バラ科 サクラ属 オオシマザクラ
関東地方南部の房総から伊豆諸島に分布する落葉の高木で、日本固有の野生種です。
成長が早く材質が細かいため、版木や建材、家具につかわれました。
樹皮はつやがあるため茶筒や鉈の鞘に使われ、葉は塩漬けにして桜餅に使われます。
薪や炭にも使われた説がありますが、桜の手入れをされている方はご存知でしょう、病気や害虫、剪定に弱い木を切りますか?
花木生産の途中で出た、商品にならない枝ぶりの悪い木を切って薪にするならわかります。
名前から伊豆大島が原産地とする説もありますが、噴火回数の多い火山島であること、潮風が強いことを考えると房総が原産地の可能性もあります。
「オオシマザクラ」は、「ソメイヨシノ」の片親ですが、房総から運んだ木だったそうです。
高さは10から20メートルにもなる高木です。花はソメイヨシノより早くさきます。
白色の花弁は5枚、雄しべは多数、雄しべの花糸は白色から黄色、紅色に変化します。
花が終わると果実になり、うすい黄緑色から紅色、黒色と変化して熟します。
花がさくのと同時に葉が展開するのが特徴です。葉は卵形で先がとがり、まわりには鋸歯があります。