昨日に続いてセレブがどうのこうの……という話を書くつもりだったが、それは後回しにして。
dr.stoneflyさんが「なぜテレビはこの暴挙を映さないのか」と怒り、アッテンボローさんは「自衛隊の帝国主義軍隊化を許さない」と声を上げ、お玉さんも「マスコミが使命を果たせないなら自分達がジャンジャン書くしかない」と言う。「競艇場から見た風景」のmakuriさんは、写真にかぶせられた「主権在米軍NO!」の文字がまず目に飛び込むエントリで、この国家権力の暴挙を取り上げた。他にも多くのブロガーが抗議の文を書いている。
そう、辺野古における海上自衛隊の「実力行使」の問題である。
沖縄・普天間にある米軍基地(飛行場)の移設に先立つ現況調査に、自衛隊が協力している。それについて久間防衛相は「どんな場合にも対応できる万全の態勢をとっている」と言ったのだ。「場合」というのはそれこそいろいろな場合があるのだろうが、そのひとつ――というより大きなものが「妨害行動」の排除であるのは火を見るより明らかだ。現政権にとって普天間基地移設は重要課題であり、住民の反対はうるさくうっとうしく、邪魔なだけなのだから。
国民の暮らしを守るための装置であるはずの国家が、国民を泣かせるようなふるまいを強行するとは何ごとか。そんな国家など、私は否認する。
自衛隊――というと何となく正体があやふやになるが、要は軍隊だ。その軍隊が、反対する住民を鎮圧して米軍基地の移設をスムーズにおこなうために出動している。軍隊は国民を守るために存在するのでなく、国体あるいは国家権力を守るために存在するという証左ではないか。「国」に逆らう者は排除せよ。押し寄せた一揆の集団に対して為政者の命令で銃が乱射されるのと同じ図が、この21世紀の日本で繰り返されようとしている。
◇◇◇◇◇◇
恥ずかしいことだが、長いこと私は沖縄の状況については常識程度のことしか知らず――いや、自分ではけっこう知っているつもりでおり、考えてもいるつもりだったが、実のところ半分居眠りしているような鈍さであったと思う。その自分の鈍感さを思い知ったのは、普天間基地移設に反対して緊急出版された本『沖縄は基地を拒絶する――沖縄人33人のプロテスト』(発行・高文研)を読んだときである。ページをめくりながら、ときどき息が苦しくなるような本だった。ぜひ多くの人に読んでもらいたいと思い、昨年の2月に、「『沖縄は基地を拒絶する』から」という紹介記事も書いている。まるで生け贄のように米軍の祭壇に捧げられた島、その沖縄に住む人達のギリギリの怒りがこの本には満ちている。ヤマトンチューである私は、沖縄を生け贄にし、沖縄を踏みつけて知らぬ顔をしてきたのだ。1年以上前に出版された本だが、今こそさらに多くの人に読んで欲しいと私は思う。
闘いは長く続いてきたのだけれども、同時にまだ始まったばかりでもある。
◇◇◇◇参考資料/新聞記事の抜粋
【久間章生防衛相は17日午前の参院外交防衛委員会で、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)のキャンプ・シュワブ沿岸部(同名護市)への移設に先立つ現況調査に海上自衛隊が協力することについて「妨害に対する人命救助も含め、どんな場合も対応できる万全の態勢を取っている」と述べ、海自が警備活動を実施する可能性を示唆した。】(毎日新聞5月17日配信)
【「この人たち(の作業)が違法行為だ」。普天間飛行場移設先の名護市辺野古の沖合で、基地建設反対派は18日午前、カヌーやゴムボートに乗り込み、建設に伴う那覇防衛施設局の調査阻止を図った。】(琉球新報5月18日配信)
【反対住民は同日午前5時半すぎから、近くの辺野古漁港周辺で集会を開催。約80人が集まり、「ヘリ基地反対協議会」の共同代表を務める安次富浩さんは「自衛隊が私たちに銃口を向けるということは民主主義を破壊することだ」と、政府の方針を厳しく非難した。】(時事通信5月18日配信)