「お世辞と謙遜は、時間の無駄だと思っています」
と言った人がいた。
それは言い過ぎでしょう、と普通はなるが、その人の環境を考えると、そうも言いたくなる気持ちもわかってくる。
昔から、優秀な女性ピアニストになぜか多いのだが、お互いに賛辞と謙遜をいつまでもやっている場に遭遇することがあった。
こうなると、いつも批判的な人が多いヴァイオリン、フルート、ソプラノの方が健全に見えてくるくらいだ。
本当に素晴らしい人同士は、お互いに「ありがとう」とか「嬉しい」で済ませておけば良いのに、謙遜大会が始まると、そこまで素晴らしくはない人々にとっては、かなり居心地が悪い空間が誕生したことになる。
そうなると時間の無駄と言っても過言ではない。
そのような環境から生まれた前述の発言だと推測した。
もちろん、状況によってお世辞や謙遜も必要だとも思う。
何事もちょうど良いのは難しいのである。