井財野は今

昔、ベルギーにウジェーヌ・イザイというヴァイオリニスト作曲家がいました。(英語読みでユージン・イザイ)それが語源です。

アラ・ディスコ~その2

2009-06-02 18:29:05 | 音楽

 先日,TV番組「題名のない音楽会」で,吹奏楽曲の人気曲ベスト10をやっていた。結構興味津々で見ていたら,人気No.1の曲にガックリきてしまった。それが「ディスコ・キッド」

 「猫も杓子もディスコ音楽」は吹奏楽界もご多分にもれない。1977年度のコンクールの課題曲に,この曲は現れた。当時,私は不真面目な吹奏楽部員でホルンを吹いていた。どうして不真面目だったかというと,ヴァイオリンも弾いていたからだ。

 なぜ吹奏楽をやっていたかというと,コンクールに出たかったからである。ヴァイオリンのコンクールは所詮,孤軍奮闘だ。そんなコンクールではなく,仲間と一緒に喜んだり悲しんだりしたかったのである。

 だからコンクールは重要,課題曲はもちろん重要。で,この曲が,生まれて初めて吹く「課題曲」だったのだが……かなり失望した。なぜか?

 今思い起こすとわかるのだが,ディスコに行かない中高生でも,結構ディスコ音楽は知っていて,高1といえども,お気に入りの曲が既にいくつかあったのだ。私が好きだったのは,バリー・ホワイトの「愛のテーマ」「白銀のテーマ」,パーシー・フェイスの「夏の日の恋’76」etc.

 これらが既に吹奏楽では演奏されていたのだから,新曲はそれと同等以上の魅力がないと,生意気な中高生には許せなかった。実際,その前年の「メイン・ストリートで」などはなかなか魅力的で,まさかそれを下回る曲が出ようとは,想像もしなかった。

 この曲のどこが許せないか?

 まず,テーマが再現したようで再現していない作り方が気に入らない。しかも再現部のような場所になると「You are my sunshine」によく似たふしが出てくる。しかもこのオリジナリティに欠ける旋律は2回繰り返されるのである。この形式は,良く言えばファンタジック,悪く言えばとりとめがない。

 そして楽器の扱い方がわかってらっしゃらない感じなのである。さすがにこれは?というところは,後から訂正表が回ってきた。そして訂正されるほどではなかったホルン・パートは,ずっと続く高音に苦しめられた。
 そうです。私は本番でもヨウ吹キキランカッタのである。負け犬の遠吠えじゃ!

 同じ,ショウジ・オサム作曲の「怪獣のバラード」は名曲だと思いますよ。こちらは中学生の合唱曲として定着しているようですが・・・。

 そんなこんなで,この曲は消えて行く運命かと思いきや,全く正反対に受け継がれていく現実を,未だにどう受けとめて良いかわからない。井財野としてはナウなヤングのための「ディスコ・OB」でも作るか,というとこかな…。


40番と運命~アラ・ディスコ

2009-06-01 23:38:51 | オーケストラ

昭和50年代、猫も杓子も「ディスコ」というブームがあった。クラシック音楽もご多分にもれず「ポップ・クラシカル」と称して、16ビート化したディスコ音楽になっていた。

一番ヒットしたのは、モーツァルトの交響曲第40番で、スペインの何とかさんが編曲して「愛よ永遠に」というタイトルで売れていた。 でもモーツァルトの40番は原曲が16ビート風だから、16ビート化したところで、あまり違和感はない。しかし調子に乗って、椿姫の前奏曲とかチャイコフスキーの「ロメオとジュリエット」に至ると、さすがに「ここまでしなくても」と思ったものだ。

極めつけは「運命'76」、私の記憶ではウォルター・マーフィー編曲。その後、映画「サタデー・ナイト・フィーバー」でも採用されたらしい(私は見ていない)ので、結構有名になったはずだ。あの「運命」が「ディスコ音楽」になったのである。 私の感覚ではゲテモノ中のゲテモノだが、同時にゲテモノには好物が多く、ひょっとしたら、原曲も「'76」も両方好きかもしれない。

来たる8月14日、我が福岡教育大学管弦楽団は、この2曲、「40番」と「運命」を私の指揮で演奏する。ディスコ音楽を選んだつもりは毛頭ない。第一、私は「ディスコ」に行ったことが全くない。そんな人間にも、知らず知らず影響を与えていた「ディスコ音楽」だったのか……。