創業大正十年。
大阪にはところどころエアポケットみたいな場所があります。華やかで近代的な御堂筋のイルミネーションや巨大なビル群の隙間にある、昭和の香りたっぷりのこじんまりとしたギャラリーカフェ・平岡珈琲店もそんな場所の一つです。
木彫りの粋な看板に、オヤジのこだわりを感じさせる幟風の布看板とのれん。ドアを開ければ縦長のカウンターに一列だけのテーブル席は、ざっかけない一膳めし屋の風情です。
落ち着いた雰囲気の木の壁には写真がずらり。
平日の4時頃で私以外の客はおらず、時間帯もエアポケットでした。はじめましての気持ちをこめて「平岡ブレンド」をオーダーです
けっこう濃い目ですが、酸味がきいていて、ダンディーな珈琲
のんびりと珈琲を口にしながら綺麗な滝の写真を眺めます。(ちなみにこちらの写真をハガキにしたものが置いてあって、無償でわけていただけます)
写真の外にも、古い珈琲を挽く器械、明るい緑の藻と赤いエビが印象的な水槽などが、さりげなく置いてあります。
ご夫婦でやってらっしゃるようですが、にこにこと穏やかなご主人は珈琲を淹れ終わると、お気に入りのモノたちに囲まれながら、優雅な手つきで読書に没頭。奥様は無言で街ゆく人たちを眺め、その頭上では年代物の時計が時を刻んでいます。
こんな風に時間の隙間に沈み込んで、ゆらゆらと楽しむのが元来の「喫茶」なのかしれませんね。
せわしないご時世、たまにはこんな過ごし方も悪くありません