徒然なるままに、一旅客の戯言(たわごと)
*** reminiscences ***
PAXのひとりごと
since 17 JAN 2005


(since 17 AUG 2005)

事故の連鎖か ウェスト・カリビアン航空MD-82墜落

 残念なことにまたも死亡事故が発生してしまいました。

昔から、“事故は連鎖する”と言われていますが、このところ Aviation Safety Network からの配信が多いのが気になります。

Aviation Safety Network からの引用によると、乗員はエンジントラブルを報告していたようです。離陸~巡航(高度: FL330 約1万メートル)は順調で、離陸後約1時間は(少なくとも)ATC に報告されるような状況は何も無く、Position Report (位置報告)を行なっています。

最後の Position Report (over SIDOS waypoint) から7分後に、パイロットは「エンジントラブルにより FL140 (約4200メートル)まで降下したい」旨を ATC に要求し承認されています。
この段階では、双発エンジンのうちの一発がアウトになったと思われます。
双発機はエンジンが1基停止させるだけで、推力が半分になってしまいます。殊に事故を起こした MD80 シリーズは大推力のエンジンを積んでいる訳でなく非力な部類ですので、エンジン1基で飛行するには飛行高度・速度共に下げる必用があります。
よって、ATC へのこのリクエストは理に適っており、どのような類のエンジントラブルだったかは不明ですが、トラブルの類によっては、降下中にダウンしたエンジンの再始動を試みることも可能だったでしょう。

しかし、降下要求から4分後には最後の通信となる「エンジンが2基ともトラブルを起こし、機体も制御不能」と言ってきていますので、短時間のうちにトラブルが連鎖的に発生したことが考えられます。
操縦系統をつかさどる油圧は、通常はエンジンを動力源として供給されていますので、2基とも停止してしまうと通常系の油圧は Lost して操縦桿の油圧アシストが失われてしまいます。Alternate (予備の)油圧がもう一系統あるのですが、それを活かすことも不可能だったようです。

最後の降下率は 7000 feet/min (毎分約2100m)だったそうです。
通常の運航での降下率は、3000 feet/min だと「随分とぐんぐん降ろしているな」と感じますし、空港近くになると、500 ~ 1500 feet/min 前後です。
地上近くで 7000 feet/min の降下率がいかに異様なものであることがわかります。

コロンビア旅客機墜落、161人全員死亡=乗客はすべて仏人 (時事通信) - goo ニュース
【ボゴタ、パリ16日】ベネズエラ西部で16日、コロンビアのウェスト・カリビアン航空のMD82型旅客機が墜落、乗客153人と乗員8人の計161人全員が死亡した。フランス民間航空局と旅行代理店によると、乗客はすべて、パナマでのバカンスからカリブ海のマルティニク島の自宅に帰るフランス人だった。(写真はコスタリカのサンホセを離陸するウェスト・カリビアン航空機)

同旅客機はマルティニクの旅行代理店がチャーターしていた。マルティニクの政府当局者によると、フランスの航空事故調査局(BEA)が墜落原因調査のためベネズエラに3人、マルティニクに2人を派遣した。これまでのところ、同機の2つのエンジンが故障を起こしたと見られている。〔AFP=時事〕

2005年 8月17日 (水) 00:51


ASN Accident description 16 AUG 2005 McDonnell Douglas MD-82 HK-4374X
Status:              Preliminary 
Date:                16 AUG 2005 
Time:                ca 03:05 
Type:                McDonnell Douglas MD-82 
Operator:            West Caribbean Airways  
Registration:        HK-4374X 
Msn / C/n:           49484/1315 
Year built:          1986 
Crew:                8 fatalities / 8 on board  
Passengers:          152 fatalities / 152 on board  
Total:               160 fatalities / 160 on board  
Airplane damage:     Written off 
Location:            near Machiques (Venezuela) 
Phase:               En route (ENR) 
Nature:              Int'l Non Scheduled Passenger 
Departure airport:   Panama City-Tocumen International Airport (PTY) 
Destination airport: Fort de France-Lamentin Airport (FDF) 
Flightnumber:        708

Narrative:
The MD-82 arrived at Panama City-Tocumen after a flight from Medellín-José María Córdova Airport (MDE). The plane was then prepared to carry out a flight to the Caribbean island of Martinique. Flight WCW 708 departed Panama City at about 06:00 UTC (01:00 local time) and climbed to its cruising altitude of FL330. At 06:51 UTC the crew reported at FL330 over the SIDOS waypoint, over the Colombian/Venezuelan border. Seven minutes later the crew contacted the Caracas controllers, requesting permission to descend to FL140 because of engine problems. Permission was given. Last radio contact with the flight was at 07:02 UTC when the pilot reported problems with both engines, stating the airplane was uncontrollable. Preliminary news reports suggest that the aircraft descended at 7000 ft/min, and finally crashing in a swampy area.
タイトル画像:Copyright (c) Willem Alberto --- Photographer

今年の7月7日、Medellín-José María Córdova Airport (MDE) で撮影された事故機
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