SENTIMENTAL JAZZ DIARY

感傷的ジャズ日記 ~私のアルバムコレクションから~

STANLEY TURRENTINE 「BLUE HOUR」

2008年02月22日 | Tenor Saxophone

黒い、とにかく黒い。
私が持っているアルバムの中でも、これだけ黒い内容の作品はあまり類がない。
....とかいいながら「黒い音っていったい何だ?」と聞かれると即答できないのが情けないところだ。
普段は聴きながら感覚的にそう思っているだけで、突き詰めて考えたことがないからだ。
でもこれもいい機会だからちょっと真剣に考えてみようと思う。

黒い、とは暗いことだろうか。
それも一理あるが、陽気な黒さという言い回しもよくされているのでちょっと違うようだ。本当に暗いのは「ブルー」だろう。
そういえばこのアルバムのタイトルは「ブルー・アワー」だ。直訳すれば「憂鬱な時間」という感じだろうか。
フランシス・ウルフが撮ったジャケットの写真も暗い。わざとローアングルにしてこのブルーな雰囲気を強調させている。
しかしこのアルバムの演奏はタイトルほどの暗さを感じない。
スリーサウンズとの共演ということも頭のどこかにあるからかもしれない。
これはやっぱり青ではなく黒に近い音なのだ。

「黒い」というのは、ひょっとすると黒人らしいということなのかもしれない。
これは何となく当たっている感じもする(決して差別発言ではないので誤解しないでほしい)。
黒人霊歌のようなスピリチュアルな心の動きが表出した音だ。
ジーン・ハリスの弾くブルージーなピアノがその黒に青を継ぎ足していき、出来上がった音が深い青みを帯びた黒なのだ。
私はいつもこの色を楽しんでスタンリー・タレンタインを聴く。
大好きなテナーマンの一人だ。