「こうやって訊いてくるお母さんがいるのよ。」
「どこがダメなんですか?」
「全部。」
「もう、どこがダメって訊いてくる時点でダメよね。だから全部ダメって言うしかないのよ。」
いやはや、思わず笑ってしまった。
これは某コンクールとは別のコンクールでの、ある審査員の会話。
冷静に考えればすぐにわかることだが、情熱が燃えたぎっていて、「うちの子はあれだけがんばらせたのだから、悪いはずがない」と思い込んでいる親、わからないのだろう。わっかるかなぁ、わっかんねぇだろうなぁ(1975)、と私も40年間言い続けるのであった・・・。
人それぞれ、良いところ、改善すべきところ、あるはずだ。他人の演奏を聴いて、そのあたりがある程度わからなければ、向上は不可能に近く難しい。
言い方変えれば、どこが良くてどこがダメか、ある程度はわからないと、上手くはなれない。冷静だったら、誰でもわかると思うのだけれど・・・早く冷静になっていただきたいものだ。