井財野は今

昔、ベルギーにウジェーヌ・イザイというヴァイオリニスト作曲家がいました。(英語読みでユージン・イザイ)それが語源です。

仲良しクラブの是非

2019-11-15 17:34:00 | アート・文化
ある大学の先生が亡くなられて、葬儀に集まった卒業生が、先生の業績を偲んで合奏団を作った。

その合奏団発足から2回目の演奏会を聴いた。
非常に颯爽とした、明快なアンサンブルに仕上がっていて、とても気持ち良く聴けた。

私が死んだら、このような合奏団ができるだろうか。
残念ながら多分できない。
何故ならば、私が育成した人々は、あまり仲がよろしくないからだ。おかげで、今でも人集めに苦労する。
「○○はNGです」
「○○は避けましょう」
の多いこと!

これは偶然ではなく、半ば私が仕向けたところもある。

「仲良しクラブの演奏は良くない」
と、言い続けた時期がある。

ともすればハシャギ過ぎの学生達に対する警告だった。

その結果がこれだ……。
仲良しクラブは良くないけれど、この仲の悪さに寂しさを感じざるを得ない。

まあ、仕方ないか。

舞踊の視点からみた《ウェストサイド物語》

2019-08-17 20:54:11 | アート・文化
立て続けにショックな事実を知って、ブログを更新する気が起きなかった。
次を期待していた方には申し訳ない。

ウェストサイド物語のプロローグ、とにかく圧倒的なダンスなのだが、舞踊関係者はどう評価しているのか、とふと思って、知人のつてで調べたところ……。

ベーストレーニングにバレエを取り入れているジャズダンス、現在であればコンテンポラリーダンスというジャンルになるようだ。

そして、数名の舞踊関係者が異口同音に言うのは、振り付けのロビンスが同性愛者であること。
「だから凄い」
「だからロビンスは苦労しただろう」
「その苦しみが、あのダンスに現れている」

ええっ?

中には「作曲のバーンスタインも同性愛者だし」というコメントもあった。
子供が4人もいて、それは違うだろうと思うが、男性も好きだったのは、様々な本に書いてはある。

ただ、音楽界に「同性愛者ならではの表現」というのは寡聞にして知らない。
チャイコフスキーやコープランドからそれを感じることはないし、ブリテンのオペラの主役が常にテノール、というくらいしか思い浮かばない。

それに引き換え、舞踊界は露骨にそれを持ち出してくる。

言われてみればウェストサイド物語、最初は男ばかり出てくる。
恋愛物語のはずなのに、そう言われると色気は少ない。
その代わり、ジョージ・チャキリスの存在感!
かく言う私もチャキリスばかり目が追いかけている。

それに何十年も気づかなかったとは、というのがショックの一つ。

《アンピトリーテーの声》ができるまで⑥

2019-06-21 17:59:00 | アート・文化
下の写真は、本番の「最中」、休憩時間のグリーンルーム(控え室)の様子である。



これが本番の「衣装」。
数日前に「あまりフォーマルな格好にならないようにしてください」と言われたのだが、こちらはフォーマルな格好の準備しかしていないから、とりあえず黒スーツで臨んだのだが、なるほどこういうことか。

右から2番目の人物がコンサートマスターである。
だからといって普段着でもない。彼は薄い麻地のようなものを重ねて着ている。
民族衣装を思わせる独特の格好だ。
こういう格好は、その人のセンスをもろに見せるから、一番難しいかもしれない。

しかし、時は21世紀、そろそろ脱スーツなのかもしれない、と思った。

それで、肝心の本番である。
チェリスト〈こうせつ君〉は最後までアッチェレランドがディズニーランドから抜け出せなかったが、初めて聴いた聴衆にはわからないレベルまで、他のメンバーが達したので、まあ成功の範囲に入るのだろう。
やれやれ。

おめでとう、ストラヴィンスキー(の子孫)

2019-01-21 17:49:37 | アート・文化
言い出しっぺのアメリカは離脱したのに、日本はTPPに加盟したままというのが、どうもしっくりこない。

しっくりこようが何だろうが、今年から発効したようだ。

その報せを聞いて驚いたことがある。

著作権保護期間が死後50年から70年に延びたのである。
TPPには著作権保護期間も含まれていたのだ。そんな報道、あったっけ。

欧米諸国は70年が多いので、まあ欧米並みになっただけだと納得しておくしかない。

しかし、70年は長すぎだろう、と個人的には思っていた。「孫の代まで保護」という考え方である。子供は著作者の犠牲者だったり、著作物の管理を任されたり、ということもあるだろうから、ある意味当然と思うが、孫はどうだろうか。孫をダメにするのではないか、と思ってしまう。

ラヴェルの著作権保護期間は2007年に切れたが、そのとたんにデュラン社は経営悪化して、吸収合併の後、現在はブランド名を遺すのみである。ラヴェルの遺族も骨肉の争いをしていたとか。

2018年までに期間が切れている場合は、それが復活するということはなく、2019年以降の人が今から20年ずつ延びるとのこと。

なので、プーランクや山田耕筰はもう切れたまま、2020年頃の予定だったストラヴィンスキーやミヨーは2040年あたりまで延びる。

日本からの著作権使用料だけのことだが、続けて諸外国へ払われ続けることになった。おめでとうございます、ストラヴィンスキー関係の皆様。残念でした、山田耕筰関係の皆様。

カナダと台湾は似ている

2018-06-25 22:20:01 | アート・文化
カナダ・バンクーバーの「ターニングポイント・アンサンブル」が台湾の「小巨人絲竹楽団」と共演したのを聴いた。

「小巨人~」とは奇妙な名前のようにも思えるが、民族楽器のアンサンブルである。
当初は民謡等、民族楽器にとって当たり前の物を中心にやっていたが、それではスキルが上がらないとのことで、言うところの「現代音楽」を演奏するようになったそうだ。

この「小巨人~」にも台湾政府がかなり援助をしているようだ。

演奏会も「国家音楽庁」という威容を誇るバカでかいホールでやる。
その向い側には演劇専門の、やはりバカでかい劇場がある。

どちらも「中正紀念堂」という蒋介石の顕彰施設の隣にある。いかに大事なものであるかということだ。

台湾人の説明によると、台湾にとって文化は非常に大事だということだ。文化がないと中国になってしまうから…。

あれ?
これはカナダの説明と同じではないか。
文化がないとアメリカになってしまう、という…。

意外なところで台湾とカナダは似ていた。