ぶらっとJAPAN

おもに大阪、ときどき京都。
足の向くまま、気の向くまま。プチ放浪の日々。

小説『細雪』の家 ~兵庫県神戸市・倚松庵~

2015-08-09 22:49:03 | 兵庫

神戸市東灘区にある谷崎潤一郎の旧居「倚松庵」(いしょうあん)。JR住吉駅から出ている六甲ライナー魚崎駅から川沿いを歩いて数分のところにあります。「倚松庵」とは「松に寄りかかっている住まい」というような意味で、近隣に松があったことによるものですが、、同時に松は松子夫人のことでもあったそうです。

小説『細雪』は、昭和11年から16年の間のこの家でのできごとを、ほぼ忠実にたどったもので、谷崎ファンなら一度は訪れてみたいところ。

もともとの家は現在の地点より南へ150mほどの位置、現在の魚崎駅付近にありましたが、六甲ライナーの建設などに伴い、現在の場所に移築されました。

溢れるような緑がお出迎え。

もちろん建物自体は古いのですが、丁寧に手入れされている様子がうかがえて、とても居心地の良いところです。当日は相変わらずの暑さだったので、着いてすぐ、係りの方が応接間へ案内してくださいました。ここは建物のなかで唯一冷房のきいているところなのです。

光がいっぱいの応接間。

扉のステンドグラスがおしゃれ。

ここの書棚には、谷崎の著作がたくさん並べられていて、この応接間と隣の食堂で自由に閲覧することができます。初版本と思われるものもあったりして、この部屋での読書はたっぷりと谷崎の世界に浸れそうですね。

『細雪』を読んでいると、三姉妹に次女幸子の夫と娘という大所帯なので、ずいぶんな豪邸を想像していましたが、部屋数は多いですけれども、思いのほかこじんまりした印象です。とはいえ、この応接間とか十分広いのですけれども。最近は、吹き抜けの建物とか、部屋を壁で区切らずワンフロアだったりしますので、現代人の感覚がちょっともう違ってきているのでしょう。普段の姉妹の生活がこの洋間中心だったので、実はもっと洋風な建物を想像していましたが、全然日本的で、子供の頃遊びにいった田舎の親戚の家のような懐かしい感じがありました。

物語冒頭に登場する日本間。

映画『東京物語』に出てきそうな昭和なにおいのする欄干。昔の人はこうやって涼をとったんですね。

流産後の幸子が過ごしたであろう縁側を庭から眺める。奥の日本間は履き出し窓がついていて、この家で一番風通しが良い所。

なじみのある地名とか、しゃべり言葉から、谷崎潤一郎の作品は関東で読んだ時より関西で読んだ方が、空気が馴染んでより臨場感が感じられるとは思っていたのですが、それでも『細雪』はどこかファンタジーな印象でした。ところが倚松庵にいると、四姉妹の存在が生々しく感じられ、息遣いまで聞こえてきそうです。この家は借家だったので、家主の都合で『細雪』の執筆が始まってしばらくしたころに急きょ明け渡さねばならなくなったようですが、二階のこいさんの部屋で頬杖をつきながら、ぼんやりと窓から外を眺めていると、離れてもなお、執念ともいえる形で、世相が戦争へと傾いていく中、この閉じられた空間で変わらぬ日々を過ごそうとしていた姉妹の日常を描き残したかった谷崎の愛着の理由がわかる気がします。

生活の匂いが、こんなにも濃い密度で残されているとは思いませんでした。

家族が食事を摂ったテーブルが置かれている台所。

入館は無料ですが、基本的に土日のみの開館です。月に一回、ボランティアガイドによる解説があります。次回は9月15日だそうです。

 

 

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お肉屋さん直営のお肉レストラン ~神戸市 Aqua Vitae~

2015-08-08 21:43:56 | グルメ

神戸市東灘区、JR住吉駅からほど近い有馬道商店街にあるお肉レストランAqua Vitae(アクア ビテ)。

天井が高く広々とした店内は開放感があって心地よく、ランチの時間に行ったら家族連れや女性グループなどでにぎわっていました。

この写真はランチ終了後に撮影したので、賑わいをお伝えできず残念です。

ちなみに、商店街の名前「有馬道」とは、有馬街道の名残で、昔の人は、この道をたどって山を越え、有馬温泉に行ったそうです。ネットで調べてみたら、途中で住吉道と合流して、今でも有馬温泉へと繋がっているみたいです。ただし、相当な山を越えないといけないみたいですが・・・。

それはさておき、この日は動き回ってお腹ぺこぺこだったので、がっつりと「おすすめ和牛ステーキランチ(ロース)」を注文です。

ちなみに、脂が苦手な方にはもも肉のステーキ、それから豚のステーキもあります。その他にもハッシュドビーフとか、手作りベーコンとかとにかくお肉押し。でも女性客多いんですよね。商店街周辺には、エネルギッシュな女性が多いのでしょうか。

お肉屋さんらしく、前菜もお肉

ローストビーフがお気に入り♪

味は濃いめでビールが欲しくなりました。さすが、お肉屋さん。肉のうまみが嬉しいです。

そして1枚目の写真、メインのステーキランチ。デミグラスソースが効いています。

お肉は柔らかく、デミグラスソースはスパイシーで大人の味、フレンチビストロっぽい仕上がりです。こういうところが女性に人気なのかもしれないですね。でも、付け合わせポテトやラタトゥイユは手作り感あふれる家庭の味。白いご飯がすすみます。ちなみに、隣の方は煮込みハンバーグを召し上がっていらっしゃいました。こちらも美味しそうでした・・・。

デザートは3点盛り。いつも思うのですが、神戸のデザートってビスコッティ的なハードタイプのお菓子が良く出てきますよね。センターのケーキにまぶしてあるのも、そういう焼き菓子でした。

セットについてきたコーヒー。

歴史を感じる有馬道で、モダンなお食事という神戸な時間でした。ところで、なぜJR住吉駅に出没したのか。その理由は、明日のブログにアップです!

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本丸に見参! ~大阪城~

2015-08-07 23:28:19 | 大阪

荒木村重や軍師官兵衛ゆかりの城とか、武士じゃないけど緒方洪庵の適塾とか、これだけお膝元をうろついているのだから、一度は本丸を訪ねるべきではと思い立ち、大阪城に行ってきました。今月は天守閣の開場時間が延長になっていて、夜7時まで登ることができます。

ウン十年前に遠足で行った記憶がうっすら残ってますが、もはや知らないも同然です。地下鉄谷町四丁目駅で降りて歩いて行ったら、近くにNHK大阪や大阪歴史博物館、さらには大阪府警まで、なにかと建物が密集している地域。やはり、現代でも大阪城周辺は町の中心なんですね。

歴史博物館前の交差点を渡ると見えました!

公園を突っ切って門の前へ。

さすがの迫力です。

トワイライト展望を狙ってか、家族連れからカップル、外国人観光客まで、けっこうな人出でした。私が行ったのは夕方5時ぐらいですが、まだ日差しはきつく暑いので、天守閣前には先日西宮北口駅でみたのと同じようなスプリンクラーが設置されていました。

前にいたのが西洋の方だったので、まるでターミネーターのよう(笑)。

現在の天守閣は3代目だそうで、もちろん最初は豊臣家が城主だったのですが、その後徳川氏によって再建され、いまある遺構はほとんどその時のものだそうです。しかも、それも明治維新のおりにだいぶ焼けて、昭和に再興されて3代目というわけです。

展望台は8階。5階まではエレベーターであがれます。帰りは階段しか使用できません。でも各階にいろいろな展示があって楽しいです。

これは2階にあるレプリカ。人気の記念写真スポットです。2階には試着体験コーナーもあって、300円で武将のかぶとや衣装が試着できます。官兵衛のかぶともありました。

1階のショップで見つけた『蒸しどらやねん』。大阪やわ~(笑)。

3、4階は歴史資料の展示で刀が多かったですね。実際に人を斬ったものかどうかはわかりませんが、 場所が場所だけにそういう波長が合うみたいで、殺気とまではいかなくても不気味で、ちょっと近寄りがたかったです。実際、ここでいろいろあったわけですもんね・・・。やはり飾りものでない、実戦をくぐりぬけた存在感みたいなのを感じました。

さて、お待ちかねの展望台。さすがの絶景です。

こんな景色を毎日見てたら、権力にしがみつきたくなる気持ちもわかるかも・・・。

町を睥睨するだけで、天下とった気分になりますもんね。広大な敷地だから、一歩も城外にでなくても十分生活できるし、淀君が息子のために守り通そうとしたのも無理からぬことかもしれません。

西の丸公園。10月にはここで平成中村座が谷崎潤一郎の「盲目物語」という秀吉ゆかりの歌舞伎をやるそうです。こんな想像力をかきたてられるところでやったら、盛り上がるのは必至。ていうか、夜に芝居なんかやったら、絶対いろんなものが来ると思います。とりあえず故・勘三郎さんは間違いないでしょう・・・。

今年は大坂夏の陣から400年。お城にしてみたら、意外にあっという間だったのかもしれませんね。

明日、あさっては「天守閣で夕涼み」というイベントがあるそうです。夜の天守閣。楽しそうです。

 

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村野藤吾晩年の建築 ~宝塚市庁舎~

2015-08-06 19:27:54 | アート

 東京の日生劇場や日本興行銀行本店から、戦後の数寄屋建築を代表する京都の佳水園まで、数多くの名建築で知られる村野藤吾。晩年は兵庫県宝塚市在住で、そのご縁でしょうか、1980年に建てられた、村野氏設計の宝塚市庁舎です。村野氏のご逝去が1984年(享年93歳)ですから、ほんとに晩年、しかもかぎりなく90歳に近い80歳代! での作品です。

建設当時は、公共の建物にそんなにお金をかけて・・・と賛否両論だったらしいですが、その他の村野建築から比べてみれば、ぜんぜん地味な市役所仕様(笑)。その中に、そこはかとなく遊び心を感じさせる、さすがに手練れのデザインです。

平安とか江戸とか歴史に分類される時代の建築物は手厚く保護されるのに、現代建築は、老朽化したらすぐ解体みたいなことも多くて、村野氏デザインのもので、現存しないのも多いらしいです。コンクリートはまあ50年から70年くらいが寿命ですかね。木造の寺だと1000年とか持つらしいですから、(火災に注意は必要ですが)はかない命ですね・・・。そういえば心斎橋の大丸も取り壊しが決まったそうで、ああ、もったいない

ヨーロッパの中世のお城みたい。

以前、東京の目黒で行った村野藤吾建築ツアーの建物にもあった楕円形の穴。解説員によれば、目黒の穴はまったくのフリーハンドでひかれた線で、どうやってもマネできない、美しいラインだそうですが、これもフリーハンドで設計図に起こされたのでしょうか・・・?

二階は緑化中。

村野氏の旺盛な創作意欲は晩年まで全く衰えず、亡くなる前日までお仕事をされていたそうです。亡くなった時、背広のポケットには3日後搭乗の航空券が入っていたとか。燃焼し尽くしてふっといなくなる。ある意味、理想の生き方ですよね。

ところで、村野氏の代表作の1つに、広島の世界平和記念聖堂があります。

世界平和記念聖堂

(『近代建築の楽しみ』ホームページより)

 

 昭和25年から29年にかけて作られた教会で、戦後建築では初の重要文化財に指定されています。外観ですでにとても綺麗ですが、内装も素敵です。

おりしも今日8月6日は広島に原爆が投下された日。美しい教会の写真を眺めながら、しばし祈りをささげたいと思います

 

 

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暑い、暑い ~兵庫県 西宮北口駅~

2015-08-05 21:09:05 | 日記

毎日、暑い日が続いてますね。

外を10分も歩けば、お風呂に入ったの? と言いたくなるくらい髪の毛がびしょびしょ。ペットボトルが手放せません。

そんな中、阪急西宮北口駅で、クールダウンスペースを発見。最近よく見かける打ち水ならぬ霧水のおかげで、利用客の憩いの場になっていました。

盛大に噴出中。

ミストシャワーの真下で涼をとる男性。気持ちわかります。

天窓だから、何もしないと相当暑いのでしょうね。そもそもは植物に水をあげる装置と思われますが、木陰もあってひんやりと気持ちよく、たくさんの方が立ち寄ってました。おしめりのおすそ分けで、ほっとひと息です。

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