SENTIMENTAL JAZZ DIARY

感傷的ジャズ日記 ~私のアルバムコレクションから~

SONNY STITT/BUD POWELL/J.J. JOHNSON

2007年07月20日 | Tenor Saxophone

まったく、このアルバムをご紹介しないで何がジャズかと思えるくらいだ。
このアルバムはそんな言葉が少しも大袈裟ではない作品だ。
その原因を作っているのがバド・パウエルの存在である。
ここでの演奏は彼の生涯の中でも一二を争う出来映えだ。目眩く指さばきで鍵盤を走らせる演奏テクニックは正に神業といっていい。彼の演奏を聴きたいがためにこのアルバムを購入する人がほとんどではないかと思う。私もそうだったから今更ながらソニー・スティットには申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
しかしこのアルバムを聴いてみて一番驚くのはソニー・スティットのすばらしさである。
彼は本当に実力のある人だ。次から次へ流れるようなフレーズを自信たっぷりに吹いている。そのスムースな吹奏はチャーリー・パーカーと比べても何ら遜色がない。この演奏を聴くと、彼の名前がなぜもっと大きなものにならなかったかが不思議なくらいである。
彼はチャーリー・パーカーと並んでビバップの基礎を築いた人である。
普段はパーカー同様にアルトを吹くことも多かったが、ここでは全編たくましいテナーを吹いている。
ここに納められている曲はどれもこれもすばらしいが、個人的には「Strike Up The Band」「I Want To Be Happy」「Taking A Chance On Love」あたりが好きだ。どの曲もバド・パウエルとの行き詰まるセッションがジャズ魂を揺さぶられる。

途中から雰囲気ががらりと変わる。
バド・パウエルに替わりジョン・ルイスが登場し、J.J.ジョンソンが出てくる。トロンボーンという楽器のせいもあってか、のんびり・ゆったりしたムードが漂う。しかしここでもソニー・スティットは快調に飛ばしている。驚くほどの音色の良さだ。

このアルバムは1949年と50年の録音だ。そう聞くといかにも音が悪そうに聞こえるかもしれないが、これが意外といい。
それもそのはず、クレジットをよく見るとルディ・ヴァン・ゲルダーが再録音し直しているようだ。彼の功績は大きい。歴史的名盤ということで彼も気合いを込めて録音し直したのだろう。
名実共にこれがビバップの最高峰になった。


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