ぶーくん読書録

今まで読んできた本について、いろいろ書いてみる。
ほとんど、ネタバレ!!

サウスバウンド 奥田 英朗

2008年12月31日 | 小説-日本-
2007年
角川文庫
☆☆



上下巻ものである。
上巻は東京中野が舞台である。
主人公の少年の父も母も元革命家
父親は自称小説家でいつでも家にいる。

上級生との確執、少年らしい悩みなどかかえているところに
父親の知り合いの青年が家にやって来た。
その青年に頼まれてある事件の片棒を担ぐことになり
東京にいられなくなってしまう。
(結構、ハチャメチャな話である)

そして、下巻では
西表島に移り住む。
そこは、電気もない自給自足の生活であった。
しかし、ここでもリゾート開発を進めている建設会社とひと悶着!

こういう親は子をもってはいけない!と、怒りも感じたが、
客観的に見れば面白い本であった。
しかし、自分の主張を通す為、子どもの選択枝を奪うのはどうかと考えてしまった。
だから、面白いけれどもイライラする部分も多い本である。


ハサミ男 殊能 将之

2008年12月31日 | 小説-日本-
1999年
講談社ノベルズ




これはミステリでは無い!ミステリのお約束を守っていない。

最後に、はいこの人が犯人です!実は、あの部分は本当はこうでしたっ!
これも本当はこうでしたっ!って、だましまくってまったく真実が見えないようにしている。
ミステリにも、あっ!だまされた!っていう本はあるが、
あとから、そういえばあの部分・・・見落としたな・・・って感じで、
だまされた自分を恥じるのだが、この本ははじめっから、読者を煙に巻く事しか考えていないのだ。

読み終わった瞬間、普通なら騙されちゃったな・・でも面白いと思うのだが、
この本は実に気分が悪くなった。

多重人格を扱うのはかまわないが、この本では全く必要のない設定である。
しかも、その多重人格ぶりも主格ばかりでおのおのすべての行動を把握しているようである。
自殺したがるという行動も、おまけ的であるし、実に陳腐な読み物であった。

私は、勝手にこの手の本を流水本(清涼院流水)といって嫌っている。
(ただ、好みの問題であるので、嫌っているが否定はしない、読んでしまった自分が悪い)

読む本は、かなり慎重に選んでいるので、読んだあとこれだけ
けちょんけちょんに悪く言う本も少ないのだが、
この本は本気で頭にきた。

マジックミラー 有栖川 有栖

2008年12月31日 | 小説-日本-
1990年
講談社ノベルズ
☆☆

読みやすく、中々楽しめた。
ただ、殺人を犯す理由が良くわからなかった。
結局、別れてからも何年も経つのに、未練が残っていたのだろうか?
かつての恋人を奪った友人の双子の弟までもが、
自分と同じようなマジックミラー越しの思いを持つ男の妻を奪っているのを見たかったのか・・・・・・
キーポイントが双子で、双子であるが故のトリック、双子ということを利用して保険金殺人を犯す、そして双子ということ利用して殺人のトリックを考える。
だがしかし、最後のトリックを暴く探偵までもが双子だったというのは、
しつこすぎた。
せっかく面白いのに、最後でちょっと興ざめだ。

あかんべぇ 宮部 みゆき

2008年12月30日 | 小説-日本-
2006年
新潮文庫
☆☆☆



宮部みゆきは好きな作家である。
一時期読みまくったが、最近はとんとご無沙汰であった。
久しぶりに借りて読んでみた。おもしろい。

江戸・深川の料理屋「ふね屋」の娘おりんは高熱をだして三途の川岸に行ったときから幽霊が見えるようになった。
「ふね屋」の門出の日、ひとり?の幽霊が大暴れする。
その事件をきっかけにこの「ふね屋」に住み着いている幽霊達となぜここの場所にいるのか、そのなぞを解くこととなる。

現実に生きている人間と幽霊達との関係が解るにつれて
過去におこったつらくて凄惨な事件へと繋がっていくのだ。

おりんと、幽霊達とのふれあいがとても楽しい作品であるが
しかし、最後は涙が止まらなくなってしまった。

文句無くおもしろい作品である。

マーベラス・ツイン 古龍

2008年12月30日 | 小説-アジア-
2008年
コーエー
☆☆



特に好きな作家であるが、なかなか日本語訳が無いのが現実だ。
今回”光栄”からの出版ということでどうなっているのかと思いきや・・・
この挿絵はちょっとつらい・・・・
出版社のカラーだと思うがライトノベル仕様となっている。
しかし、古龍は読みたい!!
と、いうことで読んでみました。

原題は「絶代双驕」こっちのほうがかっこいいと思うんだが・・・
さて内容ですが、古龍といえば武侠小説!江湖を舞台に拳法・剣法乱れまくりです。

双子の兄弟はとある事件により離れ離れに育てられる。
生まれて間もない為、お互いを知ることなく
一人は極悪人谷といわれる場所で悪人達に育てられるも、
義侠であった父の血をひき、心は義の心を持って育っていた。
それが、本作の主人公の一人小魚児。
もう一人は移花宮の貴公子として育てられた花無缺。
しかし、花無缺は移花宮の宮主に小魚児を殺す様に教育されいた。

小魚児はずっと過ごしてきた悪人谷を出て旅をすることになる。
江湖でも名をしられた武芸の達人たちを師匠にもつ小魚児は江湖でも引けをとらない活躍をするも、
花無缺と出会うことで、自分の武芸は井の中の蛙であると痛感する。
もちろんこの二人が兄弟であることは二人は知る由もなく、
花無缺はひたすらに小魚児を倒そうとするが・・・

ライトノベルズ風となっているが、
内容は間違いなく”古龍”でした。

扉のない部屋 スティーブン・ギャラガー

2008年12月30日 | 小説-海外-
1995年
角川ホラー文庫
☆☆

イギリス人のジムはちょんなことからスイスの製薬会社の新薬の実験台にされてしまう。
製薬会社の身勝手で人生が狂ってしまったジム、
夢か幻覚か薬の副作用に翻弄される。
そして、製薬会社の親族闘争のカードとして使われ、
誰を信ずるべきか分からなくなり追い込まれていく。
最後は、自分の安全の為、製薬会社の重役を闇の世界に閉じ込めてしまうのだ。

ホラー文庫の作品でありながら、これはミステリになるのだろうか?
と、思いながら読み進めていたが、なるほど!ホラーでした。
そう、ジムは薬の副作用で今のこの世界と、なにも無い闇の世界を行き来できるようになっていたのだった。
しかし、本文ではずっと悪夢として語られていたのだ。
製薬会社の人間達もジムを監視していたが、
そこまでのデータを取ることができなかったのである。

しかし、ちょっとテンポが悪く、読んでいても睡魔に襲われることが多々あった。

パラサイト・イヴ 瀬名 秀明

2008年12月30日 | 小説-日本-
1995年
角川書店
☆☆☆



宿主がミトコンドリアを利用・操作するのか、
ミトコンドリアが宿主を操作・変化させるのか・・・

中学だか、高校だかの生物の時間にミトコンドリアとうものを習った気がするが、それほど詳しくは覚えていない。
そして、この本を読んで改めてミトコンドリアの働きを再勉強した気がする。

聖美のなかで、意思をもつミトコンドリアが世界を支配する為ちゃくちゃくと準備をしていく。
聖美を意のままにあやつり、さらには永島を操作して”自分”を増殖させる為の手伝いをさせていく。
しかし、完璧に計画されたプログラムにも欠陥があったのだ。

サイエンスホラーとでもいうのだろうか?
悲しいような怖いような話であった。

火の粉 雫井 脩介

2008年12月30日 | 小説-日本-
2004年
幻冬舎文庫
☆☆☆☆



これは面白い!!
一気に読んでしまった。

一家惨殺の容疑者である武内を”疑わしきは罰せず”ということで、
無罪判決した。その裁判長、勲は法曹界を去り大学の教授となる。
すると、無罪となった武内が勲を訪ねてくるところから、平穏な日常に歪みがでてくる。
武内が勲の家の”隣”に引っ越してきたのだ。
そして勲の家では不可解なことが起こり始める。
武内は大変感じの良い”お隣さん”ではあるが、気に入った人にはとことん尽くす。
しかし拒絶する人間は排除をするという二面性があるのだ。
見返りを望む親切なのだ。

自分が愛する分、同じだけの愛情を求める。しかし、愛情が帰ってこないとき・・
とにかく、次のページが気になって途中で読むのを止めることができなかった。

黒猫の三角 森 博嗣

2008年12月30日 | 小説-日本-
2000年
講談社ノベルズ




大体において、登場人物の名前を凝りまくっている作品は駄作が多いと考えている。
いい作品は、ありきたりな名前がしっくりと記憶に残る。
しかし、名前だけを凝ったものにして内容が無いと読んでいる時に名前が鬱陶しいだけで何も残らないのだ。

そうなのだ、この作品は名前だけが鬱陶しくて変に理屈っぽいだけの作品であった。

初めは3年前の7月7日に11才の少女が、2年前7月7日22才の女性、
そして去年は6月6日33才の女性、今年は6月6日に44才の女性が殺害されるという、ゾロ目殺人事件・・・・このあたりから・・・鬱陶しい・・・

そして殺人の理由・・・・
天才すぎる自分、テストをわざと間違えないと100点しか採れない。
だから、いつもわざと間違えて、他人から妬まれないようにする。
自分は頭が良すぎて他人から理解してもらえない。
そして、ただ人を殺したかった・・・嗚呼・・・すごく・・・ウザい・・

そして犯人は・・・

他人になりすました天才・・・嗚呼もうめちゃくちゃウザい!!

そして、最後に名前を使われていた犯人の友人が登場し・・

大体が、この作品中に出てくる桜子なる人物、初めの紹介のところに「科学者」と書いてある。しかし、相当後半になってそれらしき場面が2ページくらい。
とってつけたような職業・・・
この作品には、哲学者や科学者そして数学者が出てくるが
どれもとってつけたような肩書きで作品の中での重要性を感じられない。

変に理屈っぽい安物のにおいがぷんぷんしてた。

夢の島 大沢 在昌

2008年12月30日 | 小説-日本-
1999年
双葉社
☆☆☆



信一に24年間会っていなかった父が死んだと連絡がある。
しかし、それから信一の周りでいろいろなことが起こり始めるのだ。

キーワードは”島”だが、信一にはまったく何の事か分からない。
しかし、その”島”を巡って殺人事件までもが起こるのだ。
信一は、自分と愛する恋人と友人を守る為に行動を起こす。
まずは島について調べること。
それは、かつて自分の父親を含む3人が住んでいた無人島であった。
そして、その無人島こそ一時期裏社会で流通した「アイランド・スティック」という高級品の大麻の生産地であったのだ。

信一はすべてを終わらせる為、その島へ行くことにする。
親友の裏切りや生命の危機を乗り越えながらたどり着いた島にいた人物とは・・

中盤くらいからは、もう止められなくなり一気に読んでしまった。
非常に面白かった。

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