30年くらい前、LPレコードのキャッチ・コピーで「シャイーは本物だ!」というのがあった。
私はシャイな性格だったので、一瞬なぐさめられたと思い嬉しかったのだが、次の瞬間それは誤解とわかると、さらに暗い性格になった。
以来、聞かず嫌いでしばらくいたのだが、ショスタコーヴィチの珍しい曲の録音など、シャイーでなければ聴けないものもあり、ようやくありがたみ(謝意)を感じるようになった今日この頃。
たまたまシャイーの「マタイ受難曲」を有線放送で耳にした。
なかなか良い。
歯切れが良くて、中には良すぎてちょっと、という曲もあったが、このリズムの良さはバッハには欠かせない。久しぶりに思い起こした「シャイーは本物だ」が頭をよぎる。このようにキャッチ・コピーで洗脳してしまうのがレコード会社の「社意」か? さあ皆さん、聴きにいらっシャイ、ということか。
まじめな話はこれくらいにして、通常のモダン楽器で演奏しているところがまた良い。10年前の「ピリオド楽器にあらずんばバロックにあらず」みたいな風潮は、正直言って困る。モダン楽器でもりっぱにバロックは演奏できるのだから。(と言って、シャイーがこれをいつ録音したのか知らないのだが。)モダン楽器でも皆さん遠慮なく演奏していただきたいものだ。
あー段々マタイを演奏したくなってきた。どこかやってみたい合唱団はないでしょうか。数年かければ、ドイツ語といえどもきっと演奏できますよ・・・。