SENTIMENTAL JAZZ DIARY

感傷的ジャズ日記 ~私のアルバムコレクションから~

ART TAYLOR 「AT's DELIGHT」

2007年05月19日 | Drums/Percussion

当時のアルバムタイトルは確かにつまらない。しかし中には例外もある。これなんかは悪くない方だ。
日本たばこ産業の「JT's デライト」というコマーシャルをよく見るが、あれはきっとこのアルバム「AT's DELIGHT」のパクリだろうと勝手に考えている。
大手企業がコマーシャルに使うキャッチコピーだから、イメージ的には人にいい印象を与える言葉なのかもしれない。このアルバムの出来だって良くなければ企業イメージのプラスにはならないだろうから、当然内容は推して知るべしである。
一度見たら忘れないこのジャケットのタイポグラフィも見事だ。ブルーノートの専属デザイナーであるリード・マイルスの仕事である。彼からはずいぶん影響を受けた。特にこうしたタイポグラフィの扱いはどんな先生の指導よりも役に立った。
よくよく考えてみればJT(日本たばこ産業)のロゴもかなりこれに似通ったデザインになっている。ここまでくると影響がないとはいわせない。JTを手がけるデザイナーもきっとコテコテのジャズファンなのではないだろうか。

さて肝心のアート・テイラーだが、彼はもともと名脇役で有名な人だ。
これまでバド・パウエルの「ザ・シーン・チェンジス」、コルトレーンの「ジャイアント・ステップス」、レッド・ガーランドの「グルーヴィー」など、いわば大名盤といわれる録音に数多く参加している。中でも「ジャイアント・ステップス」のドラミングは見事だった。あのコルトレーンのスピードに対して一歩もひけをとらないスティックさばきは、彼が超一流のドラマーであることを物語っていた。
しかしいかんせん彼の存在は目立たない。やはりアーチストではなく職人なのだ。


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