徒然なるままに、一旅客の戯言(たわごと)
*** reminiscences ***
PAXのひとりごと
since 17 JAN 2005


(since 17 AUG 2005)

何とかせねば、PW4000

 JAL1992/15JAN OKAHND (Boeing777-246) が No.2 Engine Oil loss で那覇にATBしたようです。

当該機のエンジンは本ブログでも頻繁に取り上げている米 Pratt & Whitney 社の PW4000 シリーズで、機体登録番号が未確認なので断言は出来ませんが、PW4077 ではないかと思われます。

日本航空、全日空共に2003年12月以前に製造された当該エンジンの交換を進めてはいるのですが、今や主力機として国内幹線に投入されている Boeing777、暫らくは気の抜けない状況が続きそうです。

思わず『きょうのエンジンは大丈夫』と聞いてみたくなってしまいますね。気を遣って一番大変なのは Cockpit Crew でしょう。

それにしても、離陸後間もなくのことで、すぐ(那覇に)戻れたのは幸いでした。

日本航空の運航情報によると当該便は、
  17:06 出発済み 引き返し 飛行機の整備のため、沖縄那覇空港に17:42到着済
となっています。

今回は珍しく No.2 Engine (今までのトラブルはほとんどが No.1 Engine でした)。もしかして、No.1 Engine は交換済みだったりして....。


<JAL機>トラブル、那覇空港に引き返し緊急着陸 (毎日新聞) - Yahoo! ニュース
 15日午後5時40分ごろ、那覇発羽田行き日本航空1922便(ボーイング777型機、乗員・乗客355人)がエンジントラブルのため那覇空港に引き返し緊急着陸した。乗客らにけがはなかった。
 国土交通省那覇空港事務所や日本航空によると、同5時18分に離陸。27分ごろに右エンジンのオイルがなくなったことを知らせるアラームがなったという。同社が原因を調べている。

(毎日新聞) - 1月15日21時14分更新
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CAT IIIb - 降りた後も大変

 昨夕の成田( RJAA )は荒れ模様だったようで、Cockpit Smoke で羽田に Emergency Landing したエールフランス機の他にも、何便か羽田に Divert (目的地外着陸)したようです。

九州は熊本( RJFT )の方でも視界不良(濃霧)で CAT II ( CAT IIIa の一段階ゆるい精密進入レベル:決心高度が 100ft、RVR が 350m )を以ってしても着陸できず残念ながら Divert した便があったそうです。

※ CAT III や自動着陸については、以下の過去記事を参考にして下さい。
 自動着陸-だれでも出来るとは限らない
 自動着陸への道-航空機編
 自動着陸への道-パイロット編
 自動着陸への道-運用編

確かに以下の気象通報式を見ても厳しそうな時間帯がありますね。
RJFT 140242Z 29006KT 250V330 4000 RA BR FEW001 SCT005 BKN015 12/12 Q1008 RMK 1ST001 3ST005 6CU015 A2978 9999W
RJFT 140214Z 29005KT 250V350 6000 -RA VCFG FEW001 SCT005 BKN008 12/12 Q1008 RMK 1ST001 4ST005 6ST008 A2978 3000E-S FG E-S
RJFT 140200Z 33008KT 290V360 3000 RA BR FEW001 SCT003 BKN005 13/13 Q1008
RJFT 140140Z 28006KT 240V300 1500 R07/1200VP1800N RA BR BCFG FEW001 SCT002 BKN003 13/13 Q1008 RMK 1ST001 3ST002 5ST003 A2978
RJFT 140117Z 24007KT 210V270 1500 R07/1500VP1800N RA BR BCFG FEW001 SCT003 BKN005 12/12 Q1008 RMK 1ST001 4ST003 6ST005 A2977
RJFT 140100Z 22006KT 0800 R07/1000V1800U RA FG FEW000 SCT002 BKN003 12/12 Q1008
RJFT 140011Z 22006KT 1000 R07/0650V0900D RA BR BCFG FEW001 SCT002 BKN003 12/12 Q1007 RMK 1ST001 4ST002 6ST003 A2976
RJFT 140003Z 21007KT 1000 R07/0800V1700D RA BR BCFG FEW001 SCT002 BKN003 12/11 Q1007 RMK 1ST001 3ST002 5ST003 A2975
RJFT 140000Z 21006KT 1000 R07/0900V1700D RA BR BCFG FEW001 SCT002 BKN003 12/12 Q1007
RJFT 132300Z 29002KT 1500 R07/1000V1400D RA BR BCFG FEW001 BKN003 12/12 Q1006
RJFT 132235Z 05004KT 2000 -RA BR FEW001 BKN003 BKN010 12/12 Q1006 RMK 1ST001 5ST003 6ST010 A2972
お天気は生きていますから、時々刻々と状況が変わります。
Tower から最新の現況をもらったり、Company で様子を聞いたりして、『よっしゃ、行ける』と判断して進入を開始しても、途中で状況が悪化し below minimum (最低着陸気象条件を下回ってしまうこと)となり Missed Approach (着陸復航)となることも珍しくありません。

それならいっそのこと、早々に見切りをつけて divert を決めて clearance もらってしまった方が、divert 先での優先順位も早くなるし燃料の無駄遣いも無くなるというもの。お客様にはご迷惑をおかけすることになりますが....。
国内線の場合は飛行時間も短く、精度の高い予報を基に出発時の判断が可能ですから、may divert や may return かけて出れば良い訳です。いわゆる“条件付運航”ってやつですね。

さて、引用記事は昨年のものとタイミングを逸してしまいましたが、今年の5月から、成田空港で現在の CAT IIIa よりもう一段階上の CAT IIIb の運用開始が予定されています。

視界100mでも着陸OK 成田空港に最新システム (共同通信) - goo ニュース
 霧などの悪天候で視界が100メートルでも着陸できる世界最高水準の着陸システム「カテゴリー(CAT)3b」の運用が来年5月、成田空港で始まる。国土交通省によると、霧が発生しやすい釧路、熊本両空港でも来年中の運用開始を検討している。

悪天候による成田への着陸断念は2004年度で60便。目的地以外の空港に着陸すると、航空会社は燃料費や旅客の交通費補てんなどで1便当たり数百万円の負担になる。空港会社は「新システム導入で、着陸を断念したケースのうち2、3割は救える」と期待している。

成田空港は現在、上空の航空機から滑走路までの視認距離が200メートル以上で着陸できる「CAT3a」で運用。国内では釧路、熊本空港がこのシステムで、青森、広島空港が導入を検討中。

2005年12月28日 (水) 09:13


このシステム、確かに“凄い”のですが、ちょっと考えて見ましょう。
「着陸した航空機、その後はどうしますか?」

そう、目的のスポットまで地上滑走をしなければいけません。
100m先は見えない濃霧の中をノロノロと地上滑走、成田は殊に誘導路が複雑です。
成田では CAT II & CAT III TAXI ROUTES が使用滑走路・到着機・出発機ごとに定められて、そのためのチャートもあります。(さながら自動車教習所の検定コースのようです)

また、そのような濃霧ですと、当然ながら管制塔から地上を滑走する航空機を目視することは出来ません。
よって、CAT III のレベルを向上させる為には、地上側の支援設備が重要なポイントになります。

ASDE: Airport Surface Detection Equipment (空港面探知レーダー)[ ICAO の用語では SMR: Surface Movement Rader ]と言われる、滑走路・誘導路上の航空機や車両を確認するためのレーダー、はその代表と言えるでしょう。

管制塔の上に巨大なサッカーボールのような白いドームを目にしたことがあると思いますが、あれが ASDE です。

CAT IIIb で降りたは良いが、滑走路上で立ち往生では洒落になりません。
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何故に羽田へ?

 AF278/13JAN CDGNRT Boeing777-328ER STD:2215Z STA:1000Z BLX:11+45 が Cockpit Smoke で HND に Emergency Landing したとのことです。

もともと成田行きで到着間際のことのようなのに、何故にオフライン・ステーション(とは言っても Japan Air の協力は期待できますが)の羽田に Emergency Landing したのか?との疑問から、当時のお天気を見てみたら、こりゃぁ羽田に降りますわな。
しかも当該便の Crew、いくらマルチプル編成であっても、基地(フランス: CDG )時間で考えると、WOCL: Window of Circadian Low (身体的な低調期 - 深夜2時から朝6時頃)を含む徹夜運航になっている訳で、FLT も終盤、イレギュラー発生なら迷わず RJTT を選択することでしょう。

RJAA 141014Z 01018G35KT 310V050 3500 R34L/P1800N R34R/1800D TSRA BR FEW001 SCT003 BKN008 FEW015CB 13/12 Q0995 RMK 1ST001 3ST003 6ST008 1CB015 A2939 FBL TS 10KM SW MOV NE
RJAA 141010Z 01020G35KT 340V050 2800 R34L/P1800N R34R/1800D TSRA BR FEW001 SCT003 BKN005 FEW015CB 13/13 Q0994 RMK 1ST001 4ST003 6ST005 1CB015 A2938 FBL TS 10KM SW MOV NE P/FR
RJAA 141000Z 01023G34KT 2200 R34L/P1800N R34R/1100VP1800U TSRA BR FEW001 SCT003 BKN005 FEW015CB 12/12 Q0995 TEMPO 1200 TSRA BR
RJAA 140949Z 01025G36KT 1500 R34L/1300VP1800U R34R/0900VP1800D +TSRA BR FEW001 SCT002 BKN005 FEW015CB 11/10 Q0995 RMK 1ST001 3ST002 7ST005 1CB015 A2938 FBL TS OHD MOV NE P/FR
RJAA 140945Z 02022KT 1400 R34L/1100V1700U R34R/1000VP1800D +TSRA BR FEW001 SCT002 BKN005 FEW015CB 11/10 Q0995 RMK 1ST001 3ST002 7ST005 1CB015 A2941 FBL TS OHD MOV N P/FR RI++
RJAA 140941Z 02020G31KT 1000 R34L/1200U R34R/1100VP1800U +TSRA BR FEW001 SCT002 BKN005 FEW015CB 11/10 Q0996 RMK 1ST001 4ST002 7ST005 1CB015 A2942 FBL TS OHD MOV N P/FR RI++
RJAA 140930Z 01023KT 0800 R34L/0900V1200D R34R/1200V1600N +TSRA BR FEW001 SCT002 BKN005 FEW015CB 11/10 Q0996 NOSIG RMK 1ST001 4ST002 7ST005 1CB015 A2941 0920 MOD TURB FL150 5NM S NARITA B757 FBL TS OHD MOV N P/FR RI++

RJTT 141021Z 34029KT 2200 SHRA BR FEW004 SCT006 BKN012 08/08 Q0995 RMK 1ST004 4ST006 7CU012 A2940 P/FR
RJTT 141018Z 33017G27KT 2200 SHRA BR FEW004 SCT006 BKN012 08/07 Q0997 RMK 1ST004 4ST006 7CU012 A2946 P/FR
RJTT 141000Z 32017KT 2400 SHRA BR FEW004 BKN006 BKN012 08/07 Q0999 RMK 2ST004 5ST006 7CU012 A2951
RJTT 140947Z 34019KT 2800 SHRA BR FEW004 BKN005 BKN012 07/07 Q0998 RMK 1ST004 5ST005 7CU012 A2948
RJTT 140930Z 33019KT 3000 SHRA BR FEW004 BKN005 BKN012 07/07 Q0999 RMK 1ST004 5ST005 7CU012 A2950

機内で待たされたお客様には長時間飛行の後、さぞお疲れだったことと思いますが、CDG に Show Up 後、乗務時間が15時間以上は経過していたであろう運航乗務員( AF では乗務時間をオペレーション・センター出頭時刻からカウントしてブロック・インまでとしています;この算出方法がグローバル・スタンダード)に『成田まで戻れ』とは酷な扱いで、たとえ短時間の休息をとったとしても安全性からもよろしくありません。どうかご理解の程を。

エールフランスの運航情報によると、当該便は;
 Updated schedule
 Origin  the flight left Charles De Gaulle at 23H27
 Arrive  The flight was diverted towards Haneda instead of Narita
       The flight is arrived at 19H40.
となっておりました。


エールフランス機が羽田に緊急着陸 乗員・乗客けがなし (朝日新聞) - goo ニュース
 14日午後7時15分ごろ、パリ発成田行きのエールフランス航空278便ボーイング777型機から「コックピット内に煙が発生したため羽田空港に緊急着陸したい」との連絡が国土交通省東京空港事務所に入った。同機は同30分すぎに羽田空港に緊急着陸。乗員・乗客315人にけがはなかったが、乗客が機内で約3時間半、足止めされた。

 同事務所によると、機内を点検したが、物が燃えた形跡はなかった。点検後、成田空港に再び向かうため乗客らを機内に待機させていたが、結局、午後11時ごろに降ろしたという。同社が詳しい原因を調べている。

2006年 1月15日 (日) 01:19
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