遊歩道沿いではアザミやサラシナショウマが、人の背丈ほどに伸び、いかにも華やかに秋の到来を告げています。しかし注意深く見ていると、上高地で最後に開花する花々は、意外にも春の花のように、ひっそりとひかえめに咲くものなのだと気付きます。この花もそのひとつ。名前の由来は一目瞭然。四つの角がピンと尖った愛嬌のあるイカリ型。透き通るような黄緑色が美しい、リンドウの仲間です。
この先一週間、お天気があまり良くないですね。秋の澄み切った青空はなかなか顔を出してくれないけど、生き物たちは目に見えぬ早さで、しかし確実に成長を続けています。赤く色付きつつあるコナシの実。この木はリンゴの仲間で、小さく茶色に窪んだ部分は雌しべのなごりです。この実が真っ赤に色付く頃、それを待ちわびた猿たちが、こぞってこの実を口にします。終わりなき食事に全てなくなってしまうのではないかと思うほどです。環境が厳しくなる冬に備えて、今のうちに食べられるだけ食べておこうとお腹の中にため込んでいるのでしょうか。