栄養士が作る食事はおいしくない、という定説がある。
身近に栄養士がいないもので、そんなものかな、と思うだけだったのだが、最近「食物」や「栄養」を専門にもつ大学の学生食堂に行く機会があり、それを実感することとなった。
A大学は食堂を「食育館」と呼んでいる。この学校の発祥が「食物」であり、隣に「体育館」「音育館」と並んでいるので、なるほどと思わずにはいられない。「音育館」も初耳だったが、むしろ何故今までその呼び名を使わなかったのか、とまで思ってしまう。 その食育館に掲げてあるスローガン?「一汁三菜」 それを乗せるトレイは、室町時代標準サイズのお膳と同じ大きさで云々とのこと。 いやはや、ここで食事すると、本当に「私は食べ物に育てられている」実感を持つ、まさに食育館、である。 片やB大学、ちょっと前まで「一汁二菜」だったはずだが、A大学を意識したか、大学の生き残りを食堂改善に託したか、わからないけれど、最近改修して、こちらも「一汁三菜」になっていた。 さらに「タニタ食堂提供メニュー」などというコーナーもできていた。食堂にかける情熱が感じられるところだ。値段は500円也。 これで、学生に大人気、ならば大成功。 しかし、実態は…… タニタ食堂のコーナーには誰もいない。 それはそうだろう。一汁三菜のランチは400円台で食べられるのだ。しかも、大半が女子学生の大学。ランチのセットでさえ量が多く、麺類程度で済ませる学生が一番多い。 栄養士養成には、とにかくそこに存在することが大事、という考え方なのだろうか。 何だかわからないけれど、いずれにしても食欲がそそられないので、400円ちょっとのカツ丼を食べる。おせっかいにもレシートに、野菜類が全く足りていない旨の表記があった。 ほっといてくれ!労働の後は、体に悪かろうが、おいしいものを食べたいのだ!