文屋

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★鏑木清方の画集を買って、カフェ「猫町」にはじめて座った。

2005年06月27日 17時48分42秒 | 日録雑感

白川通りの少し西に「猫町」というカフェがあるのを知っていた。
知っていたけども、行ったことはなかった。
きのう、文庫堂の入口にあった、太宰の全集のかたわれ
一冊200円を三冊と、「鏑木清方」の画集、300円を買って
この店にはじめて入った。
名前は、萩原朔太郎の小説のタイトル「猫町」にちなんでいる
ようだが、それ以外は、普通のカフェだった。
朔太郎の何か、空気でもあるかなあ、と思ったのだが
それは、さっぱりなかった。

鏑木清方の絵。
画集でじっくり見たのは、はじめて。

でっかい画集をカウンターでひろげて、まずは、ここちよかった。

鏑木は、随筆集の「こしかたの記」「続こしかたの記」で
なじんでいたが、
こうしてじっくり眺めていると、衣服に対する
繊維といったらいいか、それは、黒髪などもふくめた
密なるものへの、フェティッシュが凄かった。

見つめていることの愉悦が、密に充満している。

『鰯』という作品の、点的な景物に
記憶すら、エロティックに内包させてしまい、茫洋とする
創作者の笑みが匂うようだ。

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3 コメント

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東の美意識 (radionova)
2005-06-29 08:01:55
そういえば鏑木清方って展覧会とかでまとめて見たことが無いのですが、江戸的なセンスがすごく気になる絵なんですね。たとえば、京都画壇の人たちの描く美人が着ているのは、ホントにまんま京都のキモノの色柄なんですが、この人の絵は渋い色の縞柄だったり上品な江戸前なんです。

私は関西の人間なので、江戸風な粋さというのを非常に格好良く感じます。たとえば亡くなってますが漫才の内海好江師匠、あのひとの着物の粋さというのは、関西の美意識ではとっても真似できないセンスで、いつも感心して見ていたものです。

鏑木清方の絵は、そういう東の美意識というか色気がいいんですね。いちどじっくり見たくなりましたが、関西の美術館にはあまり収蔵されていないですよね、多分。
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ひとけのない (bunyahagi)
2005-06-29 18:57:34




芸術や美術といった分野の人ではなくて、

粋に生きている、そこで描いているという風情ありますね。

池波正太郎などに通じるような。



でもどこか、鏑木のエロティシズムは、

ニュートラルで、そこが、繊維や空気という

人気(ひとけ)ない、肌触りを感じさせるのでしょうね。



人気のない、ここが江戸の粋かもしれない。
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絵も文章も (radionova)
2005-07-01 03:25:40
随筆家でもあるとは知りませんでした。いちど探してみたいと思います。
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