上がって演奏している様子が伝わってくる。特にラストの短いテーマ部分は震えがおきるくらいの出来映えだ。
以前、ブルーノート1500番台で一番早く購入したのがこのアルバム(Vol.1とVol.2)だとご紹介した。当時の私(学生の頃)にとってジャズは正にこのバードランドの夜の出来事が全てだった。このレコードは大音量でもう摺り切れるほど聴いた。そのせいで周りからよく「やかましい!」と叱られたものだ。そんなことを思い出しながらも、死ぬまで聴いてやるぞと決意を新たにしている。
臨場感あふれるRVGの録音も見事ですよね。
ハードバップの夜明けにブレイキーのドラムがいかに大きな役割を担ったかよく分かります。
マイルスの53年BLUENOTEセッションなどにも感じられます。
先日のFrank Strozier手に入れました!
良かったですね、とくにリトルのトランペット。
近いうちにブッカー・リトルも取り上げたいと思っています。またお越し下さい。