華氏451度

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民主党新代表決定――何と申しますか

2006-04-08 00:42:26 | 現政権を忌避する/政治家・政党
7日午後の民主党両議員総会で、投票の結果、小沢一郎氏が新代表に選ばれた(小沢氏の得票119票、菅直人氏72票、無効票なし)。これが何を意味するのか、ちょっとゆっくり考えてみたいと思うが、とりあえずはニュースに接しての感想――。

ゆっくり考えてみたいというのは、小沢新代表就任をどう評価すればいいのか、実のところかなり迷っているからだ。小沢一郎という政治家をどう思うかと言われれば、私自身は違和感と共にかなりの警戒心を持ってもいる。その詳細は省くが――簡単に言うとたしかに小泉政治には真っ向から反対し、共生社会の実現を掲げているけれども、考え方の根本は「力への信奉」や「国家の絶対視(国民より国家が大事、とまでは言っていないけれども、国家というものの存在を非常に大切に思っている)」がある(と私は思う)からだ。「日本人の精神の荒廃」を嘆き、武士道に惹かれる人で、その辺が感覚的にどうも合わないということもある。「保守本流」の人、なのだろう。あたかもミニ・小泉のようにさえ見えた前原前代表よりはマシだが、いわゆる保守系の大政党が2つできて、いったいどうするんだ……。

しかし、である。それでもなお、現状では野党第一党の民主党に「期待」せざるを得ないのだ。このさい(と言うか、当面は)「マシ」でいい、「悪くない」程度でいい。小泉政権の暴走にマッタをかけてくれるだけでもいい。その役割を一応、小沢自民党に期待……してみる……ほかない。無力な庶民としては。

先に小沢新代表に違和感と警戒感を持っていると言ったが、彼には次のような発言
もある(せめてプラスに考えられるところを探した)。

【大体、イラクの武装勢力の行動を「テロ」といえるのか? 一般民衆の支持のない武力抵抗は確かにテロだが、多くの民衆に支持された武力抵抗はテロとはいえない。イラクの現状を分析する限り、これはテロという次元ではなく、第二次世界大戦中のナチスドイツ占領軍に対するフランス民衆のレジスタンスや、イスラエル占領軍に対するパレスチナ人たちのインティファーダのような、イラク市民による「抵抗運動」といえるのではないか。まさに、イラクは戦争状態にある。戦争ならば兵隊も民間人も関係ない。日本が「米国の忠犬」と見なされている以上、首相がいくら「日本の民間人を狙うのは許せない」といっても、それは単なる感傷論、情緒論でしかない】(2004.4.16 『夕刊フジ』)

【憲法が諸悪の根源のように主張する人々がいるが、憲法が変われば一夜にしてすべての問題が解決するのか。そのようなとらえ方は、政治的思考の停止にほかならない。憲法というものは、国民が互いにより良い生活をしていくための最高ルールだ。だから、時代が変わって、国民が変えた方がいいと思うところがあれば変えたらいい。しかし、それだけのことだね。日本国憲法の基本理念は、平和主義、国民主権、基本的人権、国際協調の四原則だが、どれも不都合はない。時代が変わっても、普遍の原理、理想として掲げていてなにもおかしくない。日本国憲法の成立のプロセスは議論すればいろんな問題が出てくるが、中身とは別問題だ】(2005.1.14『週刊金曜日』本多勝一のインタビューに答えて)

ごく普通の、比較的大多数の指示を得られる発言、と言っていいだろう。小沢新代表は、以前は「改憲論者」だった。しかし2番目の発言その他を見ると、「今、変える必然性はない」と主張しているらしい(個別自衛権を認める立場なのでその点は私の考え方とズレるが、このさい、その程度のズレは許容範囲)。もしかすると彼は今でも内心は改憲論者であり、「しかし小泉政権の目指すような対米従属改憲はノウ」と考えて改憲論をいったんひっこめているだけかも知れない(そんな気がする。気、だけだが)けれども、それでもいい。しつこく言うが、このさい、それでもかまわないのである。ひとまず紹介した2つの発言に代表される路線で、(多くの人々が今の社会についてかなり切羽詰まって考えるまでの時間稼ぎの意味も含めて)「小泉政権と対決」してくれるなら……。

〈付け足し1〉
私は菅直人氏が民主党の代表になっていたとしても、(前原前代表よりはるかにマシではあるけれども)民主党がガラリと変わるのは難しい、と思っている。ひとつは考え方の方向が違う人達を党内に大勢抱えているから。単純に、右とか左とか言っているわけではない。たとえば、「尊敬する人・松下幸之助」と明言する松下政経塾出身の人達と、「身を立て、名を挙げ、やよ励めよ」的価値観を持たない人では、ものごとの考え方の基本が違うに決まっている。私としては民主党は2つないしそれ以上に割れてくれるのが理想なのだが、それが無理ならばせめて次善(三善、四善ぐらいかも)の策として、「間近に迫った法律改正などを阻止する」「首相の靖国参拝を阻止する」程度の役割を果たして欲しい。話はそれからである。

〈付け足し2〉
民主党新代表選出を前にして、小泉首相は新聞のインタビューに答え、「君子は和して同ぜず、小人は同じて和せず」と言ったそうである。むろん君子は自民党、小人は民主党。しかしね……首相殿、自民党が「和して同ぜず」の君子集団だとは、私にはどうしても信じられないんですがね……。去年の衆院選を見たって、ほら、完全に「同じて」たじゃないですか。(ほんと、よく言うよこの人。論語の解釈が混乱して子供の教育に悪いから、黙ってた方がいいと思う)

コメント (7)
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