昭和50年代、猫も杓子も「ディスコ」というブームがあった。クラシック音楽もご多分にもれず「ポップ・クラシカル」と称して、16ビート化したディスコ音楽になっていた。
一番ヒットしたのは、モーツァルトの交響曲第40番で、スペインの何とかさんが編曲して「愛よ永遠に」というタイトルで売れていた。 でもモーツァルトの40番は原曲が16ビート風だから、16ビート化したところで、あまり違和感はない。しかし調子に乗って、椿姫の前奏曲とかチャイコフスキーの「ロメオとジュリエット」に至ると、さすがに「ここまでしなくても」と思ったものだ。
極めつけは「運命'76」、私の記憶ではウォルター・マーフィー編曲。その後、映画「サタデー・ナイト・フィーバー」でも採用されたらしい(私は見ていない)ので、結構有名になったはずだ。あの「運命」が「ディスコ音楽」になったのである。 私の感覚ではゲテモノ中のゲテモノだが、同時にゲテモノには好物が多く、ひょっとしたら、原曲も「'76」も両方好きかもしれない。
来たる8月14日、我が福岡教育大学管弦楽団は、この2曲、「40番」と「運命」を私の指揮で演奏する。ディスコ音楽を選んだつもりは毛頭ない。第一、私は「ディスコ」に行ったことが全くない。そんな人間にも、知らず知らず影響を与えていた「ディスコ音楽」だったのか……。