ぶーくん読書録

今まで読んできた本について、いろいろ書いてみる。
ほとんど、ネタバレ!!

ラミア虐殺 飛鳥部 勝則

2008年12月29日 | 小説-日本-
2003年
光文社
☆☆



まず題名が気になった。
ラミアとは、全知全能の神ゼウスの愛人の一人で、ゼウスの最強の本妻ヘラの嫉妬で子どもを奪われ、その恨みで子ども達を襲うようになった。

姿は蛇で蛇女神である。
なんとなく、日本の鬼子母神の逆のイメージである。

元、傭兵の杉崎がやっている探偵事務所に一人の女が来ることから始まる。
杉崎は傭兵時代にある新薬に係わる事件にまきこまれていた。
さて、その女はその新薬を開発した研究者の娘で美夜という、
美夜は杉崎に自分のボディガードを依頼する。
そして、美夜の実家へ向かうのだがそこは人里はなれた山奥にあった。

その家には、美夜の父である博士と知人の代議士一家、そのボディガードがいたが、
吹雪で下界と分断され孤立する、そして事件が起こるのだ。

杉崎が巻き込まれた事件では、新薬を打つことで(細かい事は書かれていないが、多分ちがう生物のDNAを云々だろうか)体を強化して最強の兵士をつくるというものであったが、実際できたのは、最強の兵士ではなく人工の怪物であった。

しかし、この事件の犯人は・・・・・

真に恐ろしいのは、人工の怪物でも、天然の怪物でもなく天然の人間なのかもしれない。
ちょっと間違えると、嫌いな部類の本になるのだが、これは面白かった。
しかし、好き嫌いがはっきりする本だと思うので、
皆におすすめ!!と、いう感じではない。

白い部屋で月の歌を 朱川 湊人

2008年12月29日 | 小説-日本-
2003年
角川ホラー文庫
☆☆

題になっている「白い部屋で~」はいわゆる口寄せ(イタコ)といおうか・・
主人公は歩けないのだ、
たしかに口寄せはその能力の代わりに何かが足りなくなる、
たとえば目が見えないとか、歩けないとかである。
しかし、この物語のさいごは
「ええ~!そうなの!」って感じであるが、
実はもう一つの作品が絶品であった。

「鉄柱」という作品だが、
ある町に、「鉄柱」という、首をつるための柱が立っている。
しかし、それを使うためには今現在幸せを感じてなくてはいけないのだ。
幸福死を遂げる為の柱なのである。

その町に、夫の不倫の末左遷された夫婦がやってくる。
もちろん妻は夫の不倫の為という左遷の理由を知らないことになっているが、
実はわかっていたのだと思う。
妻は夫が浮気をすると発作に見舞われるのだ。
静で親切な町の人たちとの生活にも慣れ、
翻訳の仕事という生きがいを見つける。
すると、またもや夫に浮気の虫が騒ぎだす。
部下の女性と関係を持ってしまうのだ。
すると、またもや妻に発作が起こり何かに感ずく。
その頃、翻訳も完了して自分の本が出版されるという幸福の中にいるが、
夫と部下の関係に気づいた時には、
この幸福が崩れてしまうと考えたのではないだろうか?
この柱は、過去幸せではいけないのだ。
今幸せでなければ、この柱を使う資格を失ってしまうのだ。

十角館の殺人 綾辻 行人

2008年12月29日 | 小説-日本-
1991年
講談社文庫
☆☆☆



「本格物」というらしい、
私はあえて「古典的」と言わせてもらうが、
決して「古典」が嫌いな訳ではない。
逆に好きであるし、ほっとするのだ。

昨今のミステリの中にミステリのお約束を守らない「なんちゃってミステリ」
もしくは「バカミス」が多々あるが
そんな本を読んでしまうと無性に腹がたったりする。

さて、この本であるが
ある大学のミステリ研究会のメンバーがある無人島に出かけていく。
その無人島は、以前ある建築家の家族が壮絶な死を遂げた場所で
その建築家によるちょっと変わった建物が建っているのだ。
ミステリ研究会のメンバーはその変わった建物十角館に宿泊することになる。

朝、目が覚めるとエントランスのテーブルに殺人予告のようなプレートが置いてある。
そして、その翌日からアガサクリスティの”そして誰もいなくなった”張りに殺人事件が起こるのだ。

島で壮絶死をした建築家とミステリ同好会の飲み会で急死した女性がつながって
そして、その島には誰もいなくなった・・・・・

安心して謎解きを楽しめる作品だ。

愛と変身のギリシャ神話 吉田 敦彦

2008年12月29日 | 小説-日本-
1993年
同文書院
☆☆

神話とうのは面白い。
とくにこの本は読みやすく解り易い。
昔、新潮文庫の分厚いギリシャ神話の本を読んだことがあったが、
実に読みにくく気合で読んだ思い出がある。

大体の悲劇は、ゼウスのせいで、さらにその為に嫉妬に燃えるヘラが止めをさす事が多い。
基本的には、神の勝手で人間が大いなる迷惑がかかっているのだが、
いかんせん人間には力がない、勝手な神の思うがままにされてしまう。
挙句の果てには、「かわいそう」だということで、星座にされてしまう。
ほっといてくれ!って感じだ。

多分日本の神話はギリシャ神話が元になっているものも多分にあるだろう。
読んでいると、「おやっ?」と思う話が結構あるのだ。

旧約聖書「愛の12章」 中見 利男

2008年12月29日 | 小説-日本-
1999年
ぶんか社
☆☆☆

大変長い旧約聖書を非常に読みやすく、
しかも、特に面白いエピソードをがっつりと要約したほんである。
文章も、聖書と違って現代風になっているし、
地域などもわかりやすくかかれているので、一気に読める。

この本を読むとますます旧約聖書に興味をもって、
もっときちんと読もうとおもうのであった。

創世記のアダムとイブはもちろんハズせないし、
さらにロトの話でおやっと思った。
聖書とは関係ないが、ロトが住んでいたのは、ソドム・・・
なんだか、ドラゴンクエストのロトシリーズのような・・・

モーセやダビデ、ソロモン、イザヤ知らないようで、
意外と登場人物を知っていたりするんだな・・・

ゲルマニュウムの夜 花村 萬月

2008年12月29日 | 小説-日本-
1998
文芸春秋


殺人事件をおこし逃げる為に、
自分がかつて居た養護院及び修道院で働くこととなった。
養護院では、実に排他的で冒涜的な行いが横行していた。
主人公、朧は同僚を暴力で支配し、修道女を犯す。
いったい、どこへいきたいのか、何をつたえたいのか
とにかく、胸が悪くなる作品であった。

敵意 ダニエル・スティール

2008年12月29日 | 小説-海外-
1999年 
アカデミー出版


大変読みやすい本である。しかし、嫌いな部類の本であった。

要約すると、不幸な女のサクセスストーリーただこれだけ。
なんというか、主人公は比類ない美人で頭が切れる・・・
しかし、13歳の頃から、実父によって、性的虐待を受ける、
しかも母親公認である。
その母の葬儀の日、父親に襲われピストルで撃ち殺してしまう。
すばらしい精神科医と弁護士に恵まれ2年の服役になるが、心から信頼していた精神科医が飛行機事故で亡くなり、よくしてくれた弁護士も連絡がとれなくなる。
不幸につぐ不幸!!しかし、最後はしっかり幸せになるのだった。

根本的に、美人で頭が良くて、不公平なくらい不幸のどん底にいるが
最後はシンデレラよろしくハッピーエンドというはなしは、
御伽噺だけで沢山だ。

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