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オーディオ彷徨録~JBL4331AからALTEC620A~

今までのオーディオの改良や音楽の遍歴に、今後の改善も紹介。いい音に繋がる方法を色々模索したことや、好きな音楽を紹介する。

LP2020A+のオーバーシュート対策 ~LT Spice改良Zobel回路~オスマン外伝~

2019-03-19 13:54:29 | 電気的評価
 3/5にアップした■3)のミスを載せましたが、これでZobelフィルタのCが大きい方のオーバーシュートが小さかった。従って、ZobelフィルタのC依存性を見てみました。 3/20赤字追加

 ■1)ZobelフィルタのC依存性
 これは下記。

 左からZobelフィルタのC(この回路図ではC2)が1μF、0.47μF、0.22μF、と3つ並んでいます。上の矩形波で見てみると左の1μFが一番小さく~1Vで中央の0.47μFでは~1.5V、右の0.22μFでは~2Vと大きくなっています。従って、ZobelフィルタのCを大きくすればオーバー・アンダーシュートは小さくなります。

 ■2)ZobelフィルタのCはどこまで増やせるか?
 しかし、アンプでZobelフィルタが通常使われる範囲は、大きくても1μFです。カットオフ周波数は、1/(2πRC)で計算すると1μFでは、15.9KHzと可聴周波数に入ってしまいますので、1μFでは大き過ぎることになります。ですので実用上は、カットオフが20KHzまで上げたらまあ良いかとすると、0.8μFが限界となります。
 更に、前にも載せたようにアナログアンプでのZobelフィルタの作用は主に発信防止ですが、デジアンではスピーカーのインピーダンス上昇を潰すために設置されているので、オーディオ帯の周波数特性が変化することになる。つまりゲインのf特を確認しないといけないことになります。
 従って、ちゃんとやるには、上の回路で単に純抵抗8Ωで簡略化したスピーカーの等価回路をL,C,Rで書いて解析する必要があります。0.8μFが限界と予想しましたが、F特を見て良ければそれ以上でも使えるということが在り得ます。

 ■3)ZobelフィルタのCを上げたブログの例
 これは、前にも参照ブログに上げたが、以下のブログです。
 メモ帳:PCオーディオの構築(アンプ4)
 これには、LTspiceでフィルター特性を計算した結果から、ハイ落ち気味のスピーカーに対応するZobelフィルタのCを、0.68μFとして改造している。改造後は、多少明るめの音になるとは予想していたが、その通りになったとのこと。音の違いを楽しんでいる人は、ここ(ZobelフィルタのC)をソケットにして部品を差し替えて楽しむのもありだと思うと仰っているがいいアイデアだと思う。当方は上記のように、オーバーシュート対応とカットオフのトレードオフでMax0.8μFとしたが、まあ良い線を言っている。この方は、スピーカー W3-1319SA のインピーダンスのメーカーデータシートで見て等価回路を作られたので、当方はそれは無いのでインピーダンスを測定してみよう。


 ■4)オスマン帝国外伝
 これが益々面白くなってきました。以前12/25に紹介した時から、今年はシーズン2に入って更に展開がダイナミックになってきています。HDDレコーダーの留守録も3/13までやっと見終えました。
第二婦人がスレイマン大帝の妹婿の大宰相に追い詰められて自殺を強要されるシーンで終わっていました。その後、第二婦人(実は最初子供がいない婦人もいたのでその方はお役御免で、本当は第三婦人)ヒュッレムはスレイマンの母后アイシュに殺されかけるのですが、崖に突き落とされた所をスレイマンが見つけ生き延びて逆襲ののろしを上げます。これは100年間オスマン帝国では認められていない正妻(理由は恐らく皇帝をベッドで篭絡する美女の思うがままに国政が傾く…傾国の美女を禁止する目的と思う)に自分をしろとスレイマンに迫って正妻を獲得するが、アイシュに敵視されてまた殺されかけて顔を松明で焼かれてしまうのです。後宮でも戦いが展開。一方ではキリスト教の盟主神聖ローマ皇帝カール5世を攻めて後一歩まで追い詰めるもカールが逃げて勝利したものの冬になって撤退したり。政治と後宮で右往左往とスレイマンも心が休まらない。このスレイマンを演じている役者さんが良い味を出しています。威厳があって瞳はブルーで神秘的な感じを漂わす。こういう役者さんは稀です。まあ今後が益々楽しみです。
 
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LP2020A+ のオーバーシュート対策 ~LT Spice改良~

2019-03-05 11:32:54 | 電気的評価
 前にLT Spiceで解析したときは、1電圧源の簡易解析でした。今回は、BTL方式に対応して、2電圧源(1系統につき、TA2020はBTL方式で順方向ラインのアンプと反転方向ラインの2アンプがある)でシミュレートしてみました。 青字追記 赤字追記 3/7緑字追記

 ■1)従来のLP Spiceでの簡易解析での信号
 これは、

 回路は1電圧源で左右同じで、矩形波は左がスピーカーに相当するR2の上側の電位で、右側はそれに青色の順方向ライン(上のライン)の電圧源の+側の入力電位と反転ライン(下のライン)の赤線の波形が表示されています。一応矩形波は、赤と青で逆転しているので2つのアンプを簡易的には表せています。しかし、これは2つの別のアンプですので、もし2つのアンプの出力インピーダンスの差まで入れて解析するような場合は役に立ちません。

 ■2)反転側にもアンプを表す電圧源を入れて、半周期(1ms)の遅延でずらして見た目反転させた場合
 この場合は、

 やはり、発信してしまいました。入力信号(青線赤線)は見た目は反転していますが、位相が180度ずれているので、もし音声信号ならリバーブが掛かったようになるでしょうから当然といえば当然です。これは多分イニシャル値が青線は0Vスタートしているが、反転側の赤線はー10Vスタートになっているので初期値の不一致で発信していると思います。以下で左側(■3)のケース)は青線も赤線も0Vスタートしているが、右の本ケースでは赤線が0Vではないので差はそこしかない。


 ■3)反転側にもアンプを表す電圧源を入れて、単純に反転した場合 ミス版
 この場合は、初期値が上で示したように両方0Vスタートしているので発信しない。

 左から行くと、Vddから吊ったSBDもグランド側も合計4個付けた場合で、中央はグランド側のSBDのみ2個の場合、右はSBD無しの場合です。
 結果的には、現状のLP2020A+のグランドのみにつけたがオーバーシュートが大きく、両方つけた左と両方つけない右は同レベルで現状よりオーバーシュートが少ないと言うことになると思ったのですが、良く見たらゾベルフィルタのC3が中央と左右で違っているのでその為と思います。
 ゾベルフィルタのCは大きい方がオーバーシュートが小さくなるようですが、アナログアンプでは発信防止のインピーダンス安定化を狙っているのですが、デジアンではスピーカーのインピーダンス上昇を潰すために設置されているので、アナログアンプ比でカットオフが1桁(EX.A-J7/388KHz:LP2020A+/34KHz)低く、デジタルアンプではオーディオ帯の周波数特性が変化することになる。つまりデジアンでは容易にゾベルフィルタの定数をいじれない。これは以下を参照した。
メモ帳:PCオーディオの構築(アンプ4)


 ■4)反転側にもアンプを表す電圧源を入れて、単純に反転した場合 訂正版
 上では、ゾベルフィルタのCが統一されていなかったので下記C2を統一した。

 1電圧源での前回の解析と同様で、左からSBDを上下に付けた場合、中央の現状の下のみSBDを付けた場合も右のSBD無しの場合も、オーバー・アンダーシュートは同じです。この結果からは青基板は改造した方が良いかは悩みますね。Vddから吊るしたSBDを追加しても改善はしないということですので。
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LP2020A+のオーバーシュート対策~SBD追加2 改造後~

2019-02-28 10:19:51 | 電気的評価
 前回に続き、SBDを追加して軽く評価してみました。

 ■1)SBDの購入
 AMAZONで格安のSBDを見つけて発注しました。20個送料込みで157円ですので送料除くと@4円❓❓勿論中華製です。中国のHomylという店からの輸送ですので、AirMailですが1/25に発送されて着いたのが2/22と28日も掛かっています。多分運賃~80円(輸出価格Val=0.72$=80円から推定)でしょうからある程度数量が纏まるまでフライトさせないんでしょうね。

 型名が、1N5819で中国MIC製です。スペックは 1A, 40V という普通の仕様。VFM(MAX)=0.6V なので、実測0.245Vならまずまず。

MIC製には銅リード品のオーディオ用もヤフオクに出ていたのですが、安さを採りました。1N5819はフェアーチャイルドやSTマイクロのような有名メーカー製もありますがそこまでSBDでは凝りません。
 とあるブログの方も改造されていましたが、SBDはTA2020のデータシート通りのSS14を使われていました。スペックは、1A, 40V で同じです。

 ■2)改造
 改造前の基板裏は、

 4本付けたところは、

 毎度半田付けが下手糞です。ノイズ対策での1点アースにはしていますが、しない方が半田付けし易かったんですが、しなくても問題はないでしょう。

 ■3)改造前後の矩形波応答
これは以下

 上段が、改造前で左側がSP端子のR(右側)の矩形波で、右側がSP端子のL(左側)です。①と③の比較では、③の改造後が若干オーバー/アンダーシュートが大きいですが、②と④の比較では、逆に④の改造後が小さいです。このレベルの差は有意差はないと思います。それより細かい付帯波のような波が波形に乗っています。これはひょっとしたら信号出力が小さすぎて、オシロのゲインで無理に波形を拡大しているか、デジタルノイズかのどちらかです。
 前者であるかどうかの切り分けとして、PC Vr=10で測定していたのを、PC Vr=31にアップしてみました。

 やはり、下段はPC VR=31にアップしたものですが、ギザギザのノイズが無くなりました。ある程度PCのゲインをそうですね、40位は上げないと相対的にノイズが大きくなると言うことが判りました。こういうのを見ると、システムを組む時に経路内のどこかのアンプのゲインが極端に小さくなっているのは良くないということが判ります。
 TA2020のデータシートに書いていたように、電源のDC電圧が13.5V以下では、Vddから吊るSBDは無くても良いようです。青基板の方もどうしようかな、少し考えます。

 ■4)LP2020A+;改造のまとめ
 纏めますと、
 ①ポップ音ON対策  :SPリレー用電解コン変更 220μF⇒470μF(東信工業UTWRZ、低インピーダンス品)
 ②ポップ音OFF対策 :C29の+とTA2020の8ピン(V5A)とを100Ωをはさんでジャンパー線で繋ぐ。100Ωを入れることにより、音に艶が出る。(みやけDENKIのブログ参照)
 ③C29の容量UP   :100μF⇒1000μF(ニチコンKA)へ変更。バイアスパスコンC29が標準の100uFのままだと、重低音が痩せてしまう。容量UPは、電源余裕拡大及び、ノイズ低減にも効果がある様です。(100ΩとC29でRCフィルタを形成。LPFでfc=16Hz⇒1.6Hz化)。(みやけDENKIのブログ参照)
 ④電解コンの容量UP :2200μF⇒10000μF(ニチコンKA)へ変更。電源余裕拡大:パルス的な音のダイナミックレンジを拡大したり、重低音の強化。
 ⑤プリアンプのゲイン低下 :入力抵抗Rinの15KΩを、帰還抵抗Rfbの22KΩと同じ、22KΩに変更する。これにより、ゲインが、3.3db低下し、NFB量が増えて、歪が減少することを1台目のように期待したが、2台目の改造では歪は変わらない。(みやけDENKIのブログ参照)
 ⑥低域端での周波数特性改善:入力カップリングコンデンサを2μFから50μFに増加させた。低域端ゲイン低下は未確認だが、低域の高調波は減少した。
 ⑦ポップ音OFF対策追加 :②を行うことで若干のポップ音が復活したので、これを無くすために1/2Vdd=6V設定用の10KΩ抵抗2本R30,R31を外した。
 ⑧オーバーシュート対策 :出力回路にアンダーシュート対策のSBDは付いていますが、オーバーシュート対策のSBDは電源電圧<13.5Vの場合は不要ということで省略されていた。これを追加した。簡易評価では追加の効果は見られないが、SBD追加で音が静かになるというブログもある。
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LP2020A+のオーバーシュート対策 ~SBD追加1 LT SPICE~

2019-02-25 08:33:27 | 電気的評価
 LP2020A+については、オーバーシュート対策でSBD(ショットキーバリアダイオード)を追加する改造をしている例があります。今回はそれを追加する意味があるのか少し考えてみました。 2/28赤字追記

 ■1)SBD(ショットキーバリアダイオード)
 通常のダイオードは、p、n両方の半導体を接合して作ります。従って、ポテンシャル図のpn接合のバンドの曲がり分のエネルギー障壁がありますので、順方向の電位差Vfが比較的高く~0.7V程度あります。SBDはドイツのヴァルター・ショットキー博士の研究を元にして開発されたものでモリブデン(DC/DCコンバータ回路向き)、チタン(バッテリ駆動回路向き)、プラチナ(車載機器向き)、クロム、金、アルミ等のバリアメタルとn型(またはp型)の半導体の接合を用いたダイオードで、エネルギーバンドの曲がり分の障壁が片側・約半分になりますので、Vf~0.3Vと低くなり、逆方向電流Irも大きくなる。高速スイッチング用に良く用いられますが熱暴走しやすいというデメリットがあります。

 ■2)TA2020のデータシートからの情報
 TA2020のデータシートでは、オーバーシュート・アンダーシュート対策は以下のように書いています。
 ”同様に、ショットキーダイオードD1、D2、D3、D4は、VDDとショットキーダイオードに対するオーバーシュートを最小限に抑えます。ダイオードD702、D703、D704、D728は、電源グランドに対するアンダーシュートを最小限に抑えます。 最大限に効果的には、これらのダイオードは出力ピンの近くに配置し、それぞれのVDDに戻す必要があります。またはPGNDピン。 ダイオードD1、D2、D3、D4は、VDD> 13.5Vのアプリケーションにのみ必要です。電圧オーバーシュートは、次のような高電流スイッチングイベント中の出力インダクタのフライバックによっても発生する可能性があります。出力を短絡するか、高レベルで低インピーダンスを駆動する。 これらのコンデンサとダイオードが近くにない場合ピンに十分な大きさの部品に電気的過剰ストレスが発生する可能性があります。”


 この図の上にある波が2msの矩形波を現状のLP2020A+の出力回路に入れた時の、純抵抗8Ωの両端に出る電位差波形です。下はその回路です。上の波形の赤〇で囲んだ波形が上に突き出ているのでオーバーシュート、青〇で囲んだ波形が下に付き下がっているのでアンダーシュートと呼んでいます。この図では、グランドに繋がっているSBD(D1,D2)のみありますのでLP2020A+ではアンダーシュート用SBDのみ付いていて、オーバーシュート用SBDは省略されています。
 TA2020の説明では、Vddから吊っているSBDはVdd>13.5Vのアプリケーションにのみ必要ですと書いているので、ACアダプターのDC出力を見て、13.5V以下ならVddから吊っているSBDはトライパス社の見解では不要となります。13.5V以上で必要な理由は何なんでしょう。多分TA2020の回路のVdd周りに関することでしょうけど半導体の設計をやって人なら判るんでしょうね。
 車載の場合バッテリーの電圧は新品でも12.8VMaxですが、ダイナモから15VMax位は出るので、”ミヤケDENKIのブログ”の三宅さん(以前メールで色々教えて頂いた)が書いているように車載では必須です。

 ■3)ACアダプターのDC出力の測定
 これを測ってみました。先ずは、主音の620A用の5A版です。

 12.34Vですので、Vddからのオーバーシュート用SBDは不要です。次は、低音(4331A)用の3Aのスイッチング電源です。
 
 12.19Vですので、これもVddからのSBDは不要です。

 ■4)LT Spiceでのシミュレーション
 これは以下。矩形波の周期は2ms。LP2020A+はBTL方式なので本来はもう一つのアンプ用に逆相の電圧源を下側のラインに付けて評価するのが正確なのですが、今回は簡易的に1電圧源仕様で評価しています。

 真ん中が現状のLP2020A+の出力回路でグランド側のSBD(D1,D4)のみ付いています。左側は、Vdd側にもSBD(D2,D3)を付けたもので、右側はSBDが無い回路です。3条件で出力電圧値は相対値として変化しますが、オーバーシュートもアンダーシュートも同程度です。尚C3=0.22μFとしてしまいましたが、本当は0.47μFです。単なるケアレスミスですが差を見るには充分です。LT Spiceでは差が無いように見えますが必要理由はTA2020側にあるんでしょうね。ここまでの所では改造は不要です。
 しかし、当方は実証主義者ですので、改造はやってみようと思います。悪化したら外せば良いだけです。次回は改造後の評価をアップします。
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パイオニアA-J7のダンピングファクター実測+LT Spice

2018-09-07 14:22:34 | 電気的評価
 今回は、パイオニアのA-J7のダンピング・ファクターを測ってみました。青字分追加

 ■1)パイオニアのA-J7の導入経緯
 単身で狭いアパートに住んでいた'89年に、JBLは置けませんので、パイオニアのインプレッソというシステムコンポを買って、アンプ以外は、故障して手放しましたが、アンプは残していて5年前に又使い始めて、意外に音がいいので620A用に回して、マルチアンプ用にもう一台オークションで2年前に入手したのですが、LP2020A+が改造したらこれと同じレベルまで音が仕上がったので、結局今は使っていません。
 2017.5.16にブログに上げた時に、以下のようにダンピング・ファクターが低目で620Aにベストマッチと記載しています。低音も歯切れよく出るし、中高音もきれいに出ます。DFはこの時の予想のように低めなのでしょうか?
 【2017.5.16アップ分転記】
 実行パワーは、75W(6Ω)ですので、8Ωだと65W位です。620Aは、103dbもありますので、65Wもあれば十分ですが、620Aの振動系が軽く、その軽い振動系を強力なアルニコの磁力で駆動した締まった低音と、このアンプのダンピングファクターが推測ですが若干低めなのがベストマッチングして絶妙な音質を醸し出します。

 ■2)A-J7のDF実測
 データは下記。

 上段は、A-J7で①が右側、②が左側です。①の右側でみると、DF=4.9(8Ω換算で15.1)、②の左側では、DF=1.8 (8Ω換算で5.5)と、下段のLP2020A+の10と比べると予想通り低目です。これは、多分、出力側にある高周波アイソレータとZobelフィルタの影響と思います。他のアンプに比べA-J7で特徴的なのは周波数に対して全く一定だと言うことです。この安定性は、NFB量に依存するのかどうなんでしょうね。

 ■3)出力側にある高周波アイソレータとZobelフィルタの回路
 これは、以下になります。

 中央の赤い線の所にある水色の〇で囲んだL301とR357が高周波アイソレータで、赤〇で囲んだC337、C335とR359がZobelフィルタです。昨年の5/23にこれらについてはアップしましたように、ZobelフィルタはMHz帯のインピーダンス・ピークを消し、高周波アイソレータはGHz帯の終端を防止します。これのインピーダンスをシュミレートしてみました。

 ■4)LT Spiceによる高周波アイソレータとZobelフィルタのインピーダンス・シュミレーション
 これは以下。

 高周波アイソレータは、GHz帯での終端防止ということですので、GHzまで見てみました。VとIの測定点は、C1の上側です。I(I1)は、負荷として仮想した電流源(Z∞)の電流で、V(N002)はC1の上側の電位です。出力インピーダンスはオーディオ帯域では1Ωで、10MHz以上~GHz帯では4.5Ωに収束しています。交流的に見ると高周波域では10Ωの並列ですので5Ωですが、LとCのGHz帯でのJω*で0.5Ω分ダウンしていると解釈できます。①の右側でみると、DF=4.9(8Ω換算で15.1)ですので、インピーダンスは0.5Ωとなり、②の左側では1.4Ωですので、シュミレーションの1Ωの0.5~1.4倍ですので平均したらほぼ同等で、まあこんなもんですかね。
 しかし、ここまでDFが低いと混変調歪(IM歪:intermodulation distortion)が発生する領域かもしれませんが、音を聴いている限りではそんな付帯音があるようには思えません。真空管アンプではこのDF領域のものもよくありますので、真空管ライクな音をこの2つの回路で作っているのかもしれません。

 ■5)低いDFを推奨している情報
 NFBの考え方を参照していたサイトにオーディオで良いといわれているDF値を、この方が得た情報として記載されていました。ブログ主は、ギターアンプの製作者及び販売をしている方です。それによると、DF=5~10が良いと言われているとのことで転記します。
 ”オーディオ的にDFはどれくらいあればいいかというと、これも諸説あるが、5~10ていどと言われることが多い。しかし、DFが大きければいいというわけでもなく、スピーカーの特性にも大きく依存するし、逆にアンプがすべての変動を抑えてしまえば人間の耳にとって心地いいかというとそんなわけでもなく、結局は主観的なものである。ただ、DFが1を切って極端に小さくなると、さきほどのように音はドンシャリになるのは確かである。”

 URL:http://hayashimasaki.net/tubebook/tubebook17.html
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