ぶーくん読書録

今まで読んできた本について、いろいろ書いてみる。
ほとんど、ネタバレ!!

上海幻夜 七色の万華鏡篇―朱雀十五シリーズ  藤木 稟

2011年09月24日 | 藤木 稟
2001年
トクマ・ノベルズ



こちらは、朱雀十五シリーズの番外編である。
1910~1930年代の上海が舞台となっている。
この時代独特のエログロで眩惑的な雰囲気が私は好きだったりする。

本編にでてくる人物の過去が短編で語られる。

アヘン中毒の華人の治療に奔走する、日本人僧侶の慈恵
龍華会の李大人の孫娘である香蘭が出会い、治療の手伝いをすることで
お互い惹かれていく
「赤い幇の抗争」
十五の両親の出会いを描いた作品である。

「緑洞に棲む異形者たち」
は、紫禁城で生きる宦官の話。
親に売られる形で宦官となった高悦だが、
うまく立ち回っていくうちに紫禁城内で力をつけることになる
失ったものを取り戻すために狂気が芽生える。

「橙と呼ばれた少女」
は、貧しい家に生まれ、娼館に売られた少女が
出世のためにだれよりも小さな纏足を作ることに賭けていたが
ある日、纏足の足から最近が入り、あっけなくなくなってしまう。
幼少の十五が目の当たりにする、貧富と差別。

探偵編とは違う朱雀シリーズで、ちょっと期待です。

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2 コメント

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宦官の話といえば・・・ (ぶー)
2011-09-25 03:05:55
先日のブッククラブで読んだ「西太后」のなかにもたくさん出てきました。貧しい女子の親には「側室」となって「出世」をたくらんだ人がいるように、男子の親にはそのような形でお金をもらいたくてうずうずした人がいたのでしょう。

両親自身がお金ほしさというのはともかくとして、子ども自身が食べられるために、という切実な願いもあったのかもしれません。

昔「宦官」と同じような手術をすることで「カストラート」という「男なのに女のような声域までカヴァーする声楽家」が存在したのですが、有名になればしめたものですが、才能に芽が出ず、しかも子供も作れない男の人が続出したようです。親の欲目か?? かわいそうです。
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ぶーさんへ (ぶーくん)
2011-09-26 15:46:24
蒼穹の昴でもやはり宦官が出てきて、
勢力争いをやってましたね・・

日本でも、農家とかの長男以下は丁稚にでるとか
女の子なら、遊女としてってありましたからね、
たしかに、残ったものの為にお金が必要であり
売られた子たちも、売られた先では食べることは約束されるでしょうから皆が餓えないようにとうのもあったのでしょうね。


なるほど、男性ホルモンを抑えることでってことなんでしょうか・・
たしかに、有名になれなければその後の人生はかなりつらいものになりそうです。
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