井財野は今

昔、ベルギーにウジェーヌ・イザイというヴァイオリニスト作曲家がいました。(英語読みでユージン・イザイ)それが語源です。

旋律の歌い方・異説

2009-03-13 18:23:56 | モーツァルト

 上行型はクレッシェンドと,信じて疑わなかった30代前半のある演奏会のリハーサルにて。

「上行型がクレッシェンドというのはワーグナーの悪影響です。それまでは上行型はデクレッシェンドでした!」
とおっしゃったオーボエ奏者Kさんがいらっしゃった。

 その方は,私が小学生の時から何となく存じ上げていて,初めてオーボエを吹かせてもらったのも,その方のオーボエだったかもしれない。何となくではあるが,私にとって絶対的な存在である。現在はオランダでピリオド楽器奏者として活躍されているらしい。

 そのような方が力説され,演奏した曲はマルチェルロのオーボエ協奏曲。冒頭のリトルネロ(テーマ)に上行する音階が含まれている。これをデクレッシェンドで演奏する。これが見事にサマになるのである。

 さあ,どっちだ?上行型はクレッシェンドかデクレッシェンドか?

 それ以後,注意しているのだが,ワーグナーが強弱法に改革を起こしたという話は寡聞にして聞かない。だから,本当かなぁ,という気持ちもないではない。

 正直言って,どちらだ,という答えは出せない。出さなくても良いのかもしれない。どちらも試してみて,納得のいく方法をとれば良いのだと思う。

 という訳で,上行型はクレッシェンド,と決めつけると,問題が生じることもある。柔軟に対応していただきたい。法律ではないので。